2013年に創業し、サービス業を中心に多拠点ビジネスの現場と経営改善を支援してきたClipLineが、
新たに提供する、課題発見から解決までを一気通貫で支援するプラットフォーム「ABILI」。現場の潜在力を引き出し、情報やノウハウの「バラつき」を解消することで、強いビジネスを実現します。

日本のサービス業は「質が高い」のに「生産性が低い」

 今、社会が成熟する中で「モノ」から「コト」へのシフトも進み、世界的に三次産業化・サービス化の傾向がみられています。日本国内でもサービス業の規模が大きくなっており、このトレンドは今後も続くはずです。サービス業の多くはBtoCであり、私たちのクオリティーオブライフ(QOL)に直結する業種といえます。

 このように重要な領域でありながら、日本のサービス業、多店舗・多拠点ビジネスは生産性が低いという課題を抱えています。その理由としてよく言われるものとして、デジタル化や機械化の遅れ、オペレーションの非標準化など、サービスの提供側の課題が挙げられることが多いですが、消費者側の問題も大きいです。特に「消費者が求めるクオリティーが高いこと」が挙げられます。

 以前、大手BtoB企業のコンサルティングをしていた際に「段ボールがへこんでいる」という理由で返品を要求されたことがありました。中にある商品は無傷であったにもかかわらず、です。BtoBであってもこのようなクオリティーを要求される以上、不特定多数を対象とするBtoCではさらに高い品質を求められます。もちろん企業もニーズに応えざるを得ません。その結果、外食業であれば「味」、小売企業であれば「モノの品質」「価格」といった本質的な価値の提供に集中できず、生産性が下がっています。

 一方、海外の方にとって、日本のサービス業は「これまで体験したことがない、きめ細かなサービス」という側面もあります。日本人にとっては当たり前のクオリティーでも、世界から見ると大きな「価値」になり得るのです。
昨今はアジアの各国も経済成長を見せています。これまで先頭を走ってきた日本は、単なる経済成長では「追い抜かれるフェーズ」に入ったともいえるでしょう。これからは世界に向け、こうした「価値」を発揮し、魅力を再発見してもらうことが日本の生き残る道の一つだと考えています。

多拠点ビジネスは「バラつき」を解消することで、もっとよくなる

 これまでClipLineではサービス業を中心とした多拠点ビジネスの「実行支援」に重きを置き、短尺の動画を活用して業界特有の課題を解消することに尽力してきました。例えば、サービス業では「最初の1カ月」が重要とされています。新人が入った際にClipLineを新人教育に活用いただくことで、人材の活躍や定着に効果を発揮しています。

 そのほか、新商品が出る際に本社から現場まで「伝言ゲーム」のように情報が伝わっていたのが、動画によって解消されたという声もいただくなど「新しい変化」が起こる際に活用するツールとして、1.5万店舗、従業員数41万人の規模にまで導入が広がりました(※2022年8月末時点)。

導入実績

 今回、新たに「ABILI」というブランドを作ったきっかけの一つは、ClipLineを創業した当時と現在で、サービス業を取り巻く環境が変化してきたことです。もともとClipLineは、これまでの経験で痛感した「多拠点ビジネスの難しさ」を軸に、経営戦略をいかに現場で実行するか、その点を支援したい思いで2013年に創業しました。いかに優れた経営戦略があっても、小さな拠点が多数点在するため、現場に素早く正確に伝達することが困難な状況がありました。

 創業から10年が経過し、当時課題視していた「本部から現場までの伝言ゲーム」を解消する機運は少しずつ高まっています。業界内でDXも進みました。では今、サービス業が注目すべきことは何でしょうか。我々は「バラつき」をいかに解消するかがポイントだと考えています。非接触や省力化が進んでいますが、サービス業は結局「人」のビジネスです。どれだけ効率化が進んでも、人が残ります。人が提供するサービスには、バラつきが必ず生まれます。

 そもそも製造業と違い、サービス業では「規格」を細かく定めることが困難です。製造業は「モノづくり」であるため、製造するモノの規格があります。規格を定めれば、機械や人工知能を導入することで大量生産や効率化しやすいといえます。一方、サービスは「無形性」「変動性」「消滅性」「同時性」といった特性があり、ノウハウ化や効率化が難しいのです。

 サービスに必要なノウハウは、数千にも及びます。例えば、消費者から受けた質問への回答一つとっても、商品や提供しているポイントサービス、現在展開しているキャンペーンの理解など、数多くの知識をインプットしておく必要がありますし、どうアウトプットするかも重要です。こうした無数かつ非定型のノウハウを誰が持っており、それをどう体系化して、展開するか——従来、サービス業では業績の可視化は行う一方で、裏に潜むこうしたプロセス・ノウハウを吸い上げられていなかったのではないでしょうか。

「強い現場」が強いビジネスを生み出す。カギは「店長」

 バラつきの解消だけでなく、現場が生き生きと働くこともサービス業を強くするポイントです。我々は「サービスプロフィットチェーン」を重要視しています。従業員満足度を高めることが、企業の業績向上に資するという考え方です。

 これまで多くのお客さまとご一緒してきた中で、従業員への投資まで手が回らないケースが多いと感じています。もちろん、企業組織を維持するうえでは、短期的に業績を上げる必要があるため、仕方がない一面もあります。一方で、先進的なケースでは業績とともに従業員との関係性にも注力し、非常にバランスよく経営を行っている企業も少なくありません。

 特に重要なのが「店長」です。現場で働くメンバーの運命は、店長が握っているといっても過言ではありません。優れた店長と一緒に働ければ、メンバーが活躍する可能性が高まります。また、もっと店長と一緒に働きたいという思いで、アルバイトから正社員を志望することもあるでしょう。逆に、店長が悪影響を及ぼしてしまうと、メンバーが活躍できないだけでなく、ブランドが嫌いになってしまうリスクもあります。

 店舗ごとの店長が有するスキル・ノウハウのバラつきを是正するのにもABILIは役立ちます。各メンバーは、自分の直属の店長だけでなく、チェーン全体にいる優秀な店長からノウハウを学習できるようになります。また、店長にとっても、自身が苦手な領域をABILIで補うことで、仕事が楽になり、業績アップにつながるでしょう。このように、各店舗や拠点の潜在力を最大限に引き出すツールが、ABILIです。

課題の可視化から実行までを「楽しみながら」実現できるプラットフォーム

 新ブランドのABILIでは、ここまで紹介した多拠点ビジネスの現状と課題に着目し、可視化から実行支援までを一気通貫で提供する体制を整えました。経営や現場の状況を可視化する「ABILI Board」、顧客の声を吸い上げる「ABILI Voice」。さらに動画を軸にした実行支援システム「ABILI Clip」の他、コンテンツ制作や実行支援を行うサービス「ABILI Partner」で構成されるプラットフォームとして、点在する課題やノウハウを可視化し、店舗や拠点ごとのバラつきを解消しながら、強い現場を作り上げ、利益向上に貢献していきます。

 ABILIを使えば、各店舗のよい点や改善点などが可視化されます。可視化された課題に対して、それぞれのメンバーが自分なりの解を出しながら、改善していく——こうしたサイクルを回してクイズのように楽しむことで、多拠点ビジネスにおいて最も重要な現場のモチベーションが高まり、サービス品質の安定を通して業績改善につながります。

 ABILIで解消していく「サービスのバラつき」は、日本国内にとどまらず、世界に共通する課題と考えています。海外進出されている日本企業への導入も進めながら、現場で働くメンバーのモチベーションや生産性を高め、サービス業に関係する全ての人のQOLが高まるような世界を実現していきます。

高橋 勇人
ClipLine株式会社 代表取締役社長

京都大学理学部、同大学院理学研究科卒業後、アクセンチュア株式会社、株式会社ジェネックスパートナーズにおいてコンサルタントとして多数の多店舗展開企業の経営改革を主導。大手外食企業を始め、売上数百億~1千億円規模の企業の業績向上と組織変革を完遂。2013年に独立しClipLine株式会社を創業。同社の代表取締役として経営をリードしながら、コンサルティングノウハウを活かして各プロダクトの開発にも携わる。
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