介護業界における利用者満足度調査の重要性とは|実施方法も解説
介護業界において、利用者満足度調査は重要性が高まっています。調査を実施することで、サービスの品質改善や従業員の意識向上、健康問題の可視化など、さまざまなメリットがもたらされるからです。
しかし、高齢者を相手にどのように利用者満足度調査を進めるべきかわからないという担当者は少なくないでしょう。
本記事では、介護業界において利用者満足度調査が重要な理由や実施のメリット、実施時のポイントなどをまとめて解説します。利用者満足度調査を通じて介護サービスの改善を図りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
介護業界において利用者満足度調査が重要な理由
介護業界において利用者満足度調査が重要な理由を、3つのポイントで解説します。
よりよいサービス・環境が求められている
近年、高齢化の進行により介護施設の需要がますます高まっています。それに伴いそれまで介護業界とは縁のなかった異業種も含めて参入が相次ぎ、競争は激化する一方です。
需要の拡大とは裏腹に、介護業界の人手不足は深刻化の一途をたどっています。2025年には243万人、2040年には280万人の介護職員が必要といわれるなかで、優秀な従業員を確保するのはますます困難になるでしょう。
十分な人手を確保するには、利用者だけでなく従業員にとっても魅力的な施設となるよう、サービス品質および現場環境を改善していく必要があります。そこで役立つのが、利用者満足度調査です。
介護施設利用者の満足度を調査することで、よりよいサービスや現場環境の実現に向けて改善すべきポイントが明確になります。従業員にとっても働きやすく、満足度の高い職場環境にすることが優秀なスタッフを確保する近道です。
利用者の健康に関わる問題を可視化できる
介護施設における高齢者のケアは、その大部分が生活に密着したものであるため、利用者の健康に関わる問題も多く存在します。例えば入浴や食事など、日常的に繰り返す行動のなかにも、思わぬ事故につながるリスクが潜んでいます。
また、介護福祉施設は閉ざされた空間です。そのような環境で人間関係がうまくいっていない場合、利用者は自身の不満を吐き出す術がなく、精神的なストレスをため込んでしまう可能性もあります。
利用者満足度調査を通じて、日頃から不安や不満に感じていることを率直に答えてもらうことで、本人や周囲、施設に関わる問題を可視化できます。利用者の声に応じて問題を解消していけば、より健康的に過ごしてもらうための改善が可能になるでしょう。
利用者の声が集まりにくい
介護施設の利用者の一部は、日頃からケアを受けている介護ワーカーに対して不満があったとしても、言葉で表せずにいます。仮に不満をぶつけて介護ワーカーとの関係が悪化してしまえば、施設で過ごしにくくなったり、嫌がらせをされたりするのではと不安になり、自身のなかで抱え込んでしまうのです。
また、介護施設で利用者が受けるケアのなかには、入浴やトイレなどが含まれるため、羞恥心などから言いづらいケースも少なくありません。
その点、アンケート形式の利用者満足度調査であれば、本音を伝えやすいという特徴があります。施設側としても本人の率直な気持ちをヒアリングする貴重な機会となり、必要に応じて従業員の対応を改善することが可能です。
介護業界において利用者満足度調査を実施するメリット
介護業界において利用者満足度調査を実施する主なメリットには、以下の4つがあります。
- サービスの改善につながる
- 従業員の意識が高まる
- 客観的な評価が得られる
サービス品質の安定化・底上げが図れる
それぞれ詳しく解説していきます。
サービスの改善につながる
1つ目のメリットは、利用者満足度調査がサービスの改善へとつながる点です。
アンケート形式の調査であるため、利用者もよりオープンな姿勢で質問に応えてくれます。従業員の対応や態度、施設の環境、スケジュールなどについて率直な意見が聞けるでしょう。集計結果から解決すべき問題を特定し、具体的な改善策を講じることが可能です。
介護サービスには、サービス提供者や介護ワーカーの視点からは見えない問題が潜んでいます。利用者だからこそ感じている不便さや不安、リスクなど、貴重な意見を収集してサービス品質向上へとつなげることで、利用者の利便性が一層高まります。
従業員の意識が高まる
2つ目のメリットは、利用者満足度調査が従業員の意識向上にも役立つ点です。
介護サービスにおいては、従業員は決められたルールやマニュアルに沿って業務にあたります。しかし、監督の目がなければ、いつの間にか気持ちがゆるんでしまい、注意が行き届かない部分も出てくるものです。定期的にアンケート調査を実施することでチェック機能の役割を果たし、評価を受ける従業員の気を引き締めるよい機会となるでしょう。
例えば、利用者への言葉づかいや施設内の清掃状況など、細かい部分で利用者が抱えている不満や苦情を確認できます。従業員にもフィードバックすることで、日頃のサービス品質を見直すきっかけになります。
客観的な評価が得られる
介護サービスに対する客観的な評価が得られるのも、利用者満足度調査を実施する大きなメリットです。
日本は、2025年には国民の4人の1人が後期高齢者という超高齢化社会に突入します。高齢者人口の増加に伴い、介護施設の利用者数も増えています。介護施設での転倒や誤嚥(ごえん)といった事故をニュースなどで目にする機会が増えているほか、職員による利用者の虐待などの事件も話題となりました。利用者とその家族にとっては不安が募る状況だといえます。
そこで効果的なのが、利用者満足度調査を実施し、結果を客観的な評価データとして提示することです。実際の利用者が施設の環境やサービス内容を評価したデータであれば、利用者本人やその家族も納得し、安心して利用できるでしょう。
サービス品質の安定化・底上げが図れる
利用者満足度調査を通じて、サービス品質の安定化・底上げを図ることも可能です。
複数の拠点を運営している場合、施設によって従業員の教育レベルやルール遵守の徹底度合いなどにばらつきが生じるものです。グループ全体の信頼性を高めるためには、解決すべき大きな問題だといえます。
そこで有効なのが、同じ利用者満足度調査を全施設で一斉に実施することです。グループ全体および各施設において、よい点・悪い点が明らかになります。悪い点は各施設で改善策を講じるとともに、よい点はほかの施設にも横展開することで、グループ全体のサービス品質を底上げすることが可能となります。
介護業界において利用者満足度調査を実施する際のポイント
介護業界において利用者満足度調査を実施する際には、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 回答しやすい形式にする
- すぐに改善につなげる
- 定期的に調査する
各ポイントの詳細を解説します。
回答しやすい形式にする
介護施設での利用者満足度調査では、高齢者でも回答しやすいよう工夫することが大切です。
なかには、うまく文字を記入できない利用者もいます。例えばタブレット端末を用いたWebアンケートであれば、指のみでの操作なので回答しやすく、より多くの回答を得やすいでしょう。
また、アンケートの回答形式についても利用者がわずらわしく感じないよう配慮が必要です。文字入力が必要な自由回答形式の質問はできるだけ少なくし、選択式で直感的に選べるようにすれば、回答の負担が小さくなります。設問数も必要最低限に留め、短時間で回答できるようなアンケートにするのがよいでしょう。
すぐに改善につなげる
利用者満足度調査を実施したあとは、速やかに回答結果を集計して分析し、改善へとつなげることが大切です。せっかく利用者満足度調査を実施しても、集計や分析に時間をかけてしまい、なかなか改善が実行されないといったケースは少なくありません。
特に利用者の健康にかかわるリスクが生じている場合には、迅速な対応が求められます。手遅れにならないよう、問題を特定次第すぐに改善策を立案・実行するといったスピード感が大切です。
そのためには自動化した仕組みが必要になってきます。例えばWebアンケートのツールやシステムを使えば、個々の回答結果をすぐにマネージャーや施設長に自動配信して共有し、スピーディーに対策を講じることが可能です。
定期的に調査する
利用者満足度調査は1度で終わりではなく、定期的に実施することが大切です。「調査→分析→改善→調査」というサイクルを繰り返し、都度改善を重ねることで、施設環境とサービス品質が向上します。
調査を継続的に行なうためには、担当者の手間をできるだけ減らす必要があります。集計作業だけで大きな労力がかかる場合、継続は難しくなるでしょう。
例えば、アンケートツールやシステムを活用して各拠点の結果を自動で集計し、レポートを作成するといった仕組みを作れば、マネージャーや施設長は、レポートの確認と改善活動に集中できます。余計な負担を減らし、続けやすい仕組みを整えることが大切です。
介護業界における利用者満足度調査の重要性と実施方法まとめ
利用者満足度調査の実施は、よりよい環境・サービスが求められる近年の介護業界において、重要な取り組みとなっています。継続的に調査を実施し、サービスの改善に努めれば、利用者・従業員双方にとって過ごしやすい施設へと改善を進められるでしょう。
利用者満足度調査を定期的に実施するなら、Webアンケートツールを導入して仕組みの自動化を図るのがおすすめです。顧客アンケート・分析ツール「ABILI Voice」ならお客様向けアンケートの実施・集計・分析が簡単にできます。
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