<事例講演>
「デジタル化・DXが当たり前」の時代に考えるべきこと
各業界の実践事例と注意すべき落とし穴を解説

ClipLine株式会社 執行役員 エンタープライズ営業部 部長
齋藤 誉

それでは最後の事例セッションとなります。本セッションでは『「デジタル化・DXが当たり前」の時代に考えるべきこと』と題し、DXの話というより、DXを活用され、どのように業務に組み込んでいくのか、その中での難所の乗り越え方、詳しい事例を交えながら解説していきたいと思います。

最初にDXの現状と目線あわせ、その中での難所と、現場の実行力を上げるためにDXをどのように組み込むのかというお話、そして、その実行力の向上に向けて取り組まれているお客様の事例をいくつか解説したいと考えます。

DXの取組状況

まずは1つ目について。DX の取組状況、トレンドについてお話します。
こちらの資料は日米のDXの取組状況の比較資料です。見ていただくと日本もアメリカも7、8割位すでにDXは取り組んでいます。かなりの割合でDXの取り組みが進んでいるのがお分かりいただけるのではないかと思います。
「成果はどうでしょうか?」という話、左上のグラフですが、日本の場合は成果が出ているのが大体6割弱くらい、米国では実は9割くらい成果が出ているため、ここに大きな差がございます。

右下のグラフは「どういった取り組みの内容に成果が出ましたか?」という話、大きくはアナログや物理データのデジタル化ですが、簡単に言うと、ペーパーレスなどですね。

電子化は比較的わかりやすい所から入っていっていると。その中から業務の生産性を上げるための仕組み、例えば画の「新製品・サービスの創出」というテーマや、ビジネスモデルを根本的に変えていこう、といったDXはまだまだ道半ばかな、と思います。
日本は実績として20%くらいという成果、事例としても出ているという話です。

なかなか成果が出せないというところの中で、1つ着目いただきたいのが、データを使えているのか、という話です。今回冒頭の当社セッションの中でデータ活用というお話にいくつか触れていきたいと思います。

例えば一番上の「接客サービス」のテーマ。「データを使って何かしらの売上の創出、増加に繋がったか」という質問に対して、米国は売上増加している所でいうと、8割近い何らかの増加が得られたという回答が出ていますが、日本においては約30%ちょっとくらいで、非常に少ないです。

では、なぜデータの活用が出来ないのか、進まないのか、という話です。業界別で考えてみると、もう少しヒントが出るかと思います。並べてみると、サービス業におけるDXの浸透度なのですが、実は一番取り組み浸透度が低いように見えます。2021年の総務省データですが、DXの調査の中で「まだまだ実施もしていないし、今後の予定もない」と回答しているサービス業の方が非常に多く見られます。

ということで、最初はデータに向き合いながら、この後のお話を進めていきます。

ただ、私はこのデータが使えないというところとか、あとは取組浸透度が低いというのは、何かしら理由があると考えます。

サービス業界におけるDX 取組の難所

サービス産業においての特徴は、4つのキーワードがあげられます。皆様、釈迦に説法かと思いますが「無形性」「同時性」「消滅性」「変動性」です。

業界・業態によっては「いやいや、在庫持っているよ」とか、目に見えるものあるよ、というお話がありますが、例えば「無形性」で分かりやい例ですと、フィットネスクラブや美容、あるいはマッサージというのは基本的にどういうサービスを受けるのか、なかなか想像つかないわけですね。

それから外食というのは基本的には生産と消費が同時に行われますし、先ほどその中で銚子丸様のセッションでは、だからこそ良質な外食体験をするんだ、と。まさにサービス提供というものでは「体験をしてもらう」ことに価値を見出さなければいけません。

そして「その価値を提供する人は誰ですか?」というと店舗であり、人であり、時には変動するわけですね。美味しかったり、美味しくなかったり。味がしょっぱかったり、そうじゃなかったり。こんなことがあるわけです。何が言いたいかというと、データを貯めていくということがし辛い業界ではないか、と考えます。

サービス産業全体として、こういった何かしらのこのキーワードにあてはまってきてしまうのがあります。データがたまらないので活用も進まない、というのも1つあるのかなと思っています。

業務のロングテール化(高度化・多様化)

この画は先ほどのセッションから何回か出ており、改めてになりますが、業務自体のロングテール化という話です。もう少し言うと、画の左側は比較的作業が多いもの、業務頻度が多いものですね。右のロングテールになっているのは、実際現場で行われている作業内容、ここでは小売業やコンビニエンスストアの例を言っていますが、いわゆるDXで代替できるところ、AIとかロボットを入れて回っていくところ、やはり人が遂行しなければならない業務というのがまだまだ沢山あり、これがロングテール化しているというのが味噌です。ロングテールの中身というのが難しく、例えば1カ月に1回しかやらない業務というのがあるわけですよね。

 

そうすると、新人さんが入店してからその業務に触れる前に、先にお店に出てしまうと「私、それやったことありません」ってなるわけですよね。こういったことが頻繁に起こると「私、教えられていません」といった話が積み重なり、業務自体が高度化している中で、教えなきゃいけない内容のメッシュがなかなか細かい、という話がございます。

先ほど、当社ClipLine金海のセッションでもありましたね、サービス業においての「ワニの口」という話です。目指す姿というのが上ですよね。市場競争力、企業競争力を上げながら人口減の中で、どうやってサービス品質を上げるかということで、非常に目指す姿は高いのですが、足元、現実を見ると人の確保が難しい、業務品質はいわゆるオペレーションを回すだけで手一杯になり、このギャップというのが目に余るという話があります。

つまり、こういったかたちでギリギリのオペレーションをしている中で「何かデータ活用って言われても、ちょっとピンとこないですね」という話もあるかもしれません。

そして最後、組織の構造問題。多拠点、多店舗型ということで見た場合に、拠点の数や店舗の数が増えると、本部から物理的な距離がどんどん離れていきます。もう1つは、数が増えると多階層化するわけですね。ですから、マネージメントが複雑になってくるということです。

そして、複数の本部の方々が中間層、ミドル層の方々、この画で言うと右側ですね、砂時計構造になっています。というのは、中間層に情報が一局集中していく。ここまでは良いですが、一極集中した情報が下の方に落ちるかどうかは、ミドルマネージャーの方の力量にかかっているという話です。ですから、拠点が複数ある場合、拠店毎に情報の落とし方や、流度が違う、タイミングが違うと、こんなことが起きるというのもサービス業の構造問題かと理解をしております。

3.現場のデジタル化・DXを考える際のキーポイント

それではここまでで、実際に現場のデジタル化などDXを考えていく中で、何を肝として捉えていくのか、少し紐解いていきたいなと思っています。

今回は非常に多くの業界に従事するお客様がいらっしゃると思います。セッションですと外食、介護のお話がありました。本セッションでは事例として、小売や物流の事例を少し紹介したいと思います。業界ごとの固有なテーマというのは多少ありますよね。

例えば、この後お話ししますけれども、物流業界でいうと2024年問題というのは、介護の介護報酬の改定ではなく、物流業界の2024年問題というのは、最近ニュースでよく出ていますよね。あるいは環境問題もありますし、小売ですとインバウンドや極小商圏対応、業界毎に違うテーマが多々ある。そして、その中で経営が優先しなきゃいけない課題、ど真ん中にあるのはDXやAIというお話があるかもしれませんし、そもそも足元、価格高騰にどう対応するか、の課題があるかと思います。

忘れてはいけないのは、上のテーマばかり優先して取り組むわけではないですよね。下にある現場の方々が持っている課題をどこまで一緒に解決できるか。あるいは、現場の課題どう優先的に手を打てているのか、が非常に大事だと考えます。

そして現場が抱えているのはこういうことかな、と思っているのですが、デジタルと人のバランス。「やじろべえ」みたいにしてみたのですが。結局ですね、これはしばらく、全部デジタルに振れるとか、人に振れるってことはないわけです。ですから、必ずデジタルとかDXは向き合わなきゃいけないわけですね。

先ほどの介護のお話もそうでしたけれども、デジタルはもう現場にあって、あたり前です。ですから現場の方々に「ちゃんとデジタルを使う」ということも浸透させなくてはいけないですし、ただ現場の方のリレテラシーが低いからといって、そこで目をそむけてはいけないという話です。

コロナによって、実はデジタルはどんどん浸透したと言えますので、今はチャンスだと我々は捉えております。ただ一気にデジタル化に加速したからといって、人の部分のケアをおろそかにすると先がなくなってしまうというところも事実かなと考えています。

つまりデジタル化する領域と、人の価値を持って業務をしっかり作っていく、価値を創出できる領域はロングテールであっても、ここの要素を人がしっかり人が担っていくことによって企業競争力の源泉になるということでもあると、我々は考えております。

そのため、私どもの考えるDXというのは、左側の領域だけではなくて、右側の人による作業とか付加価値を出していくための領域のDXというところの推進をしたいというところが大きなポイントです。

なぜこのような話をするかというと、いわゆるITサービス、クラウドツールが多岐にわたり、例えば飲食店向けのクラウドサービスで言うと、ものすごい数のサービスがあるわけです。

これを見極めながら企業内に導入していくのは、それなりにハードルが高いんですけれども、ただ結果として、実はもうすでに色んな業務領域に色んなシステム、DXが入ってきているんですね。右に記載しましたが、お客様に対する口コミ管理とか、CRMみたいな会員管理、SNSのフォローとか、満足度調査とか。店舗内っていうのはかなりセルフオーダーとかポスレジも勤怠管理も、あるいは配膳も自動化、在庫管理っていうのもシステム化っていうのはどんどんどんどん進んでいるですけれども、これが問題になっているのは何かと言うと、ポイントソリューションなんですね。

そのため「何々のためのツール」「何々のためのツール」ってポイントでどんどんどんどん入れるわけです。私どものようなIT会社もいけないかもしれませんが、導入しても、入れっぱなしになっていて、そこで使っているデータや、貯めたデータって何かに活かしてますか?っていうのが今日お話ししたいところの、もう1つなのです。

つまりは、実は色んなシステムの裏側に色んなデータがこのように眠っているのではないかと思っているんですが、このデータはほとんど活かされていないのではないか、というのが当社の考えるDXの弊害ということなのかな、と思っています。

先ほどからお話している「デジタルと人」という話ですが、まさに「ワニの口」を閉じるために何をするかというと、まずは人のお仕事で置き換えられるのは、現状の業務を効率的にするために、どんどんデジタルにしていけばいいと思います。

ここまでいったら、その先の目指す姿に向けて、つまりは下の領域というのは「効率化」なんですけれども、上の領域っていうのは「品質」ですよね。品質を上げるのは、まさに人によってもたらされるべきなのかなと思っています。そのため、我々はDXは必要だと思っていますし、DXとともに必要なものとして人の価値を高めていく要素ですよね、ここをサポートしていきたいというのが、当社のご支援したい内容です。

そして、今回の様々なセッションの中で、おそらく皆様お感じになられたと思うんですけれども、最終的に実行するのはどこかというと現場になります。

左上に出ている画は、「サービスレベルの本部と現場のギャップ」です。A社とB社というのがあって、実際にお客様が体験するサービスレベル、いわゆる体験価値ってどこですかっていうと、この山のでっぱりのところで感じちゃうんですね、お客様は。

そのため、本部がいくら「いや、これ美味しい商品を出したよ」と言ったところで、現場で例えば先ほどの銚子丸様のお言葉を借りると「良質な顧客体験がどこなのか」っていった時に、そのサービスを提供している店舗の大体、この山の出っ張りの所を指します。

この山の出っ張りの、ここの出っ張りか、ここの出っ張りとか、というところで、お店の価値を決めてしまうようなことがあるわけです。つまり、それを決めているのは何かというと、本部がいくら良い施策を打ったからではなく、現場が実行して、そこで生まれるお客様満足とかお客様体験の価値というのが、最終的な購買活動とか収益に繋がってくるという話です。

そして、まさにその現場っていうのは、まぁやっぱり本部よりも現場ですよね、という改めてのお話ですが、中間層にいらっしゃる方々もそうですし、私どもはお客様の一歩手前でサービス提供されている方々をラストワンマイルという言い方をしておりますけれども、そこにいるスタッフの方々の実行力を上げていくところが非常に重要だと思っています。

ただ、実行力を上げるというのは簡単にはいかないわけなので、どうやってやるかと言った時に、まさに先ほど小田原福祉会の時田理事長がおっしゃっていましたけれども、本部の熱量を伝えるということですよね。時田理事長のお話に私はすごく熱量を感じて聞いていたんですけれども、理念とか、あとは「何でやるか?」。まぁよくある「WHY」を伝える、「WHY」と「HOW」をセットで伝えるってなんてお話があるのですが、実は実行力を上げる梃子になるんじゃないかというお話ですし、その裏側では、現場の中でのノウハウをもっと使っていこうっていう時にSECIモデルを使うという話もあると考えております。
DXをしっかり成長に導いていくというか、成功に導いていくといった時には、やはりデジタルと人の融合というところがキーワードかなと考えております。

当社はサービスプロフィットチェーンというビジネスの下敷きというのをこちらに置いていますが、基本的には画左側、人的投資を行い、お客様への提供価値を上げ、それが売上利益に繋がるという、このチェーンを回していくのですが、チェーンの回し方の中においてですね、直近ではデジタル化をして効率化を進めるという要素で、ここの中でやっぱり極所最適が出来たりするんですけれども、しっかりここにある培ったデータ群というのは大事にしていただいたらいいのではないかと考えております。そこに何かヒントが眠っているのではないかと考えます。

そして人のところもですね、これ、人がやるからといってデータ化が出来ないかというとそんなことはないんですね。例えば組織とか、従業員の方の属性とか、スキルとか、教育の進捗とか、私ども「CLipLine」がサービス提供するのはその部分なんですけれども、そういった人に関するデータをとにかく集めていくことによって、この2つを人とデジタルを結び付けて、最終的に財務成果に繋がるパスを一緒に探させていただきたいな、という風に考えている次第でございます。

前段が長くなってしまいましたが、ここから具体的な事例のお話に触れていきたいなと思います。
業界事例としては2つあげさせていただきます。まず1つ目は小売業界様の事例です。

4.各業界事例に見る“現場実行力”向上のポイント

一言で小売と言っても、量販店様から専門店様まで、購買単価もいわゆる数百円から数十万、数百万くらいまで、かなり幅広いお客様を実は我々ご支援しております。

この画が小売業界の「ClipLine」のご採用企業様の一例です。コロナ禍において、逆に言うと、コロナの影響があまりなかったといっても過言ではないんですけど、逆に色んな業界・業態の中で導入が進んでいったという風に考えております。ご活用度のお話はちょっと書かせていただいておりますが、いくつかテーマがございますので、最初に「教育」のテーマから見ていきます。

 

取組例①:階層別研修・OJTのデジタル化

非常にわかりやすいところで、正規社員の方の教育、つまり階層別教育が画の左側ですね。そして、非正規社員の方々、特に現場の方に多い非正規社員の方々のご支援というとOJTのデジタル化という要素があるかな、と思っています。

私、あるスーパーの方の言葉が非常に耳に残っているのですけれども「現場の教育格差をなくしたい」とおっしゃっていたんですね。「教育格差って何ですか?」っていうとですね、やっぱり人によって教え方のバラツキがあるから教えられる体験、教育の体験も違うんだよ、と。それが人によって格差があるって問題じゃないですか?とおっしゃったんです。私はすごく、この言葉が身に残ってまして「店舗において教育格差があってはいけないんじゃないか」というお話がある、と。

あとは一部のスーパーマーケットさんなんかですとM&Aをされて、各社の育成方針がやっぱり違うので、これを統一的にやっていきたいという時に、こういった階層別の研修から入るというお話がありました。

OJTは、まさにスーパーマーケットさんで言えば、レジとか接客やクレーム対応といったところもありますし、総菜の作り方とか、魚のさばき方みたいなお話もあるわけです。

高齢の方の利用をサポートをする為に、お店の方の業務が多岐にわたります。先ほどのロングテールの話じゃないんですけれども、DXを進める中で、それによって生まれる人の業務っていうのがあるかもしれない、と。こういったことを仮説立て浸透させれば、おそらくこんなような事態は起きないはずなんですけれども、そこが「とりあえずツール入れたからよろしく」ってなってしまうと、こういった悲鳴ですかね、残念な状況が起きてしまうのも1つかな、と思います。

こちらは先ほど、特にOJTですとか対面で教育する時のバラツキの話、画の右側ですね。OJTなどお客様にヒアリングした際「よくなかったことって何ですか?」とお聞きすると、教え方が上手い人と、そうでない人がいる、とか、人によって相性があるということで、これがまさに教育のバラツキ原因になるんですよね。

OJTを「ClipLine」というシステムで代替していくと何が良いかというと「CLipLine」というシステムは、どのお店に行っても同じOJTが受けられるという、こういうかたちになるのでAさん、Bさん、Cさんが教えてくれるという時に、教え方が違うということは一切生まれないです。

それから、どんなに聞いてもというか、どんなにシステムを見ても怒られることはないというところですね。よくお話にありますけれども、新入社員の方が1回聞いて、2回目聞いたら怒られたみたいな話ってありますけれども、こんなことは絶対におきませんので、やはりこの初期教育の課題感なんかはデジタル代替すると、上手く進むのではないかという話です。

取組例②:重点施策・地域戦略の落とし込み

こちらの画がまさに重点施策や地域戦略の落とし込みで、量販店さんもありますし、専門店さんでも両方ありますが、つまり財務成果に繋げるための直接施策という話なんですね。例えば当社のお客様ですとオーゼキ様では、個店戦略ですね、個店施策の推進のために、売場とかPOPとかこういったノウハウをまさにSECIモデルのように循環させていくために「ClipLine」を活用いただいています。

 そしてお店ごとに行うイベントですね、それも地域性があるようなイベントでも色んな場所でやっているイベントというのは、そのお店に属しているアルバイトの方、社員の方は存じ上げるんですけれども、他の店の方って触れることが出来ないので、映像で吸い上げて、それを横展開することによって「うちのスーパーマーケットってお店によってこんなにやってることって違うんだ」と認識してもらえるような使い方があるのも1つかなと思います。

それを接客展開していくと、接客コンテスト、販売コンテストみたいな形で、成功事例をどんどんどんどん横に広げていくという話もあると思います。例えば小売店のお客様なんかですと、取り組みの工夫として、店頭のPOPだったりとか、売場の陳列方法だったりとか、それから重点商品のお勧めのトークの仕方とか。あとユニークなのは高速レジ打ちコンテスト、今はもうセルフレジが多くなったんでないと思いますけれども、本当にレジ打ちが早い人のコンテストをしましょうと、動画でそれを見せあうという事例もございました。

まさに短尺動画、我々の中ですと、動画を双方向、本部と拠点、そして店舗同士をまたいでナレッジを循環させていくという時に上手く使っていただけるんじゃないかな、と思います。

取組例③:業務の標準化・オペレーションの見える化

3つ目ですが、こちらは通常業務に対していかに組み込んでいくのか、デジタルを組み込むのかというお話の一例です。画左側の事例は、いわゆるアパレル会社様の事例なんですけれども、いわゆるMDの連動ですね

52週MDがありますが、施策に連動しながら本部にいるバイヤーさんのメッセージを動画を使って浸透させていくなんていうお話ですね。そして、マネージメントの使い方なんかでいくと、SVさんの業務の効率化に使うなんていうお話もあります。SVさんが何十人もいらっしゃるとですね、臨店の仕方とか指導の仕方がやはりバラついてしまうので、それを一部標準化するためにこれを「ClipLine」という仕組みの中に入れていくという話もありました。

ユニークだったのは店長さんのマネージメントの仕方を皆さんで見せあうという話。例えばA店、B店、C店がある場合、朝、朝礼の動画を3分、5分撮ってもらって、どういう内容を店長さんは現場の方に説明しているのかっていうのを動画であげてもらうんですね。

そうすると、本部が本当に言いたかったことと、現場が指導している内容が違ったりすることもあるわけです。あるいは伝え方が非常に上手い店長さんがいる、ということもあるので、まさにオペレーションのやり方などをですね、吸い上げて、横で見てもらって、改善するなんてかたちでPDCAを回していくなんていう事例もございました。

右側のところですね、これ同じくアパレルのお客様なんですけれども、やはりデジタルと融合の中でいくと、店員の方々がですねいわゆるインフルエンサー化するなんて事例があるわけです。ライブコマースとかSNSとか、リアル店舗の接客対応だけじゃなくて、店員の方がですね、そういうバーチャルな世界でお客様に対して提案をして行ったりしますが、この時にお作法、つまりSNSの投稿の仕方とか、ライブコマースでの説明の仕方とか、こういうのもノウハウですよね。これを動画で見せると非常に早いので使っていただくケースもございました。

 

営業力の強化について、我々ご支援していますが、よくある話としては営業のセールスロールプレイという、セルフロールプレイですよね。画の左上にありますのが、まずお手本ですよね。ベテラン社員のお手本を見て、お手本見ながら今度はですね、新人の方とかベテランの方とか、色んな方がですね、お客様の属性、プロファイルを見て、このお客様に対してはこんな提案するよ、っていうことで1分間の提案ロープレやってくれって言って動画で撮るんですよね。撮った動画をベテランのAさん、新人のBさんとか、何人かで見あって、良いものを最終的に本部に吸い上げて、また再配信するなど、こんなことをやっています。

なぜこの様に行っているかというと、まさにバラつき抑制のための解決アプローチですが、いわゆる営業マンですと2-6-2ですとか2-8の法則ということで、上位のハイパフォーマーの方が売上引っ張っているなんてケースがありますが、実はテコ入れしたいのは中位層、下位層なんですよね。ここを引き上げれば、売上は相当上がりますが、結構、なかなかここに目がいかないってお話があります。

この様なバラつきをなくすために、例えばある小売業ですね。これは自動車ディーラーさんなんですけれども、売上の成績がなかなか低い中位層、下位層の方に営業ロールプレイを「CLipLine」で徹底的にやっていただいて、中間層の方々も下位層の方々も販売数が相当数伸びたという話です。今回は細かい事例まで触れられませんが、やり方を変えるだけで結構成果がでますよ、ということでじっくりこの辺りをご説明させていただければと思います。

物流業界の事例紹介

続いて物流業界におけるご支援事例をご紹介します。
物流業界のお客様の中では、やはり「安全」「安心」を掲げた中で教育とか、もちろん研修で使うという事例がございます。

物流業界のみならずですが、よくある教育の要素として、本部と拠点で行う内容や、中身がだいぶ違うよ、というお話を聞くんですね。例えば上の方は従来のお取り組みってあるんですけれども、入社をしてから現場に配属して、一人前になるまでのプロセスをざっくりわけてますけれども、多分、本部でまず研修をやってEラーニングとかを提供されて、その後、今度はOJTになって、あとはもう、現場でいったら育ってください、みたいなかたちになるんですけれども、おおよそここであるのは、本部が手動している教育内容と、現場が手動している教育内容が、結構曖昧になってくるんですね。

割と運用業界のお客様は、ほとんど教育現場でやっているよ、とおっしゃるんですけれども、ここの「本部でどこまでの教育をするのか」っていうお話と「今度は現場でどこのOJTをするのか」っていう、この辺の線引きをしっかりして、カリキュラムを作って、基礎・応用・発展、みたいなかたちで、1階建て、2階建て、3階建て、と、こういう教育の体験を作るというところと、あとは、これ全てですね、人が成長していく過程において、我々のシステムを使えますので、人に関するデータをずーっとためていけるんですよね。ですから、人の成長の履歴をシステムで蓄積していきたいっていうのが先ほどお話したところなんですけれども、ここに我々の価値があるんじゃないかと思っております。

 その為、教育ツールというよりは、人の成長の履歴をためていくプラットフォームとして「ClipLine」を使っていただきたい、とこういった話になります。

そして、組織内コミュニケーションですね、理念浸透のお話というのは、実は物流、運輸業界、非常に多くて、先日ある大手の運輸業界の役員の方からも、インナーコミュニケーションのために動画は非常に有益だ、というお話をいただきました。その為、理念浸透やトップメッセージというのは、もっともっと活用していただくべきかな、と考えておりますし、現場のナレッジというのもそうですし、本部から現場に対する伝え方という意味では、先ほどからお話にあります、何とかして腹落ちをしてもらうための伝え方というところを意識していただくのがいいんじゃないか、と思っております。

あとは現場の方にマニュアルを提供するのは、もちろん行いますが、なぜ行うのかというと、直接的なお問い合わせを減らすというのも結構あるかな、と思っています。つまり、物流拠点っていうと、結構数百人っていう人が拠点にいらっしゃるんですね。そうすると、教えたことに対して、また問い合わせがくるっていうのが沢山あるので、このための問い合わせの対応とか、その指導にですね、すごく時間がかかるんですけれども、こういう直接的な業務を減らすために、しっかりDXを活用していくというのも1つかな、と思っております。

業務成果創出に必要な枠組みについて

我々「ClipLine」が提供しているのは、この土台のところの部分と、実は多くはですね、皆様にご提供するのはこの上にあるノウハウを提供するというかたちになっています

なんでこういったものが必要なのかといいますと、動画を現場に浸透させるためには、やはり道のりが結構あるんですね。目的を決めて、用途を決めて、コンテンツを作って、現場に説明会をやって、運用ルールを策定して、そして使い方によっては現場の活用状況をモニタリングして、改善策を実行して、という、それなりにやることが沢山ございますので、ここはぜひ我々にご相談いただければ、あらゆる観点から皆様をご支援できると思っております。

「人の価値向上・現場実行力強化」による真の成果創出へ

非常に駆け足でお話をしましたが、最後にまとめとさせていただければと思います。

DXそのものは皆様方に浸透されつつあって、すでにシステムが入っている状況だと理解しております。それは、デジタルとして効率を上げる部分はDXを使うというのが上の部分ですよね、DX入れて終わりじゃなくて、そこでたまっているデータをしっかり活用する次のステップへ進めていただきたいんですけれども、どうやって進めるかというと、下に書いてあるような、人のデータと紐づけながらステップを踏んでいただきたいな、と思っております。

私ども「ClipLine」というのは、この人とデジタルのデータを紐づけるところに、経営ダッシュボードというサービスを提供して、まず見える化をするところのサポートをしています。

そして改善策と実行というところで、現場の方々に対して、いかに腹落ちさせるかという時に、やっぱり動画っていうのは使いやすいわけですよね。ですから動画という手段を使って、現場の人を巻き込んで実行を、手段として「ClipLine」、あるいは顧客満足のツールというものを提供して、最終的に財務成果に繋げていただたい、と考えております。

それでは短い時間でございましたが、最後の事例セッションを終了させていただきたいと思います。ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。