介護業界の教育研修の手法を紹介。想定すべき課題と自社に合った方法とは?
介護業界においてサービス品質を担う現場スタッフの育成は大きな課題となっています。施設のルールやオペレーションなど、必要な事項をインプットする教育研修は非常に重要ですが、マネジメント人材の不足や施設ごとのOJTの負荷増大、施設ごとの研修レベルのバラつきなどの問題があります。この記事ではそうした課題を解決する教育研修の手法を解説します。これから教育研修の手法を変更する予定がある施設や、研修の成果が思うように出ていない施設の経営者や担当者は参考にしてください。
もし介護業界で教育研修に課題を感じている方は、ABILI Clipをご活用いただくことで、教育担当者の負担軽減、新人の離職率抑制、施設利用者の満足度向上と、様々な効果を実感いただけますので、ClipLine株式会社までご相談ください。
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介護業界における教育研修の課題
介護業界における教育研修には、業界特有の課題がいくつかあります。こうした要素や自社の課題を整理した上で、自社に合った手法を検討すると良いでしょう。具体的にご紹介していきます。
OJT頼りになってしまう
OJTのトレーナーはほとんどの場合、自身の業務をこなしながら教育を実施しています。これは非常に負担が重く、新入社員がきちんと教育されることなく放置されるというケースも多いようです。OJTのトレーナーは人材教育を専業とするプロフェッショナルではありません。あくまで先輩スタッフとして自らの業務をインプットしていくに過ぎず、トレーナー次第でインプットのクオリティが左右されてしまいます。
言語化・マニュアル化が難しい
介護業界のオペレーションには、利用者の介助方法や利用者の要望に応じた対応など言語化が難しい動作の部分や、応用が必要なコミュニケーションが必要となる場面が多く、マニュアルとして標準化することが難しい場合が多くあります。そうしたものをOJTのみで補おうとすると、教育の手法や水準にバラつきが生まれ、研修を受けるスタッフの成長にもバラつきが見られるという現象があらわれがちです。
マネジメント人材の不足
介護現場の課題とされているのが「マネジメント人材」の不足です。現場での経験が長いスタッフでも、利用者に対してのサービススキルやオペレーションの質は高くても、マネージャーとしてのスキルを十分に伸ばせている訳ではありません。多くの業界で「次世代リーダー・ミドルマネジメント層育成」が課題になっていますが、そうした傾向が強いのが介護業界の特性と言えます。
リソース不足
実は「2000年以降で最も人数が増えた職種は介護職員」というデータもあるくらい、介護職員の数は増加傾向にあります。にもかかわらず、慢性的に人材不足の状況が続いています。 高齢化の影響で増加傾向を上回るほどの需要が生まれており、給与の低さやイメージの改善が長年課題とされています。現場の人手不足は深刻となっており、教育に割ける社内リソースが不足している企業も多いようです。
教育研修の手法
そうした課題を乗り越えるために、さまざまな教育研修の手法があります。主な方法をご紹介します。
研修会社などへのアウトソース
介護業界への研修や人材育成を専門とする企業にアウトソースし、社内研修を任せるという方法があります。社内リソースを割かずに効果を高められるメリットがありますが、費用面での問題もあります。
e-ラーニングシステム
用意されたコンテンツをスマホやタブレット・PCから学習するe-ラーニングシステムは、コロナ禍で検討する企業も増えました。時間帯の自由が効き、何度も閲覧できるメリットがありますが、習熟度に課題が生まれがちです。
社内での内製化
介護現場では臨機応変な対応や施設独自のオペレーションが必要になったり、変更が生じることも多く、外部リソースを用いて行うことに限界が生じてしまったり、運用していくと結果的に費用がかさんでしまう場合もあります。支援ツールなども活用支那がらできるだけ人的・費用面ともにコストをかけない形で内製化を行うという選択が有効な場合もあります。
アウトソースで行うときのメリット・デメリットや注意点
ここでは教育研修をアウトソースで行うときのメリット・デメリットや注意点をお伝えします。
アウトソースのメリット
研修を専門とする会社は社員研修を仕組み化し、少ない工数で成果を上げていく手段を持っています。研修のクオリティが担保でき、社内コストが必要なくなります。
アウトソースのデメリット
カリキュラムの策定と充実したフォローアップには相応の費用がかかります。 費用が十分でない場合、十分なカリキュラム、フォローの仕組みを構築できない恐れもあります。また人事研修を担当する社員が不在になることで、社内にナレッジが残りにくくなるのも懸念で、「受講しただけ」という状態を防ぐことが必要です。
成果を上げるためのポイント
何のために行う研修なのかを考え、カリキュラムと充実したフォローアップサービスが明確な研修会社を選定するようにしましょう。そのためには研修の成果を可視化できることがポイントです。
研修専門のアウトソーシング会社は、さまざまな角度から有効な研修であったかどうかの客観的な判断ができます。実施する場合は研修は一回きりで終わらせず、中長期的かつ定期的に続けることを前提とするべきです。そうすることで知識がより定着し、深まっていきます。
eラーニングシステムで行うときのメリット・デメリットや注意点
場所や時間を選ばず学べる「eラーニングシステム」は、社員の時間を拘束することなく継続的に学習させることができます。ここではラーニングシステムのメリットとデメリットをご紹介します。
e-ラーニングシステムのメリット
外部のe-ラーニングシステムを利用する場合、体系的なカリキュラムやコンテンツが予め用意されており、運用の手間なく業務に不可欠な技術・技能のインプットを均質的に行うことができます。
e-ラーニングシステムのデメリット
予め用意されているコンテンツについては業界で必要な一般的なものになるため、グループ・施設特有のマニュアルやルールについては必要に応じてOJTでのフォローや別途作成をする必要があります。どんな研修をしたいかをきちんと整理しておく必要があります。 視聴できる端末の環境など、受講者の受講環境を整えておく必要もあります。また、IDの数で課金されるサービスも多く、受講者が多い場合は費用が高くなってしまうこともあります。
成果を上げるためのポイント
eラーニングのシステム・対応できるカリキュラムと従来の現場でのOJTそれぞれの役割を整理し組み合わせ、それぞれの長所を活かしつつ欠点を補い合うことで教育効果を最大限に高めていくことが大切です。
社内で内製化するときのメリット・デメリットや注意点
最後に、社内での社員研修の内製化に伴うメリットやデメリット・成果をあげるポイントについてご紹介いたします。
社内で内製化するときのメリット
内製化のメリットは、外部に委託することに比べてコストプログラム・カリキュラムの更新・ブラッシュアップがしやすく、繰り返していくことでマネジメントに活用できるナレッジが社内に貯まっていくことなどがあります。教える側のスキルアップにも繋がり、組織力の強化に貢献することができます。
社内で内製化するときのデメリット
デメリットとしてはやはり工数です。
コンテンツ作り・適切なカリキュラム設定や運用管理に多くの工数がかかるため、それを解決するためのツールや仕組みの導入が有効な場合があります。
成果を上げるためのポイント
研修の内製化を成功させるためには、担当者に任せることではなく社内全体でサポートをする体制が必要です。研修内容は何度も見直しをし、ブラッシュアップを行います。受講後のメンバーへのアンケートなどを通して、講師やコンテンツのクオリティアップも段階的に行い続けます。「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」ということがないようにする工夫が大切です。
また、先述の通り継続していくための運用管理が重要なポイント。運用管理ができるツールの導入も検討すると良いでしょう。
まとめ
ここまで教育研修の手法についてお話してきました。
介護職における社員教育にはさまざまな課題があります。効果的に研修を進めるためには、現場のニーズや体制づくりに配慮しながら教育することが大切です。
ABILI Clipは、短尺動画を活用し、教育研修のデジタル化を実現する仕組みを提供するサービスです。習熟度に合わせたカリキュラム設定でe-ラーニングを実現でき、双方向のコミュニケーションでオペレーションの落とし込みを確実に行い、質の高い研修と組織マネジメントが実現できます。介護業界の大手企業での導入実績も多数あるため、教育研修のためにぜひ活用をご検討ください。
<介護業界の事例>
・SOMPOケア株式会社『「介護の未来を変える」学びの文化作りと人財への眼差し』
・社会福祉法人小田原福祉会『ICT活用の課題を乗り越え実現するこれからの介護 』
・社会福祉法人ウエル清光会『バラつきを抑える仕組みとコンテンツ作りを推進 』
また、こちらのページでは、介護業界の課題に対しての具体的な活用イメージもご紹介しています。ぜひお読みください。