『世界的優良企業の実例に学ぶ戦略』
~組織・事業両輪の変革が生み出す企業成長のカギ~
株式会社ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター
チーフ・マーケティング・オフィサー 足立 光 氏
本日はファミリーマートのマーケティングの話をします。何がこの2年間で変わったのかを、「戦略の視点」と「組織の視点」からお話いたします。
私は今から30年以上前、新卒でP&Gという会社に入社しました。経営コンサルを2社経て、その後はヘンケルや、洋服のWORLD、マクドナルドなど、いろいろな会社や事業の再建をやってきました。その後、西海岸のベンチャーを経て、約2年半前にファミリーマートに入社しました。
ファミリーマートで働きながら、他にも、BOTANISTというヘアケアが有名な会社であるI-neや、ノバセルという広告・メディアの会社、SmartNews、北海道の代表的スーパーのコープさっぽろ、Gambitというキャスティングの会社、M-Forceという調査会社、Growth Capitalというファンドなど、いろいろなことを同時にやっています。
コンビニの店舗数は、だんだん伸びが鈍化していっています。今までコンビニは基本的に出店によって売上を伸ばしてきた業態でした。ところが出店の余地が減ってきたということがあり、今後さらに売上を伸ばすためには、出店以外の部分、つまりは日商(客数x客単価)がより重要になってきました。
コンビニは完全な新規のお客様というのはほとんどいらっしゃらなくて、ほとんどは頻度の問題です。来店回数(客数)と客単価をいかに上げるかということが、今後日商を伸ばすポイントなわけです。
残念ながらファミリーマートは競合に比べて客数も客単価も競合に負けているという状態でした。その原因ですが、他競合に比べてファミリーマートに「行く理由」、つまりは「特徴」が弱いというのが問題でした。
なので、入社後すぐに、そもそもどういうお客様を向いて仕事をしていくかという、いわゆる顧客ターゲットと、「行く理由」や「特徴」、つまりファミリーマートが今後訴求していくべき点、「マーケティングの4P」のうちのプロダクト(何を提供するのか)の部分を見直しました。
セグメントとしては、20~50代男性をコア・セグメントと設定しました。この方々が今現在、ファミリーマートの売上の半分くらいを占めているからです。
それから、今後伸ばさなくてはならない強化セグメントとして設定したのが、30~50代の、お子様がいらっしゃる女性や有職者の女性と、日本の人口の半分を占めていて今後も伸びていくであろうシニアでした。逆に10代・20代はしばらくホールド、つまり維持セグメントと決めました。実は、この若い世代からのファミリーマートの印象・イメージは他社よりもいいんです。なので、とりあえず弱いところをまず伸ばそうということになりました。
顧客ターゲットが決まると、次は訴求していく価値です。
まずは、ファミリーマートがお客様の心の中に最も確立したいイメージ、競合との差別点を「ちょっとお得」にしました。それから強化する価値、競合と比べて負けてはいけないポイントとして、「おいしさ」「ワクワク感」「安全・安心」「使いやすさ・買いやすさ」「働きやすさ」と設定しました。
「ちょっとお得」について少しだけ補足します。
コロナが所得の二極分化を加速させたと言われています。またコンビニは、今でも比較的定価販売のイメージが強い業態でもありです。なので「ファミマは(他のコンビニと比べて)ちょっとお得」というイメージが定着すれば、とても強い「行く理由」になるという判断をしたわけです。
今お話したような顧客ターゲットの方々に対して、決めた訴求価値をきちんと繰り返し、継続的に訴求していこう、というのが1番目の戦略になります。
たまたま2年前はファミリーマート40周年でした。そこで我々が今後お客様に対して約束していく5つのキーワードを社内外に打ち出しました。
例えば1番目の「もっと美味しく」は定番強化という意味合いもあり、プライベートブランドのリニューアルや、チキンやスイーツ、パンなどの定番品の強化を行いました。
例えば、メロンパン、カレーパンというのはパンカテゴリーの定番なわけです。なので、これらの定番商品をもっと多くのお客様に召し上がっていただいて、もっと太くしていこうと考え、「ファミマ・ザ・メロンパン」「ファミマ・ザ・カレーパン」としてリニューアルしました。定番が太くなればなるほど、店頭からの欠品(機械損失)が減りますし、サプライチェーンも効率化するし、製造コストも下がります。なので、定番を太くすることはとても重要だと考えています。
2番目の「たのしいおトク」の例としては、「お値段そのまま40%増量作戦」という企画があります。実はこれも定番強化のキャンペーンなんです。定番の商品を増量していろんな方にトライしていただき、美味しさを実感していただき、増量期間が終わったあとも継続的に召し上がっていただけるということを狙ったものです。
3番目の「『あなた』のうれしい」は、特定の方からものすごく喜んでもらえるもの、という意味です。例えば、コラボ商品はものすごく話題になるし、かつ、いろいろなお客様に喜んでいただけます。パンやアイスのコラボなど、いろんな方に喜んでいただけるような、話題抜群のファミリーマート限定の商品をどんどん投入しています。
また、中身だけではなく、パッケージに関しても、PBのリニューアルのタイミングで、ユニバーサルデザインに変更しています。この「どんな方にもわかりやすい、使いやすい」というのも、「『あなた』のうれしい」の重要な要素です。
「What to say」(何を言うのか)と「How to say」(どのように言うのか)という概念がありますが、この戦略は「What to say」の話です。
まず、そもそも流通業のマーケティング部門というのは、商品部が作った商品の販促をするチームという位置づけが多いのが一般的で、ファミリーマートも例外ではありませんでした。
それはそれで立派な仕事なんですが、それだけではなく、マーケティング部門が「こういうものを作ったらどう?」というコンセプトを先に考え、商品部が最適な商品を作るという流れがあってもいいんじゃないかと考えて、いくつか実践をしています。
ひとつの例が、販促効果を最大限にするためのカテゴリーを横断した施策です。
例えば、「カレー祭り」という企画を実施したのですが、カレー味のポテトチップスがあって、パウチのカレーがあって、カレーパンがあって、ファミチキのカレー味があって、単独では販促を打ちにくいような商品も含めて、いろいろなカテゴリーの商品に陽を当てることができます。
もうひとつの例はPBの見直しです。当時ファミリーマートには3つのプライベートブランドは3つありました。
原料や製法などにこだわっているのに、それがなかなか伝わらず、またお客様からすると、どのカテゴリーの商品がどのブランドなのかわかりにくい、という状況がありました。
どう考えても、ファミリーマートのPBはひとつの方がわかりやすい、ということでできたのが、「ファミマル」です。
「ファミマル」は、ファミマが二重丸をつけた商品、という意味です。ブランドコンセプトは「おいしい◎うれしい◎あんしん◎」です。なにしろ”ファミマ”ルという名前ですから、どう聞いてもファミマのものとご理解頂けますよね?わかりやすさを目指した結果になります。このコンセプトに合わせて、いろいろな商品をリニューアル・新規投入していく、という流れを作ることができました。
次は「How to say」、「どう言うか」という話です。まずひとつが、お客様にニュースをお届けするメディアの最適化です。
ファミリーマートは小売業なので、「店舗」という自社メディアがあります。店舗には入口上の看板とか、ポスターとか、サイネージ、レジ液晶、店内放送、レシートも含めて、多くのオウンド(自社)メディアがあります。
それからアーンドメディアという言い方をするのですが、うまくいくとどんどん広がって露出を稼いでくれるメディアとして、PR・パブリシティ、ツイッターを始めとしたSNSがあります。そして最後に、お金を出せばだれでも買えるペイドメディア、すなわち広告があります。問題は、大きな会社の「あるある」なんですけれど、それぞれ担当者が違うわけです。そうすると、例えば、ホームページトップで表示されている商品がTwitterでは発信されていないとか、そういう齟齬が出てくるわけです。
ですので、全てを同期させるようにしました。同じタイミングでは、全てのメディアで同じ内容の訴求が出ている状態をつくる、ということです。
新しい広告キャンペーンを考えるときも、まず、それを店頭(オウンド)でどうお伝えするのかをまず考えて、次に、それをどうやって話題化させるかというPR・SNS(アーンド)を考えて、最後の最後に、その二つをブーストする方法としての広告(ペイド)を考えるようにしました。また、オウンドからペイドまで、一貫性を保てるように、同じ人がリードするように変更しました。このように変更することで、店内(看板・ポスター)、Twitterの投稿やPRイベント、広告などで一貫性のある訴求ができるようになりました。
さて、いろいろあるメディアの中でも、ファミリーマートに特に大切なのがオウンドとアーンドです。というのも、少しでも商品開発や商品原価にまわすため、ファミリーマートは広告投資額を競合と比べてかなり少なく抑えているからです。広告・販促への投資額が少ない、つまりペイド(広告)では競合に勝ち目がないので、オウンドとアーンドがとても重要なんです。
特に、重要なオウンドメディアのひとつに、アプリがあります。アプリはお使いいただいているお客様にほぼ無料でメッセージを届けることができます。なので、「ファミマのアプリ(ファミペイ)」については、いろいろなキャンペーンをやったりして、アプリのユーザー数を増やしてきました。ダウンロード数は、2年で倍増しています。
もうひとつ、SNSです。オウンドでもありアーンドでもあるという二つの側面を持つ非常に重要なメディアです。
特に、話題化するためのメディアとして、Twitterに最も高い優先順位を置いています。皆さんがご自分でSNSをされていたらわかると思うんですが、InstagramとかFacebook、LINEでは、流れてきた投稿が友達にシェアされることはあまりないですが、Twitterだけはどんどんシェア(リツイート)されていくんです。それがまさに拡散であり、話題化だと考えています。なので、我々はTwitterにフォーカスすることにしました。例えば、「カレー祭り」のときは、PR目的で3店舗だけ看板のカラーをカレー色に変更しました。それをTwitterではこのように投稿しています。
3店舗の写真と、謎の数字だけの投稿です。これはその3店舗の緯度と経度なんですが、「なんじゃ、これ?」というように、Twitter上でとても話題になりました。このようないろいろな工夫をしていることもあり、ファミリーマートはTwitterの「日本のトレンド」に頻繁にランクインしています。
こういうことを続けていくと、フォロワー数も増えていきます。2020年には200万なかったフォロワーの数が、今では450万を超えています。つまり、「新しいスイーツが出ました」という投稿が、2年前は200万人にしか直接は届かなかったのが、今では450万人以上のかたに届くようになった、ということです。
これまで、主に「美味しさ」の話をしてきました。ただ食べ物以外にも、お客様がコンビニにいらっしゃる理由はたくさんあります。ファミリーマートではそこを今までは十分に訴求してこなかったので、ちゃんとやっていきましょうというのが、4番目の戦略「来店目的の拡充・強化」です。
例えば、ボトルキープという取り組みを始めています。ファミリーマートのアプリでペットボトル24本分の回数券を買うと、5本分無料になるんです。しかもどの店舗でも引き換えることができるし、ファミリーマートのPBのお茶やお水のどれを引き換えてもOKなんです。たとえば、ネットなどでお茶をケースで24本買うと、置いておく場所は必要だし、同じものを毎日飲まないといけませんが、ファミリーマートのボトルキープをお使い頂ければ、毎日違うものを、欲しい時に飲める、というわけです。
それから売価引きについてです。年間の売価引きの実施数を競合と比べると、圧倒的にファミマが多いんです。このように、ファミマは「もともと」お得なんですが、その印象がやっぱり弱い。なので、ちゃんと「ファミマは(ちょっと)お得」を訴求するため、年末年始や夏場のセット割をしっかりと告知するようにしてきました。
それから食品以外に関しては、例えばソックスを始めとする衣料品なども明確にお客様の来店理由になるということがわかりましたし、キャラクターもとても強力です。なので、いろいろなキャラクターとのコラボを強化しています。プロレスなど、ユニークなコラボもいろいろ行っています。
また、ちょっと変わったところでは、Vitalityという住友生命さんの生命保険と組んで、いろいろな活動をするとファミリーマートのクーポンがもらえるというようにしたり、オッズパークという公営競技サイトと地方競馬で組んで、騎手の方のブロマイドが当たる企画なども行うようになりました。世界最大の位置ゲームであるポケモンGOにも、協賛しています。
このような様々な取り組みによって、食品以外でもファミリーマートへ「行く理由」をたくさん作り、かつお客様との接点を増やしていこうとしています。
おかげさまで業績は好調です。例えば2021年に発売した「クリスピーチキン」は、ファミリーマートのチキンの売上記録を作りました。それを2022年、「ファミから」で更新しています。
2021年の「ファミマ・ザ・メロンパン」「ファミマ・ザ・カレーパン」がパンのファミリーマートの売上記録を作りました。それを2022年に「ファミマ・ザ・クリームパン」で更新しています。
フラッペでは2021年の「リッチフラッペ・ストロベリー」がファミリーマートの歴史上で最もたくさん売れたフラッペになりました。それを2022年に「ブラックサンダーフラッペ」で更新しています。
2021年の「バタービスケットサンド」もファミリーマートで過去一番売れたスイーツになりました。その記録を2022年に「ファミマ・ザ・クレープ」で更新しています。
「ファミマのボトルキープ」もご好評いただき、継続しています。「40%増量作戦」も、最近、他の会社も同様なキャンペーンをされるようになったと聞いていますが、我々は2021年から2年連続で実施しており、素晴らしい実績を出しています。
結果、コンビニの上位2社で既存店の客数前年比を比較すると、自分が入社してから半年後である、2021年4月からいままで、もう2年近くなりますが、実は一度も負けていません。とても好調です。
ただ、入社して半年後とか、普通は「そんなに早く結果が出るわけがない」と思いますよね。なので、その結果をこのスピードで出すことができた「組織の視点」に関するポイントを、いろいろあるのですが、4つだけお話します。
先ほどご説明した5つのキーワードに沿った施策を、継続的に、話題になるような尖ったコミュニケーションで、すべてのメディアをフル活用して、大きく伝えていくことで話題化して、高い認知をとり、客数・売上に結び付けるという戦略の仮説は、実は入社前に作っていました。
入社前にこの戦略の仮説を役員に提示して、了解されています。その仮説を検証するために、10月の入社後すぐに全社プロジェクトを始めて、修正・補強して、翌年の1月にはファミリーマートの基本戦略として全社で合意しています。入社して3~4ヶ月後には戦略が合意できている状態なので、最初から何をすべきかが明確だったわけです。
いろいろな部署から精鋭20数人を集めて行った全社プロジェクトは、自分にとっては、仮説検証だけではなく、戦略の根回しの機会でもありました。いきなり外部から来て、こうしよう、ああ変えようといっても、普通は聞いてくれるわけありません。なので、できるだけ根回しをしながら、戦略や方針に関する合意をとっていきました。
それを3月には社外に発表しました。ただ、新しい戦略や方針を、いきなりみんな実行してくれるかというと、管理職のレイヤーに根回しをしたとしても、なかなか現場が動かないというのが現実です。なので、現場に対しては、戦略・方向性が間違っていないという証明になるような小さな成功を、入社後早い段階から積み重ねてきました。
例えば2020年9月に放映した「からあげ食べくらべ」という比較広告は、入社前に少しだけファミリーマートのお手伝いをしていた私も企画に入っていたのですが、比較広告は実現可能であり、やり方によっては効果的、という証明になりました。
それから、商品の「対立構造」的な見せ方や、尖ったコピーが効果的であるということも、入社後すぐにいろいろな施策の企画で証明して、現場での信用や納得性を積み重ねてきました。そうすることによって翌年3月に新しい戦略が発表された時点では、これならいけそうだ、というなんとなくの期待感が醸成できていたので、現場がすぐに動いてくれました。
加えて、このタイミングでマーケティング部が追う数値目標を変更しています。皆さん何らかの数値目標はお持ちだと思うのですが、半年に1回とか1年に1回、上司とレビューするような目標値を変更しても何の効果もありません。ただ、毎週や毎月追えるような数値目標を変更すると、毎日の行動が変わってきます。
それまで、各施策のマーケティング部の数値目標は売上と認知率でした。これを、話題化という戦略に沿うように、例えばSNSメンション数とか、SNSエンゲージメント率、PRの掲載数などを、各施策のマーケティング部の目標値として加えました。
今まで売上と認知率しか追われなかったのに、みんなが毎週、SNSとPRの数を追われるようになったわけです。こうすることによって、みんなの意識と行動が話題化、つまりは戦略の実施、に向いていくようになりました。
この数値目標は、四半期または半期ごとに修正・改善することで、進化を続けるドライバーとなっています。
話題化といってもそんなに簡単ではありません。勝ち方(話題化)の種類を増やさないと、多くの施策で実施できないし、パターン化しないと再現性がないので、意味がありません。
2021年3月から実施した、「クリスピーチキン」と、「ファミマ・ザ・カレーパン」「ファミマ・ザ・メロンパン」の施策が、2つの商品を話題化するためのテンプレートとなりました。この二つの話題化が成功したので、そのあとはこのテンプレートをそのまま他のカテゴリーや商材にも使っています。例えば「SPAM®むすび」も「プリングルズ コラボ」も「ブラックサンダーフラッペ」もほぼ全部同じフォーマットです。
他には、同じ味種の商品をカテゴリー横断で同時に展開する「ファミマのいちご狩り」という企画がとても成功しました。なので、全く同じフォーマットで「お芋掘り」「宇治抹茶づくし」「栗拾い」として横展開をしています。
このようにすることで勝ちパターンがどんどん増えてくるし、成功の確率があがるわけです。社内的にも説得しやすい、というのもあります。
他には、主にドリンクを中心とした「1個買うと、1個もらえる」キャンペーンが、とても成功したので、翌年からはドリンクだけではなく、お菓子等にも広げて展開しています。それから「1個買うと、1個もらえる」と全く同じやり方を、「ブラック”フライ”デー」と題して、揚げ物を2個買うと「ファミから」が1個もらえるというキャンペーンに転用しています。これが「勝ち方をふやす」の話です。
最後に、組織については、「広く(越境して)」考えることを実践してきました。以前は、営業部と商品部が、いい商品を商品部がつくり、それを営業が棚に並べる、ということが流通業では普通の考え方でした。これだと、「お客様に知ってもらう」という重要な、マーケティング的な要素が、欠けていると考えました。
いい商品をお客様に知って頂いても、店頭になければ買えません。商品を知って頂いて、店頭にあっても、いい商品じゃないとリピート購入が起きません。
なので、3つの部門・機能が((営業部、商品部、マーケティング部)、きちんと揃わないといけません。自分は、マーケティングの責任者なのですが、本来は自分の責任範囲外である営業部や商品部が管轄する内容にも、できるだけ入らせてもらうようにしています。なぜかというと、商品部・営業部・マーケティング部が同じ方向を向いて連携できれば、それだけ施策の効果が高いからです。
例えば、定番という話をしましたが、定番を大事にしましょうと商品部の部長とずっとお話をして、商品部の基本方針を変更してもらっています。このように組織は自分の部署だけではなくて、重要なところを全部同時に考える(変えていく)というように、自分の責任範囲を飛び越えて「広く」考えるということが重要です。
もう一つ、社外との関係性でいうと、ファミリーマートという会社は実は自分たちだけでいろいろなコミュニケーションを企画・製作しているのではなくて、エージェンシーさん、印刷会社さん、いろいろな方々と一緒にやっています。この方々全員、所属している会社は違いますが、ファミリーマートの仲間だと思っています。
なので、例えば毎月「あの施策は良かった悪かった、なぜか?」というようなレビューを各施策について行っているんですが、そのレビュー会には、全てのエージェンシーさんに参加して頂いています。
普通エージェンシーさんは自社の担当した施策の結果しか知らされません。ただ、それでは学びがエージェンシーさんの間で伝播していかないので、全ての施策の結果をオープンにして、全エージェンシーでレビューをしています。そうしていくことで、施策を企画する上で、何か効くのか、何に注意しなくてはならないのか、などについての共通理解が育まれ、知見の横展開がどんどん進んでいきます。なので、組織というのは自社を超えて、「広く」考えるようにしています。
ファミリーマートに行く理由を、継続的に、話題になる尖ったコミュニケーションで、オウンド・アーンド・ペイドの全メディアを活用して大きく伝えて、話題化して認知を獲得し、お客様を笑顔にしていくということを、マーケティング部門だけではなくて、営業部も商品部も、外部の全エージェンシーさんたちも一緒に、毎日やっているというのがファミリーマートだとお考え頂けたらと思います。
今日は短い時間でしたが、私の考え方などに関しては、2冊の本(「圧倒的な成果を生み出す劇薬の仕事術」「世界的優良企業の実例に学ぶあなたの知らないマーケティング大原則」)でも解説していますので、もしご興味あればぜひお読みになってください。また、もっと小さいグループでできるようなオンラインサロンも毎月開いておりますので、ご興味あれば覗いてみてください。
私の話は以上になります。ご清聴ありがとうございました。