
株式会社すかいらーくホールディングス
人事総務本部 人財企画グループ
ディレクター 久永 進様
すかいらーくグループでは以前からクルーのランクアップのプログラムを運用していました。しかし、人事総務本部の久永様によると、大きく 2 つの課題があったと言います。
「クルーのランクアップの基準が曖昧だったことと、評価の仕組みが全て紙の運用だったことが課題でした。紙の運用では実態が把握できず、評価基準もバラバラで運用にばらつきがありました」
特に、全国に約 10 万人のクルーを抱え、様々な業態・ブランドを展開するすかいらーくグループでは、各ブランドによってステップアップの仕組みが異なるため、対応可能な既存サービスが見つからないなど、デジタルへの置き換えが難しい状態でした。
そのような状況で、まだ未完成だった ABILI Career について様々なリクエストをいただきながら議論を交わし、要件定義を行なった末に完成させることになりました。開発途上での導入を決めた要因について久永様は次のように語ります。
「弊社の抱える課題や実現したい姿に共感いただいたこと、そして御社が掲げる『”できる”をふやす』というビジョンと、我々が目指すところが一致したことが大きなポイントでした」
社員向けのキャリア育成プログラムである MSP(マネジャーステップアッププログラム)がすでに稼働しており、そちらのよい点を取り入れることでスムーズな開発が可能になったのです。
最も難しかった点は、多数のブランドに対応するシステムの構築でした。久永様は次のように振り返ります。
「例えばガストと寿司業態の魚屋路(ととやみち)ではステップアップの仕組みが全く違います。それを一つのサービスの中で表現するのは非常に難しいものでしたが、議論を重ね、調整の上、適切な形で実現していただきました。また、実際に使用する社員やクルーにヒアリングすると、多岐に渡る要望が出てきてしまうのですが、本来の目的を踏まえて客観的なアドバイスをいただいて、軌道修正しながら適切な形が実現できたと考えています」
紙で運用していたクルーのランクアップ制度そのものについても、この取り組みにあたって見直しを行ったと久永様は説明します。構想から実際のスタートまでには 1 年以上の期間を要し、両社で緊密な連携を取りながら進めることになりました。
また、設計だけではなく現場への展開も総力を挙げて行ったと言います。全国 10 万人以上のクルーに向けた説明会は、オンラインで繰り返し実施されました。久永様は次のように説明します。
「本部の担当者が店舗の社員やクルーにオンラインで説明する時間を作り、その場で学習したり質問したりする機会をしっかりと設けました。ABILI Career の展開に関しても 30 回以上の勉強会を開催し、実際に手を動かして ABILI に触れる機会を大切にしました」導入当初は業務負荷の増加など厳しい意見も上がったそうですが、「目的を繰り返し伝えることや、うまく運用できている店舗の好事例を共有することで、チャレンジする店舗が増えてきました」と久永様は振り返ります。
現在、ABILI Career は主にクルーのランクアップ支援のために有効活用されています。

▲クルーから見たABILI Careerの画面イメージ(実際の画面と異なる場合があります)
「クルーは自分が次のステップに進むために何ができるようになればいいのかを ABILI Careerを通じて確認できるようになりました。自ら進んで学習する方も増えてきましたし、マネジャーとコミュニケーションを取りながら育成計画を立てられるようになりました。また、社員向けには従来の MSP を、より使いやすい ABILI Career の中で運用しています。クルーとの違いは、評価だけではなく昇格試験にエントリーしたり、 試験会場を登録したりといったこともできる点です。評価から昇格まで一連のプロセスが ABILI Career の中で実現できている状況です 」
導入から約半年経過した時点で、すでに大きな効果が表れています。最も顕著な成果はクルーの昇格率の向上です。
「導入前の 3 月時点から直近の 10 月までを見ると、昨年は半年間でクルーの約 3 割が昇給・昇格したのに対し、今年は 5 割を超えています。制度自体を変更したことも理由の一つですが、ABILI のサービスを導入して可視化したことで、より一層効果が表れています」と久永様は説明します。
また、人事だけでなく事業部側でも変化があったと久永様は言います。
「 以前は様々な施策を展開しても、現場でどれくらい実現できているのか、クルーのスキルとして身についているのかが把握できませんでした。例えばオンラインの勉強会を毎月実施していますが、なかなか効果を測る手段がありませんでした。今回 ABILI Clip と ABILI Career を導入したことで、視聴率や実際に習得した結果としての昇格などが数字として取れるようになり、施策の効果検証や今後の施策立案の重要な判断材料を手に入れることができました」
ABILI Career の導入によって、クルーとマネジャー双方に良い変化が生まれています。
クルーからは「学ばなければいけないことが明確になった」「マネジャーから『一緒に課題を乗り越えてステップアップしよう』と言われてやる気が出た」「わからない項目についてもマニュアルとリンクしているのでわかりやすい」といった声が寄せられています。久永様はその効果について「自分が何を習得すればスキルアップできるかが明確になり、同時に自分に足りなかったことに気づけるようになった」と評価しています。
一方、マネジャーからも「どうすれば時給が上がるのかが説明しやすく、よいツールだと思う」「店舗間の差がなくなり、公平な評価ができるようになった」と好評です。
今後の人材育成やキャリア支援について、久永様は経営戦略との関連で次のように展望を語ります。
「今回の制度改定と ABILI Career の活用は、サービスプロフィットチェーンの好循環を実現するための一つの手段です。一人ひとりが自分がどうなりたいか、そのためにどう努力すればいいかを会社として明示し、道を示すことが最低限必要な役割だと思っています。今後はさらに個々の成長に対するサポートを強化していきます」
また、すかいらーくホールディングスが掲げる「店舗中心経営」の考え方についても触れ、「本部の情報を現場にタイムリーに伝え、現場ではそれを実践しながらも、その場に応じた最適な判断と対応を行っていく。その現場の取り組みを本部にリアルタイムで吸い上げるという情報の循環、双方向のコミュニケーションが重要で、ABILI Clip と ABILI Career がそれを支える大きな武器になる」と位置づけています。
さらに、すかいらーくグループでは今後、工場への導入を進めていく見通しです。工場特有の課題として「1 工場 1 ラインあたりの人数が店舗より多いこと」「1 人 1 人の作業が生産性に直結すること」を挙げ、店舗とは異なる形での可視化とスキルアップの仕組みづくりを目指しています。

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