小売業のロス削減方法を4ステップで解説|企業の改善事例も紹介
小売業におけるロスの削減は、業績改善において重要なのはもちろん、社会的責任を果たす意味でも大切です。しかし、ロスの種類や要因はさまざまであり、簡単に解決できるものではありません。
本記事では小売業のロスについて、削減のメリットや方法、企業の改善事例をご紹介します。ロスの削減が課題だと感じている小売業関係者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
小売業で生じるロスとは
扱う商品によってさまざまですが、小売業において生じるロスには一般的に以下のようなものが挙げられます。
- 返品
- 期限切れ
- 過剰在庫
- 売れ残り
- 通格外品
ニーズの読み違いや生産性の低さなど、ロスの発生要因は多岐にわたります。しかし、いずれも利益率の低下やオペレーション効率の悪化につながることは変わらないため、継続的に利益を生み出すうえでは優先的に解決すべき課題だといえます。
小売業においてロスを減少させるメリット
小売業においてロスを減少させることには、以下のようなメリットがあります。
- 廃棄費用の削減
- 店舗スペースの有効活用
- オペレーション効率の改善
- 企業イメージの向上
改めてロス削減の意義を理解しておきましょう。
廃棄費用の削減
ロスがあることは、仕入やその廃棄にかかるコストの発生を意味します。つまり、ロスの削減はそのまま廃棄費用の削減となり、利益率の改善に直結するのです。どれだけ売上が伸びても、大量のロスが発生すればそれだけで赤字になるリスクがあります。廃棄費用をいかに抑えられるかは、小売業の経営において重要なポイントです。
店舗スペースの有効活用
商品の陳列時、それぞれに適したスペースを割り当てることで店舗運営の最適化が図れます。売れ残る可能性が高い商品に多くのスペースを割いていては、スペース効率の観点でもったいないといえるでしょう。ロスが少ないということは余計な商品に空間を割いていない状況であるため、店舗スペースを有効活用できている可能性が高いといえます。
オペレーション効率の改善
ロスが少なければ、仕入や配送、廃棄などの作業が最低限必要な量に限定され、現場でのオペレーションが効率化されるでしょう。その結果として、人件費の削減などにもつながります。ロスが多いことは、売れ残る商品に対して仕入や配送、廃棄のコストをかけている状態だといえます。ロスの削減によってオペレーション効率が改善すれば、利益が出やすい体質へと変わるはずです。
企業イメージの向上
ロスの削減に取り組むことは、企業としての社会的責任を果たすことにもつながります。例えば、食品ロスは世界的にも大きな問題ととらえられています。十分に食料が行き届いていない人たちもいるなか、食品ロスが大量に発生している状況は早急に改善すべきだと認識されているのです。社会的な課題であるロスの削減に企業として取り組めば、イメージの向上にも繋がります。
小売業のロス削減方法を4ステップで解説
小売業のロス削減は、以下4つのステップで進めていくのが効果的です。
- 店舗状況を可視化する
- 課題を抽出する
- 改善策を立案する
- 現場レベルまで徹底を図る
店舗状況を可視化する
まずはチェーン各店舗の状況を可視化する必要があります。なんとなくロス率が高いと思っていても、「チェーン全体でそうなのか」「当該店舗だけなのか」によって対策の規模は変わってきます。
店舗状況を把握するには、POSレジや在庫システムからデータを吸い上げるのはもちろん、立地条件や売上高、人時生産性などさまざまな観点からデータを可視化していくのが効果的です。しかし、多様なデータを収集はしているものの、各店舗や部署がそれぞれ個別に管理しており、相乗効果を生み出せていないケースが少なくありません。
多拠点ビジネス特化型の経営ダッシュボード「ABILI Board」なら、専用のダッシュボード上でさまざまなデータを集約でき、一目で状況がわかります。各店舗の状況を見える化し、ロス率が低い店舗の事例を共有できれば、チェーン全体の改善につながるはずです。
課題を抽出する
ロスの削減を進める際、本質的な課題を特定できていなければ、改善にはつながりません。例えば、期限切れが多い場合でも「仕入や生産が多すぎる」「魅力的な陳列ができていない」「タイムリーに提供できていない」など、さまざまな要因が考えられるからです。課題を特定しないままでは、なんとなく改善策を実施したつもりになるだけで大きな効果は期待できないでしょう。
データの可視化を通じて課題の特定をしたあと、その課題の解像度を上げるために店長やSVにヒアリングするのも効果的です。現場の状況をより詳細に理解することが、効果的な改善策の立案につながります。
改善策を立案する
ロスの発生につながっている課題を洗い出せたら、改善策を立案します。チェーン全体の課題は本部主導、各店舗の課題は当該店舗主導といったように分けて対策するのがよいでしょう。全体のロス率を抑えつつ、個別店舗の課題も解消していくのが理想だといえます。
自社だけで改善施策の検討が難しい場合は、小売に強みのある外部エキスパートに依頼するのも一つの手です。「ABILI Partner」なら、小売のSV/店長経験者による現場改善施策の提案・実行支援が可能です。現状の分析から課題の可視化、現場への共有まで、改善に向けた仕組みづくりを伴走支援します。
現場レベルまで徹底を図る
効果的な改善策を立案できても、現場レベルで徹底されていなければ意味がありません。例えば、店長などミドルマネジメント層の多忙さがネックとなり、現場での徹底がうまくいかないケースは少なくありません。店舗のスタッフ一人ひとりに伝達するのが難しく、情報の共有度合いに差が出てしまうのです。
動画型マネジメントシステム「ABILI Clip」なら、動画と双方向コミュニケーション機能を活用して、OJTや重点施策の落とし込みのデジタル化が実現できます。現場の各スタッフがそれぞれのタイミングで同じ精度・粒度の情報にアクセスでき、かつミドルマネジメント層の手間もかかりません。また管理画面上では実行率の確認もできるため、現場の徹底度の確認も可能です。
小売業におけるロス削減の事例
ここではロス削減の企業事例として、動画型マネジメントシステムを利用した多店舗でのVMDの実践についてご紹介します。VMD(Visual Merchan Dising)とは、商品の見せ方を視覚的に最適化するアプローチです。ロスを削減するには、商品が持つ魅力を来店客に対して効果的に伝える必要があり、VMDの取り組みが効果を発揮します。
しかし、多店舗展開をしている場合、視覚的に優れた見せ方を各店舗に伝え、それぞれで再現してもらうのは簡単ではありません。かといって本部担当者が各店舗を訪問するのも大きなコストがかかります。そこで、前述の動画型マネジメントシステム「ABILI Clip」を使えば、現場を訪れることなく動画という形で視覚情報を効果的に伝えられます。
そして、店舗で実行した棚割りの写真や動画を撮ってもらい、プラットフォーム上で確認する「遠隔臨店」を行います。訪問ベースでの臨店回数が減ることで現場に行くコストが削減され、臨店効率の向上が見込めるでしょう。結果として改善スピードが上がり、PDCAサイクルを早く回せるようになります。
動画配信によって視覚的イメージを共有することで、成功事例を再現性高く水平展開できます。商品のポテンシャルを最大限に引き出せれば、ロスの抑制につながります。
まとめ
本記事では小売業のロスについて、削減のメリットや方法、企業の改善事例をご紹介しました。
小売業において、ロスの削減は廃棄費用の削減はもちろん、オペレーション効率の改善や企業イメージの向上などさまざまなメリットをもたらします。しかし、本質的な課題を特定・解決するには、店舗状況の可視化や現場レベルでの周知徹底が不可欠です。
多拠点ビジネス特化型のダッシュボード「ABILI Board」なら、店舗運営に関するあらゆる情報を集約して可視化することが可能です。各店舗のロス状況を比較することで、チェーン全体および個別店舗の改善点が見えてくるでしょう。また、改善策の実施にあたっては動画型マネジメントシステム「ABILI Clip」を活用した遠隔臨店が役立ちます。訪問ベースでの臨店回数を減らしながら、再現性高く施策内容を共有できます。ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。