「事業変革の転換点でキンコーズ・ジャパンが実現した新たな
価値創出と、それを支える経営・マネジメントの根幹とは」
キンコーズ・ジャパン株式会社

代表取締役社長 渡辺浩基様

モデレーター
ClipLine株式会社 取締役COO 金海憲男
カスタマーサクセス部 西居 崇博

「ビジネスコンビニ」からの変革を進めるキンコーズ

金海:それではここからはキンコーズ・ジャパン 渡辺社長をお招きして事例セッションと進んでいきたいと思います。まさに現在進行形でコロナの前後でかなりビジネスの環境が変わってしまったという中で、今まさに変革真っ最中というところの生々しいお話も含めて、お話いただければと思ってお招きしております。よろしくお願いいたします。

本日のテーマはこちらです。
●環境変化に対しての素早い対応を実現する組織のあり方、リーダーシップの勘所
●実行力の高い組織・現場を生み出すための具体的な施策について
●従業員の教育・成長の重要性と、それを支える仕組み作りやリーダーのあり方について

ビジネスコンビニとしての需要が今、大きく変わりつつあるという中で、どういう観点で新たな価値創出をしていらっしゃるのか。その中でリーダーとして、組織づくり・推進を、何をポイントにおいていらっしゃるのか、その中でClipLineをどう活用されているのか、こういったあたりのお話を伺えればと思っております。

 

渡辺様(以下、渡辺):皆様本日はよろしくお願いいたします。まず私の簡単な自己紹介になりますけれども、私はキンコーズが4社目になります。キンコーズでは店長として入社しまして、その後、エリアマネージャー、事業運営部長、そのほかの部長も経験しまして取締役になり、このコロナ禍、2021年に代表になっております。

キンコーズ・ジャパンは、今年で31年目に突入しました。もとはアメリカのサンタバーバラ、学生街のコピーショップとして生まれたビジネスでございます。
アメリカでのビジネスとしてはもう50年くらい経ちますけれども、我々日本に入ってきたのは1991年です。日本でもそれこそ印刷業であるとか、そういったところに、ちょっと違うビジネス系のコンビニエンスストアとして進んできました。

その後ただのコピー屋からどう我々が変革してきたのかと言いますと、今は紙からデジタルに転換しています。それこそ文書電子化と言いまして、紙自体、我々が普及してきたコピー系の仕事を、実際にはデジタル化、つまり画像に変更しています。
他にも動画を作成したり、色んな幅広いビジネス、主にはBtoBのビジネスがメインとなっております。

ここに記載されている内容もそうなんですが、今サステナビリティで考えた時に、オンデマンドは非常にエシカルであると言えると思います。
必要な時に必要な分だけ、ということを考えた時に、大量に刷らずに必要な分を刷って、それが気候変動の改善につながっていく。そういうビジネスを我々は主力として動いております。

まだ業務変革の最中というところになりますけれども、組織を中心とした部分で皆さまにお伝えできればなと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

金海:よろしくお願いします。まさに現在進行形とのことで、今まさに動いている話、そこで今、何をお考えになって動いているのか、この辺の話をしっかりお伺いできればと思っております。

元々プリンティングビジネスというところからスタートしていて、今はデジタルを中心としたビジネスへの転換や、コワーキング・イベントスペースなど、ともすると何故キンコーズさんが、と私も思っていたんですが、渡辺社長のお話を聞くと、ビジネスパートナーとしての新たな価値を生み出すという文脈で、こういうビジネスをやってらっしゃるというお話でした。
このあたりは後ほど、深堀りできればと思っています。

「共感型経営」へのシフトへの足がかりとしてClipLineを導入

金海:そんなビジネスをやってらっしゃるキンコーズさんは、ClipLineの実際のユーザーでもいらっしゃるわけなんですが、興味を持っていただいたきっかけが今回と同様に実施をしたセミナーだったんですよね。我々もプロダクトのコンセプトとする「SECIモデル」を提唱する野中郁次郎先生がご登壇されていたセミナーでした。どういった点で興味を持っていただいたのでしょうか?

 

渡辺:キンコーズのビジネスは、今40店舗位なんですが、当時店舗ビジネスを中心とした動きをしておりまして、それこそ各店舗ごとに、暗黙知が非常に多かった。暗黙知というのはそれぞれの店舗で独自なものが多く、いかにこれを多店舗に共有していくかがポイントでした。
当時私は役員だったんですけれども、暗黙知からどうやって形式知にするか、というところで、野中先生の「SECIモデル」をClipLineさんが特許をとって、その仕組みを作ったということで、興味を持ち、コンセプトに非常に共感を持てました。

あとは「動画」という点ですね。我々はマニュアルを作るのは得意なんですけれども、どんどん増えていき、マニュアルだらけになっていた。それを変えていかなければいけないというところもありまして、セミナーでサービス内容を聞き、その場で即決しましたね。

 

金海:ありがとうございます。単に知識が溜まっていくだけでは駄目で、それがきちんと皆に伝わるかたちで表現されていくことが大事である。特にキンコーズさまのようにお客様に対しての課題解決のレベルを高めようと思うと、自分たちがノウハウをまずしっかりと共有して使える状態にしなくてはいけない、ということかと思います。

ただ、キンコーズ様には既存ツールが既にあったと伺っていました。それを「ClipLine」に置き替えたということですが、この違いはどこにご関心があったのでしょうか?

 

渡辺:元々、一方通行で発信するツール自体は入れていたんですけれども、これが実際作る部門が1部門しか使えなかったというのがまず1つ。

当時デジタルで一方通行の研修をたくさん見ていましたけれども、やっぱり頭に入ってこないんですよね。眠くなっちゃいますし、倍速してすぐに聞き流すというところもあるんですけれども、同じ人がやっているので、臨場感というか「見たさ」という、そういうのもなかった。これは一気に変えた方がいいんじゃないかと思っていました。

また当時からClipLineさんには短編を増やせ、と言われていました。これはそのとおりでした。以前は我々が作った20~30分の動画を見てくれと言っていたんですけれども、見るわけないですよね。皆さんも多分YouTube見てて、本当にはまって3回以上見る動画で初めて20分に到達するみたいな感じだと思うんですよね。
TikTokなど潮流としてもどんどん短くなっていますし、やっぱり短編ですね、本当に。

 

金海:ありがとうございます。短くピンポイントに知れるのが大事だというお話と、加えて手厚いサポートというところも評価いただいていたかと思います。

もう一点、当時のお話で印象に残っているのが、共感というものを大事にしてらっしゃるというお話でした。

 

渡辺:我々も全国に店舗があるので、それこそ店舗から配信するという機会がまずあまりありませんでした。反面、経営層から発信するだけの動画は簡単だと思うんですけれども、その店舗が取り組んでいるものであるとか、営業が取り組んでいること、そのもの自体をどう発信していこうかな、といった時に、そこから共感の輪が生まれてくることを、やっぱりすごく重要視しています。

例えば最近の取り組みとして、毎月社長賞を出すんですが、社長賞をとったメンバーから配信してもらう仕組みに今年から変えています。社長が読み上げるよりその方が断然伝わるんですよね。

私が発信して、こういうような良い事をやったんで素晴らしいと思います、って言ったところで何も伝わらないんです。共感が共感を呼ぶということがポイントで、まだそうした取り組みの途中ですけれども、そういう願いが私の中にあって、共感というところは非常に重要視しています。

 

金海:ありがとうございます。従来からPDCAは結構回っていたという話があって、先ほど主催者講演のパートで私がなかなかPDCA回らないですよね、って話したんですけれども、そこはある意味自信はあって、次の打ち手ということですよね。

 

渡辺:そうですね。実際コロナ前からビジネスとして社内の方にはPDCAというのは浸透しています。CからAに変えるのは、先ほどの足立さんのようにはいかなかったですけれども、定期的に我々も小さな分野でPDCAは回転させていたのかな、と思います。

 

金海:そこに共感をのせていく、ということで具体的な例で言うと今まさにお話いただいた、表彰されるべき人がいて、この人はこんなやり方でやってるよ、というのをある意味本部で吸い上げて展開するのではなくて、ご本人から出していただく。そこに共感が生まれるのではないかということですね。

野中先生がおっしゃる「SECIモデル」も必ず共感という言葉がでてきます。知識が個人の中に閉じてる暗黙知を表に出す、それが他の方の知識と連結された新たな知識になってその人の内面に入っていき、それをまた共同化していく。それらは共感という軸をもとに生まれてくる、これが「SECIモデル」なんだという話があるんですけれども、まさに今、キンコーズさんではClipLineをその目的で活用いただいているということなのだと感じています。

コロナ禍で迎えた大きな転換点と、新たな価値創造に向けた変革

金海:ここからキンコーズ様の変革にスポットを当てていきますが、ビジネスの環境が大きく変わってしまった中で、どういう変化があって、何を変えていこうとしてらっしゃるのか、まずは簡単にご紹介いただいてもよろしいでしょうか?

 

渡辺:コロナ禍において、紙媒体からデジタルに一気に変わったのは我々としては非常に脅威でした。集合研修自体がそのままとって変わって、zoomやTeamsに一気に変わり、我々がオンデマンドで出力しております研修資料ですとか、そういったものがほぼほぼなくなった時期が数年間ありました。

そうした時に当然外部環境としてオフィス内のプリントが変わってきますので、どうしても我々としては違う形のビジネスに切り替えなくてはいけませんでした。

加えて大きな変化として、人流が止まりました。我々はストアのビジネスなので、当然ながらそういった部分でも相当な打撃をうけたのですが、デジタルへの切り替えに大きく舵を切る必要がありました。

金海:コロナの中での大きな転換点として、最も大きかったのが24時間営業の廃止ではなかったかと思います。ビジネスコンビニという表現をされていた中で、懸念もあったのではないでしょうか?

 

渡辺:そうですね。都内・大阪・名古屋などの主要都市に店舗がありますので、24時間というのは、いうなればキンコーズとしてのケイパビリティの1つ、強み・能力の1つだったんですけれども、それを撤廃するというのは結構大きな、当時のヤフーニュースにも載るくらい、反響があった決定でした。

懸念の一方で、お客様の方から非常に暖かい声もいただきました。24時間じゃなくても、我々の入稿時間を変えればいい、という応援メッセージもあってですね、そうした声に対して、これからの我々がどのようなケイパビリティをみなさんにお伝えしていくかを、改めて考える機会をいただいたと考えています。

 

金海:ちなみに24時間営業をやめる判断をされた背景はなんだったんでしょうか?

 

渡辺:1つの時代の節目といいますか、24時間働くという時代が大きく変わってきています。ビジネスコンビニとしての働きに関しても、それこそデジタル入稿も出来るようになってきた。はたしてこれを続ける意味があるのか、問いただした結果になります。

 

金海:一方で、24時間お困りの時にはオンラインで対応できるような仕掛けというのは別途作っていらっしゃるんですよね。

 

渡辺:はい。それはしっかり残していきますし、どこかの機会でまた違うパターンで皆様にご報告できればなと思っています。

 

金海:ありがとうございます。そういった新たなかたち、駆け込み寺で24時間開いている駆け込み寺というよりは、最初に相談いただけるパートナーになるべく、組織の変革を今まさに行っていらっしゃるところということですね。

また、新たなビジネス展開として色んなことをやっていらっしゃいますが、ご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

 

渡辺:コロナの時期に関しては飛沫防止グッズ、抗ウィルス商品や抗菌フィルムなどを扱ったり、アニメーションの動画をつくったり、ハイブリッド型の会議のお手伝い、あとは最近ですと自治体の裏でサポートしたりという幅広い仕事を行っています。
特にキンコーズはBtoBビジネスが実をいうと売上の大半を占めておりますので、個別の企業対応に対して、我々としても学びながらどんどん業態を広げていく、という形でビジネス展開を行っています。

それこそ必要な時に、必要な分だけ対応できる、しかもワンストップでというところはキンコーズの一番の強みであり、変わらぬサービス価値だと考えています。

 

金海:ありがとうございます。色々なものがあるんですが、何かこの環境変化にあわせて物を買わなきゃとか、イベントやらなきゃいけない、となったらまずキンコーズさんにお話を、という存在になるための展開ということですね。

とはいえ、こうやって色んなものに触れていくと、何に手を広げて、何に手を広げないべきかという判断が曖昧になってきそうな気がするんですけれども、そこで伺ったキーワードが2つありました。

「新たな価値創出」に向けた2つのキーワードと、オンデマンドソリューションが示す道筋

金海:1つは「Why us 」と。もう1つが「守りの構造改革」ということで、それぞれ詳しくお伺いできればと思います。まず「Why us 」これはどういうお話でしょうか。

 

渡辺:「Why us 」つまり「一体我々は何者であるか」ということなんですが、孫子の「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉もありますが、そもそも自分達を知ってるの?という話です。

パーパス経営であったりビジョン・ミッションなど手段はありますけれども、そうした時に自分達が一体何者であるかを、どうやって社内外に伝えていくのか。これは我々の、私の1つの大きなミッションだったと感じています。

それを伝えるキーワードとして、まさに今、SDGsや気候変動にも繋がるようなサステナビリティ、我々の強みであるオンデマンドというところを、どうやってお客様に伝えて、お客様のスタイルにどうやって寄り添っていくべきか。
そこが我々の根幹のコアコンピタンスになっていく。そうした意味合いでの「Why us 」ですね。

 

金海:ありがとうございます。その「Why us 」でいうところでいくと、先ほどから何回か話題に上がっているSDGs、サステナビリティといったキーワードも、みなさんが掲げる
「オンデマンドソリューション」にとっては重要なテーマですよね。

正直SDGsってある意味、世の中の流行りのような空気感があって、それに合わせていないと何となく世の中から遅れてるように見られるんじゃないか。そうした観点でSDGsに取り組んでいる企業さんも一定数いるんじゃないかと思うんですが、御社にとってはいかがでしょうか。

 

渡辺:我々は2019年から、ブランドスローガンを「PARTNERS」まさにSDGsで言う17番目の言葉を掲げました。気候変動というといまいちイメージが湧かないかもしれませんが、我々が元々やっていること自体がエシカルである、という、日頃の業務に対して非常に励みになることをどうやって表現しようかと考えた時にぴったりだと感じました。
今、我々が店舗で着ていたワイシャツも再生紙へ再資源化したのですが、循環型の経済、サーキュラーエコノミー。そういう考え方が、我々がやっていること自体、我々は一体何者なのか、というところにも繋がってくる良いきっかけだったと思っています。

本日みなさんのお手元に、再生紙でできた「SDGsサイコロ」をお配りしています。出目にSDGsの番号とイラストが書いてあるんですが、これを一日一回転がしてみて、出た目についてその日1日考えてみる。そんな風に使っていただきたいと思います。
これは当初お子さんに作ってもらうイベントから波及したものでした。結構好評でしたので、皆さんにもぜひやってもらいたいです。

 

金海:ありがとうございます。冒頭にもありましたけれども、オンデマンドプリントということは「究極の持たざる経営」ということだと思います。

最近ですと車もサブスクリプションみたいな形で、あるいはアイドルエコノミーという言い方もしますが、空いてる状態を上手く使おう、休ませている設備ってもったいない。ここ数年、そうした考え方が起点となったものがだいぶ増えてきたけれども、実はキンコーズさんは昔からそれをやってる。

そう思うとオフィススペースの貸出ですとか、そういうことも含めて、いかに企業の持たざる経営にタッチしていくのか、そこにどう寄り添うのか、という意味合いで「PARTNERS」の立ち位置をとってらっしゃるということですね。
実は、事前の打ち合わせでSDGsってぶっちゃけどうなんですか?正直ポーズとしてやってるってことはないんですか?と聞いたら、いやいや命がけです。とおっしゃっていました。
今の話を伺っていると、まさに企業が変わっていくところに、自分たちが寄り添う、そのキーワードがSDGsなんだということですね。

 

渡辺:そうですね。命がけですね。
印刷やコピーといった我々の従来のサービスそのもの自体がどう変わっていくのかという観点で、紙からデジタルに、どこにこのDXを使ってサステナビリティ、いうなればSXに繋げていくのか、というところを考える非常にいいきっかけだったなと思います。

 

金海:ありがとうございます。もう1つの「守りの構造改革」これについても教えてください。

 

渡辺:コロナでの大きな痛手を受けた事業戦略の変化に伴うものですが、例えば最近人的資本とよく言いますけれども、組織と人をどう活かすか、というテーマになります。

例えば、今の私のモットーは「かっこいいおとなをつくること」なんです。
かっこいいおとなを作らないと若い人が入ってきませんし伸びていかない。他社から人を取るというよりは、中のメンバーをどう活かすか。
そういった意味でも人材面、組織面というところでは、どうやって彼らの火をつけるか、というところが1つの私の守りのミッションの中に入っています。

そういう人達が生まれると、若い人も動きやすくなって、また会社に活気が生まれていきますので、みなさんもぜひ、私と一緒にいけてるおとなを作っていきましょう、ということをついでに宣伝したいと思います。

 

金海:ありがとうございます。そうした理想の組織と人材を生み出すために重視されていることとして、「風土や変化を楽しむことへの意識の醸成」とあります。学びの重要性を理解し意欲を高めていく。

渡辺:そうですね。「リカレント」は個人の問題としての学び、「リスキリング」はある程度業務に沿った側面があるかと思いますが、後者の観点では、ClipLineを使いながら、どうやってその重要性を伝えていくのかを考えながら推進していますので、それをきっかけに自分の能力をどう伸ばしていくのか、ということに気づいて両軸で成長を促せるといいな、と考えています。これは土台作りとしての守りの戦略だと位置付けています。

 

金海:ありがとうございます。「いけてるおとな戦略」というのは変化をどんどん自分たちで作っていく、そのために必要なマネジメントは自分達でどんどんやっていく、その背中を見せられるような人達を増やしていく、こういうことですね。

そういう人を増やしていくにあたって、今お話を伺ったビジネスの構造を大きく変えていかなくてはいけない、その中で人材戦略も、人も風土も変えていこうという中で、その中でClipLineをどう使っていただているのかを少し最後の時間で触れたいと思います。

キンコーズ・ジャパンのClipLine活用事例

金海:大きく言うと3つの方向性があります。

・全社の情報共有・チームビルディング
・店舗・現場マネジメントのデジタル化
・営業力強化(法人営業の型作り)

 

まず1つめ「全社の情報共有・チームビルディング」なんですけれども、ここからは実際の動画と共にご紹介していきます。

これは一体、どういったものなのでしょうか?

 

渡辺:社長賞の発表になるんですが、私から発表をせずに、受賞メンバーから発表してもらう形にしています。先ほどお話した共感を生む仕掛けとしてですね。

 

金海:なるほど。ありがとうございます。次なんですけれども、これも近しい話かなと思うのですが店舗レポート「見てきた!」というもの。

これはどういったものでしょうか?

 

渡辺:我々キンコーズは東名阪に多くの店舗がありますが、実際、自分が働いている以外のお店ってみなさん見に行く機会があまりないんです。
発信することによって「あ、こんなことやってるんだ」「こういう場所にあるんだ」という短編をうちのメンバーに作ってもらって、周辺のお店であったり、周辺のものまであわせて紹介してもらいながら、定期的にコラムのように回しています。

 

金海:ありがとうございます。御社のCS担当の西居にも話を聞いてみたいと思うんですけれども、西居さんの目から何かコメントはありますか?

 

西居:そうですね、この「見てきた!」シリーズに関しましては広報の方が定期的にあげていただいてまして、広報の方が実際に店舗の中の様子を動画で取材して、店長さんだったり、そこで働いている社員さんのコメントを撮ることで、工夫や雰囲気というのがうまく発信されています。他の店舗の活用をしっかり共有できている良い事例だと思っています。

 

渡辺:ありがとうございます。

 

金海:「店舗を見に行ってこい」というのは、よくあると思うんですけれども、それはなかなか現実的には難しいという中で、こうやってバーチャルに見て「なるほどね、そういう風にやってるんだね」ですとか「こんな人がいるんだね」「あ、〇〇さん、元気な顔してるな」とかこういうのがあると、渡辺さんがおっしゃっている共感も生まれますよね。

 

渡辺:まさにそうですね。

 

金海:次の用途が「店舗・現場マネジメントのデジタル化」ということで、

これは機材の説明動画になりますでしょうか。

 

渡辺:機械操作って、今までPowerPointであるとかWordで使い方のマニュアルを伝えていたんですが、動画になって本当に楽になりましたよね。短尺で作ってますので、倍速で見たら2・3分で見れるくらいの内容で、機械の操作が相当楽になったと思います。

 

金海:これこそ動画のメリットそのものですね。
次の動画ですが、これは西居さんに伺ってもいいですか?

西居:これは店頭でのディスプレイの遠隔マネジメントの事例です。販売重点商品を各店舗でどのような形で販売促進しているのかというのを共有しているものになります。

店舗ごとに本部から「こういう風にディスプレイしてください」という指示があると思うのですが、それがちゃんとディスプレイできているのかClipLineでチェックするようなものになっています。

 

渡辺:ありがとうございます。もう1個付け加えると、我々地域によってお客様が全然変わってくるので、わりと自由に「作り変えていいよ」という方針にしています。それを受けて、他店はどう出しているのか、ヒントにしてもらえればと思いこうした仕組みにしています。それこそ暗黙知が形式知になると考え、このような遠隔の店舗マネジメントをしています。

 

金海:ありがとうございます。確かに立地によって法人需要が強い店舗もあれば、個人需要が強い店舗もあれば、色々あるというところで、全社でやることと、とはいえローカライズすべきこととの掛け算を、こういったものを使って柔軟にやってらっしゃるということですね。

最後、3つ目の「営業力強化」ですが、法人営業に力を入れているなかで、今やってらっしゃるのが、この「キョーイチ」、これはどういうものなのでしょうか。

渡辺:これはですね、事業部の本部長が、毎日短尺の動画を作り、今の売上や、営業の状況、ランキングをその場で毎日出しているんです。

従業員が日々の売上をどれくらい追っていくのか、これは店舗ビジネスでは非常に重要で、それが単店舗だけでなく、全店舗の内容を毎日のように知れるという内容です。始めてもうすぐで1年になります。発信している彼は随分視聴率を気にしていますが、いい取り組みだと思います。

 

西居:リアクションという意味で言うと、Clipに「いいね」ができるんですが、その数に関しては、どのClipよりも多いので、しっかりと注目して観ていただいていると捉えています。

 

金海:このライブ感はいいですよね。ホワイトボードに数字を書いて、見せて、今日ここまでいってるよ、というのは。

 

渡辺:結構、みんなでそういうものを共有できるのは大きいですね。エリアマネージャーくらいまではわかるんですけれども、それ以下だと全社の売上ってあまり気にしないんですね。店舗ビジネスをやれば、日々の出入りの売上って多分みなさん分かると思うんですけれども、これをどう共有するかは重要で、非常に有効だと感じています。

 

金海:ありがとうございます。この右側も面白い事例ですが、「伝説の営業、吉江さんのトークスクリプトを使ってみた」と。

 

渡辺:営業で、キャリアコンサルタントの資格も持っている人間がおりまして、トークスクリプトを使いながら、どうやってお客さんに問題提起をしていくのか、というところのロールプレイを動画化しています。
実を言うと店舗ビジネス以上に、法人の営業マニュアルとしてすごく使えるな、と今思っていて、ここはもっともっと強化していくつもりですね。

 

金海:ありがとうございます。今、渡辺社長からお話しいただいた営業において、どう、こういった学習ツールですとか、マネージメントツールを使うのかっていう話でいくと、まず大きな3段階があると思っています。

まず基礎知識を理解する、それを実践にむけて実践の仕方を学ぶ、それを最後にやってて、フィードバックをうける。

そのプログラムをさらに細分化したものがこちらになりますが、

商品の知識ですとか、お客様にお伝えしなきゃいけないことだけ理解していれば良い訳では無いのが営業の難しいところだと思います。
つまりブルーの所だけを理解していればいい訳ではなく、目の前のお客様に対しての顧客理解ですとか、その中で何を提案しなきゃいけないのか、ですとか、話を聞くべきタイミングなど、定型ではない部分に実はノウハウが多くあると認識しています。

オレンジのところをしっかり身につけようと思うと、吉江マネージャーが同じ拠点にいれば、それを見てすぐに学べるんですけれども、別の場所にいると、そんな先輩はこのお店にいません、だとなかなか学びようがない。

そこでClipLineを活用することで、全体での底上げを行っている状況かと思います。

ちなみに、これは当社が仮に支援するとしたらの話なんですが、営業力強化のプロジェクトの場合、まずゴールを決めて、何の数字を良くするか、そのためにはどういうプログラム・トレーニングを行うか、一緒に考えて、その効果測定を含めてPDCAを回すというイメージになります。

今後のClipLineの活用や関わりについて

金海:最後になりますが、今までClipLineを使ってまさに変革の真っ最中ということになるんですが、今後どのようにされていこうとしているのか、その中でClipLineをどのように活用いただこうとしているのか、お伺いしてもよろしいでしょうか。

 

渡辺:そうですね。特に店舗に関しては、どの業界も出店は徐々に鈍化しております。我々もだいぶ店舗を縮小させていただきましたが、一方で1to1でやっていく、所謂BtoBビジネスは、これからもっと細分化されると思っています。

AIではなかなか代替できないのが営業だと思いますが、その知識をどうやって増やしていくのか、その知識というもの自体を、お客様への価値の体現にどうやって繋げていくのかという観点で、ClipLineを通して細分化したマニュアルを作れると思っています。
部門横断で考えた時にも、営業マンがマーケティングの知識であったり、経営企画の知識であったり、さまざまなものを入れ込みながら、どんどん知識を共有していくことによって非常に屈強な営業マンができると考えています。

また別の観点での話ですが、最近メンバーにここ1年での「心に響いたストーリー」を募集したんですが、そしたら1割以上、営業マンでいくと3割から半分以上の人が出してきたんです。
その中身を見ると、やっぱり我々ってすごい良い仕事してるな、と感じられる。要はストーリー化して喋れる人が中にはたくさんいる。
こうしたことも表に形として出していきたいな、と思っています。

 

金海:なるほど。「いけてるおとな計画」が着実に進んでいるということですね。ありがとうございます。
本当に大きな変化の真っ只中ということなんですけれども、そこを共感というものを軸に置きながら、ノウハウも一緒にみんなで共有化していき、それによってより屈強なビジネスパーソンをつくっていくという方針をご紹介してきました。

その核となる部分にClipLineをおいてやっていただいてるということで我々もぜひ、キンコーズ様の「PARTNERS」になれるよう頑張っていきたいと思います。
今日はお忙しい中お時間いただきましてありがとうございました。

 

渡辺:こちらこそ、ご清聴ありがとうございました。