<事例講演>
確かなサービスと幸せを生む現場を作るために
小田原福祉会が取り組むこれからの介護と組織の在り方
社会福祉法人 小田原福祉会 理事長 時田 佳代子氏
介護業界は、世の中の人手不足等の変化を大変受けやすい業界ですが、その中で必ず人による人のためのサービスというものがこれからも続いていく、こういった大きな変化をこれからどのように捉えて組織として対応していくか、この観点で、本日は時田理事長をお招きしてお話をお伝えできればなと考えております。
それではまず時田様より、小田原福祉会様のご紹介と、時田様ご自身のご経歴について、簡単にご紹介をお願いできますでしょうか。
2000年に介護保険ができた直後の2002年に、私はこの法人に入職をいたしました。
創立者は父でございました。経営理念を『人は人として存在するだけで尊い』真の福祉は人の命の尊さを知り、個人の人格をこころから敬愛するところからはじまる、と掲げて今年で創立45年を迎える社会福祉法人でございます。サービスは神奈川県内の西にあります小田原市と、隣の南足柄市という2つの自治体に介護サービスを提供しています。また現在は、障害福祉サービスも行っておりまして、多くの方にご利用をいただいています。
また私自身は、2002年入職の前、大学を卒業後、地元の小田原市でイタリアンレストランを経営しておりました。起業は、今の法人の創立者である父よりも少し早い段階の1971年にイタリアンレストランを創業したものでございます。
その後30年の時を経て、54歳で新たな仕事に就くことになりました。当時、法人の運営者は、父が中心でございまして、特に親族が関わっていただけではありませんでしたが、法人の存続を考え、運営理念を間違いなく次の世代に継承していくためには、私が担うべきであろうという思いがありました。でも全くゼロからの業界でしたので、入職後に専門職大学院で福祉経営を学び、遅れてきた新人でした。きっと現場にいた皆様方からは煙たい存在だったに違いないと思いながら、しかし自分で福祉を学び、経営を学び、そして今に至ります。
齋藤:ありがとうございます。外食のご経験から介護事業への転身で、ご経歴のお話はこの後ぜひ聞かせていただきたいと思います。その前に、介護業界の現状について少し触れておきたいと考えております。
時田:今、会場の皆様を拝見いたしますと、きっと介護保険料をお給料から天引きをされ、担ってくださっている皆様が多いと思います。ただ、できれば介護という状態にはなりたくない。それが本音であろうかと思います。ところが、介護保険サービスというものは、その質を問う、その質といっても何が最も良い質なのかということを、なかなか明確にこれまで議論されておりませんでした。医療と違って、完全に治るということはない。すなわち、老化という問題に対応する介護という、まずその仕事であるということ。ですから、質を問うということが難しかった。
反対に、介護報酬というものは、要介護度が重い方の方が報酬は高いのです。つまり、介護サービスを使って、元気になっていただいて、介護度が下がると報酬が下がるという、極めて矛盾した制度なのです。これですと、何もしないで放っておいて重度化させた方が報酬は上がるという、本質的なこの矛盾点に、ようやく国がメスを入れ始めました。
では、良い介護とは何なのか。基本的に人は、介護は受けたくない。できれば最後まで自分の力で生きていきたい。それを実現することができないかというテーマなのです。この科学的介護というものは、そうした一人一人の人間のあるべき高齢化のモデルを作りたい。年をとっても、最後まで自分の意思で、自分で決定したいという人生を選択できる。それが本人の自立を助ける。そのための科学的介護ということなのです。そのためにデータが必要なので、今国はデータを取り始めました。データの結果がフィードバックされるには、少し時間がかかると思います。そのために今は、データを提供するだけで加算がついてきます。つまりデータ提供するお駄賃として加算がついてくるのですが、これによってビッグデータから見えてくる。どういうケアをすると、どういうふうに変化するか。それがここ何年かで明らかになってくるというのが、今ご説明のあった科学的介護の始まり。これは介護サービスの質そのものを問う仕組みであって、良い介護サービスとそうでない介護サービスが選別できる時代がきます。ぜひご期待いただきたいと思っています。
山田:ありがとうございます。それでは、ここから具体的な内容に入っていければと思います。
山田:内外の環境変化の前に起こすべき組織内部の変化として、小田原福祉会様がこれまで、そして現在どのように向き合われているか、お聞きします。最初に、時田様が法人に入職され、経営に携わる過程の中で課題感をお伺いできますでしょうか。
時田:私も先ほどの銚子丸さんのお話をお聞きする中で、まさに同じような組織であったなというふうに思っていたところです。創業者というのはどうしてもトップダウンであり、そしてその示す方向が間違っていなければ素直に組織の人たちはついてくる。しかし、結果としてそれは部下に考えさせないということにもなる。トップが優秀であればあるほど部下はそれに素直に従う力はつくけれども、まさに銚子丸さんと同じように私どもも法人の中に創立者をサポートする人はいても、次の経営を担う人材というのはなかなか育っていなかったというのが実情でした。
併せて年齢が高いそういう方たちが組織の上の役職を務めているために、世代交代も大きな課題でした。私が理事長就任時、私の役目は、今の組織をどうするかということもあるけれども、次の世代に確かなバトンを渡すために存在する。私の使命はそこにあると思ったのです。そこで経営を学ぶ経営者としてなるために時間は必要です。多分10年くらいかかるかもしれない。であれば、若い世代を抜擢をして、早い段階で彼らに経営全般を理解させるような組織構造に変革をしなければならないと思いました。そのために30代の若手を抜擢し、ゼロから彼らと一緒に組織を新たに作ることに挑戦をして今に至るということでございます。
山田:ありがとうございます。その中で第二創業期というキーワードが非常に興味深く拝見しておりましたが、こちらについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
時田:先ほど銚子丸さんも銚子丸2.0とおっしゃいましたが、私どもも創業者から私がバトンを受け取り、そして実はいみじくも昨年創業者そして創業者とともに創立の基盤を作ってくださった先輩が皆さん昨年お亡くなりになりました。まさに創業の時代から次の時代への転換点にあるというふうに思いました。それを第二創業期と銘打ちました。
介護保険制度も3年に1回ずつの変化、そして新たな科学的介護の導入、これまでの介護サービスの提供だけに留まることなく新たな私どもができることにも挑戦をしていく。今は高齢者の分野が中心ではありますが、今私たちの社会の中には様々な福祉の課題がある。まだ手をつけていないだけで私たちが担わなければならない、たくさんの役割があるに違いないとも思いました。それらを挑戦するために第二創業期と名付けて新しい仕組み作りを含めてスタートをしたところでございます。
山田:ありがとうございます。第二創業期の推進、そして新しいチャレンジの一つ、「全員経営」というキーワードを掲げて事業推進されています。こちらのお考えや具体的なお取り組みについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
時田:まず、介護保険制度というものは、介護保険法の第一条に目的が定められておりまして、そこには自立支援のために、という基本的な考え方があります。介護サービスを利用する、お一人お一人の高齢者が人生の最後まで可能な限り自立して生きること、それを支えることが私たちの仕事の本義です。そして、そうであれば私たちのサービスは結果としてご利用者が幸せになることであり、その幸せになるご利用者をサポートすることがそこで働く私たち一人一人の幸せでなければならない、そんなふうに思ったわけでございます。
そのため、経営といっても最終的な最後のワンマイルという直接ご利用者と接する一人一人の職員がどれだけ質の高い介護サービスを提供することができるかにかかっている。だとすれば経営のすべての情報はその一番先端にいる一人一人が理解し納得し、そして法人の進む方向にベクトルを合わせてくれないとだめだと思った次第です。それが全員経営と銘打ったことでございました。
具体的には、経営の数字は全部現場に公開をしており、特に主婦の皆様が多い現場の管理者の皆様は、まさに家計簿を作ると同じような要領で収入と支出をきちんと毎月、自分の目で確認をし、今はこの収入のあるいはこの支出の意味やこの付け方は間違っているんじゃないですかと、経営にフィードバックするくらいまで数字を見る力がついてきていることが本当にうれしいことでございます。
あるいは常に創立者の方を見ていて判断を待っていた現場が、自分たちで判断しなければいけない局面が近年様々起きています。特に災害です。例えば台風が近づいてくる時にサービス提供をどうしようか、このサービスを提供しない時に利用者は困らないか、それは現場でなければ分からないのです。本部でこうしなさいと決めた時に間違ってはいけない。その為、最終的な運営をするもしないも含めて現場が判断できるように権限を委譲いたしました。コロナ禍はまさに現場判断の委譲が非常に有効に機能したと思っています。
そしてこうしたことを通じながら一人一人が人材として自立すること、それを目標として、しかし失ってはならないのが法人の掲げた創立者の理念でございます。その理念を「潤生園の原点」という冊子を作り、全職員が学ぶための教材にしています。理念を失うことなく、社会や時代の変化に柔軟に対応できる組織であること、それが全員経営の目指すところでございます。
山田:ありがとうございます。理念浸透を冊子にまとめ、内容を一人一人に落とし込む。理念浸透を非常に大切に事業運営されてらっしゃると思いました。
山田:もう一つ大きなテーマである人手不足。こちらは介護の業界だけでは無く、様々な業界で現在大きな問題になっていると思います。人材不足に対する時田様としての捉え方、向き合い方に関してお伺いできますでしょうか。
時田:大変に残念ながら介護という業界に対する社会的な評価はそう高くないと感じています。医療や看護に比べ、介護という仕事がまだその内容を十分にご理解いただけていないことにも要因があるのだろうと思います。しかし考えてみてください。人は誰でも必ず老いを迎えます。その時に最後まで医療で自分の体や心をコントロールされたいでしょうか。できる限り医療とはできれば無縁で健康で最後まで自分らしく生きていきたい、そう思われると思うのです。
しかし、人は老化を重ねることは避けがたい事実です。なるべくなら老化を促進するスピードを遅くする。そして最も恐れなければいけないのは、廃用症候群という現象です。人間は動物ですから体は動かさなかったら衰えます。高齢者は1日ベッドで休むと1週間同じように動くことができなくなります。そのくらい廃用にならないためにどう私たち一人一人が人生の最後まで自分の体を整えるかということが大きなテーマでして、この廃用症候群をケアできるのは介護なのです。これは医療でできることではないのです。しかし、なかなかご理解をいただけていないことがあります。実は介護は大きな意味で言えば医療や看護も包摂したもっと大きな1人の人間の全てを、人間の命を、人生全体を丸ごと支える営みなのです。
こうした人が人でなければできない仕事、それは介護という仕事を通じて今若い人たちの中でお金儲けであるとか出世であるとかそうしたことよりも、自分の存在が誰かの役に立つ、自分の存在価値が上がるための生き方を求めている人が非常に多いと思っています。介護という仕事はまさにその生き方に最も適した仕事だと私たちは思っていますので、そのメッセージを堂々と伝えていきたい。そして介護という世界がどれほど素晴らしい世界であるかということを積極的に発信していきたい、そんなふうにも思っています。
またそれをご理解いただくための法人として、研修体系を確立して専任の介護教員を数名おいて、全く経験のない人たちでも安心して現場でお仕事のできる仕組み作りにも取り組んでいるところでございます。
山田:ありがとうございます。まさにお話いただいたようなあるべき介護現場の姿、仕組み作り、昨今のこの人手不足の状況などを鑑みるとデジタル化が選択肢の一つになり得ると考えております。そこの意義について考えていきたいと思います。
山田:介護業界様におけるデジタル化の現状についてご紹介をさせていただきます。
「LIFE」の展開や、制度改正の流れに合わせ、スライド左側の四角にあるような勤怠管理や経理管理、業務管理系のシステムですね、あとは利用者の情報を共有していくような記録のシステム導入から徐々に進んできているのが現状です。
一方、厚生労働省様の調査では、スライド右の統計データになっており、IT に対する苦手意識が他の業界に比べ、非常に強かったり、IT自体を運用できる管理者様側の人材の確保が難しかったり、システム導入の費用負担という観点で推進が思うようにいかないというのが介護業界様の現状かと思います。
山田:小田原福祉会様においても、デジタル化の現状に関しては、同様の難しさを感じられていたと、私がお会いした当初からお聞きしておりました。このテーマに関して小田原福祉会様のお考えをお伺いしてもよろしいでしょうか。
時田:幸いなことに創立者である前理事長は、先駆的な取り組みをかなり早い段階でしておりましたので、2000年よりも前段階で現場の介護記録はデジタル化を始めておりました。その為、職員たちはデジタル化について、そう無理なく現場の仕事として行うことができておりました。ただ一人一人のリテラシーがあるかというと、なかなかそこは十分ではないというのが実感でございます。あるIT企業から介護業界に転職をされた方が、介護業界のIT化は江戸時代であると言っておりましたので、一人一人の介護職員の方が十分にデジタルの世界に積極的かというとなかなかそうはいかないということはありました。
2年前にお給料を紙ではなくてデータで配信するという仕組みを始めて、それも人事部が一人一人に丁寧に教えることでようやくこれが緒に就き始めているところでございます。その為、デジタル化はどうしてもやむを得ない時代の趨勢であろうと思いますが、入れたら終わりではなくて、一人一人に丁寧に寄り添ってサポートするという側の苦労と言いますか、努力と言いますか、それは絶対に欠かすことはできないことだと実感をしているところでございます。
齋藤:デジタル化において選択肢の一つとして、私どもClipLineが存在します。介護業界でのClipLineの活用方法に少し触れ、具体的な事例のお話を聞きたいと思っております。
スライドの縦軸が施設内における業務の頻度、右側が作業の内容です。介護事業所様の介護記録、あるいは見守りですね。IoT やセンサーを使って省人化自動化が進んでいる領域は多々あると思います。
その一方、右側のロングテール部分は、介護のサービスというのは人によるサービス、ご提供するサービスというのが中心になるかなと考えております。人の生産性の改善、つまり効率と品質の向上を両立させながら付加価値をどう上げていくかを常に考えなければいけない部分であり、事業の競争優位性、事業優位性の中で、てこになる要素かと思っております。
齋藤:実は我々ClipLineは、介護の事業者様と長いお付き合いをしております。
大手から中堅の事業者様まで幅広くご採用いただいいており、観光庁様や自治体様のご支援もしております。用途としてスライド右側にありますように教育や研修の用途ですね。これは介護技術や法定研修ですね。集合研修からOJTまで幅広くご利用いただいております。現場の皆様に思いを届ける、理念を届けるということで、インナーコミュニケーションや組織内コミュニケーションという言い方がいいのかなと思うのですが、この要素も非常に多いと思っております。もう一つは拠点の運営支援、現場サポートでの使い方がございます。
現場の実行力を上げる点で一つ触れておきたいのが、冒頭で基調講演がございました野中先生のSECIモデルを現場に根付かせていくというところ、介護現場においてもまさに暗黙知が非常に多いというお話を聞いております
例えば、看護師の方や理学療法士の方など、非常に多くの役割を持った方々が業務をされています。ノウハウが埋もれ、技術承継そのものがなかなかできないない、というお話があります。現場の暗黙知を表出化し、組織の知として循環させていく中、まさに介護領域においてもSECIモデルをご活用いただけると考えております。
山田:小田原福祉会様でのClipLineのご活用事例です。全体感としては、当初お感じ頂いていた教育体制の更なる充実や理念浸透といった課題意識に対し、教育、理念浸透の為のプラットフォームとしてのClipLineの提供価値がマッチしたものと認識しています。
まだ道半ば部分もあるとお伺いしていますが、ClipLineの取組みによる御法人内の変化や引き続きご期待頂いている成果について時田様にお伺いしていきます。
山田:ClipLineを選定いただくにあたって、抱えていた課題意識からお伺いしてもよろしいでしょう
時田:現在職員が500名近くになっております。人材育成センターがありますが、一人一人にしっかり研修し、育成するということは人材規模の拡大を阻害する要因でもありました。併せてコロナ禍で対面が難しいということにも直面を致しました。私はその時期にClipLineというものがあることを知りました。併せて同じ時期に人材育成センター長の安部がClipLineを、やはり同じように検討していたのです。
私と安倍と2人でとりあえずやってみようかということでお話を聞くことになり、そして実際に導入を始めたわけですが、人材育成センターができた後からの人材養成、人材教育にはしっかりプログラムができており、十分に機能していたと思います。
しかし、その前にすでに入職していた先輩たち、この先輩たちに対する教育が実は十分ではなかったということにも気がつきました。介護というものはあまり変化しないとお考えかもしれませんが、実はそうではなく、介護技術というものは進化しているのです。10年前の介護技術は今は通用せず、先輩がそれを理解していないために新人で新しい介護技術が身についた職員との間で軋轢が生まれたりもしていました。そんなこともあって、一旦全社員にもう一度基礎から学び直しをしていただかなければいけないというのが率直な現場の課題感としてございました。それがClipLineを導入した最大の目的でございます。
山田:ありがとうございます。あと一つ、すごく興味深かったお話として、導入のきっかけとして吉野家様の事例が非常にご共感いただいたという話を聞いています。一見全く異なる業界のように思えるのですが、どのような共通点をお感じいただいたか、ぜひご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
時田:私どもの法人も多店舗展開の法人でございまして、なかなか一遍に集めてできるということが難しい。そんな中で吉野家さんのClipLineの事例は多店舗展開してあってもサービスの質を担保するための仕組みであると感じました。まさに願ってもない仕組みであるということを率直に吉野家さんの事例から私は確信を持ったということでございました。同じようなやり方ができると必ずプラスに働くに違いないというふうに思ったことを覚えています。
山田:ありがとうございます。ご評価いただいたポイントを少し整理させていただきます。介護という無形のサービス、いわゆる暗黙知の部分というものを全職員が同じレベルで同じ品質で提供していく、いわゆる現場でのOJTの部分をまさに形式知化された動画により代替していく、この点に非常に共感を持っていただいたと。
単なる一方向的な教育というところではなく、受け取った側がそれに対するリアクションを返すという形で現場からの相互のフィードバックができるという仕組み、そこが整っている点に関してもご評価をいただいた点だと思っております。
もう一つ、「全員経営」というこの大きなキーワードですね。これを行っていくには経営の意思決定や経営の思いを全スタッフにしっかりと落とし込み切らなければいけないというところです。その意図がしっかりと思いとして伝わる映像で配信していくことができる仕組みにご評価をいただいた点と考えております。
こちらのコンテンツに関しては、実際ClipLineのプロジェクトの窓口になっていただいている関根様が業務のご紹介をしていただき、本当は10分くらいある一連の動画になるのですが、その触りの部分を流させていただきました。こちらはどのような意図で作成いただいたかとか、その辺あたりぜひご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
時田:ClipLineの前から、このみつばちチャンネルというのは、職員たちが横のつながりを密にしたいという思いで、自分たちで考えたコンテンツで発信をしているものでございまして、楽しみに職員たちはこれを見ていると思いますね。
山田:ありがとうございます。そしてスライド右下が、理念の浸透で、こちら実際に時田様がご登場されて、法人の理念や経営の思いを伝えるためのメッセージ動画になっています。(理事長メッセージ動画)
こちらもBGMと相まって直接語りかけられるような、大変心を打たれるような内容になっているのですが、こうした動画に関してどのような思いで実施いただいたか、ご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
時田:本当は一人一人にお会いして、そして日頃の思いを伺って、これから法人がどこに向かおうとしているのかを直接伝えるべきだと思っています。ただ、500名ともなるとなかなかそうもいかないというもどかしさがあります。しかし、少なくとも私自身の思いや皆さんへの感謝をどうやって日々伝えられるかということに本当に常に頭を抱えているといいますか。こうした動画のコンテンツはそれを少し解消してくれる、そういうツールだと思います。
もちろんデジタルだけで全てが終わるとは思えません。しかし、少しそこを補うことによって、一人一人の職員との距離を近く、そして実際にお目にかかったときには本当にその方のことを心から感謝し、そしてこれからのことを一緒に考える時間を作れる。その様に感じ、ClipLineをこれからもっともっと活用できるように工夫をしていかなければいけないと思いました。
私、先ほど野中先生がClipLineは暗黙知を暗黙知のままで動画にできるっておっしゃったことがすごく印象的でして、決して暗黙知を形式知化するということにはこだわらなくていいんだということが、今日は新たな発見でございましたので、これからの取り組みをさらに頑張ってまいりたいと思っています。
山田:ありがとうございます。ぜひそうした取り組み、私たちもご一緒にサポートさせていただければと思っております。今日はお時間の関係もあって、使い方のご紹介というところに関しては以上となります。今のお使いの活用方法もそうですし、他の法人様、介護企業様のご利用のされ方や、それ以外の部分に関してもご紹介できますので、ご興味がありましたらぜひお声掛けをいただければと思います。
また、ご紹介の中で1つサンプルコンテンツというお話をさせていただきました。介護業界のお客様に対し、法廷研修、介護技術、BCP対策、認知症対策など業界共通として必要とされるコンテンツを中心に、弊社側から標準コンテンツ化しております。もし詳しくお知りになりたいという方がいらっしゃいましたら、こちらもぜひご連絡いただければと考えております。
齋藤:それでは最後にぜひ今後の取り組みについてお伺いし、本セッションのまとめとしてまいりたいと思います。これまでお話を伺いましたが、ぜひ時田様から今後の御法人の展望や、実現していきたいことをお聞きできればと思います。
時田:第二創業期をスタートし、今年4月からパートの職員さんも含めた全ての職員さんを対象に全職員対象の研修事業を始めました。新たな時代を作るための潤生園の介護をもう一度作り直すという取り組みです。創立50周年まで、あと4年間なのですが、4年間かけて潤生園を(名実ともに)日本一の社会福祉法人にするという決意をしております。日本一お年寄りが幸せな、そしてそのお年寄りを幸せにすることによって職員自身が日本一幸せになってくれる、そういう社会福祉法人を作ることが私のこれからの決意であり、そして宣言です。
職員たちに、創立50周年の時がそうじゃない、今がもう日本一なんだという気持ちで日々の仕事に向かい合おうと激励しています。日々その様に、わくわくしながら、新しい時代をすべての職員と一緒に作り上げていきたい、そう思っています。老いることを不安に思わない社会を作る。高齢社会は実は豊かで、高齢者自身が生き生きと人生の最後まで楽しんで暮らせる、そういう時代を作る。それが私たちの壮大な目標でございますので、そこに向かって頑張りたいと思っています。
齋藤:時田様、大変思いのこもったお話ありがとうございました。我々もぜひ、御法人の今後の成長に向けてご支援してまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
時田:こちらこそよろしくお願いいたします。
齋藤:本日は短い時間でございましたが、皆様ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。