「現場力」の向上が業績アップと
企業の成長につながる
ABILI Clipが生まれた背景・コンセプトと
「多店舗・多拠点展開企業」の構造課題を
解決する提供価値とは

ClipLine株式会社 代表取締役社長
高橋 勇人
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コンサルティング企業で気付いた「多店舗・多拠点展開企業」が抱える構造的課題

私は新卒でアクセンチュアに入社し、ITを使ったコンサルティングを一通り経験した後、もっと経営に寄せた仕事をしたいと思い、ジェネックスパートナーズというシックスシグマを強みとしたコンサルティング会社に転職しました。

そこで、外食や小売などのナショナルチェーンブランドの経営改革を支援する中で、多店舗・多拠点展開企業の業績を上げるには、本部で優れた戦略設計をするだけでは不十分であり、アルバイトを中心とした現場の働き方を改善するための実行管理が不可欠だと感じるようになったのです。

多店舗展開している企業は課題のパターンが似ていることに気づきました。
それをまとめると、だいたい6領域30課題ぐらいになります。

6領域とは、オペレーション、マーケティング、財務など企業活動の主幹となる6つの領域のことです。
30課題は6領域に内包される項目で、企業理念や事業計画策定などに始まり、業態開発や店長育成、商品企画、ブランディングなど事業推進に必要なあらゆる課題を指します。
それらをさらに突き詰めていくうちに、ほとんどすべての課題に共通する難しさは、業態、企業を問わず「縦の伝言ゲーム」であることに気が付いたのです。

簡単に説明すると、経営層の考えていることや指示が従業員に正確に伝わらず、逆に、現場従業員の声も経営層に届かないということです。この状態では、本部で課題を特定し、解決策を検討しても、現場で実行できないし、解決策を磨き込むことも困難です。さらに、多店舗展開というと外食や小売をイメージしがちですが、金融機関、自動車販売店、医療機関も同じような課題を抱えています。

キーとなるのは「店長・拠点長」、生産性を向上させるカギとは

「縦の伝言ゲーム」についてもう少し詳しくお話しします。
どのように現場の実行管理をすればいいのか。改善ポイントは色々あるのですが、間違いなく一つのキーとなるのは「店長・拠点長」と言われる人たちの存在です。

店舗力、拠点力を支えているのは多くの場合、パート・アルバイトなどの非正規社員です。その人たちにどれだけ活躍してもらうかは店長次第なのですが、その店長の力量にもバラツキがある。実務だけでなく人心掌握力に優れるような抜きんでた実力をもつ店長は何も必要ないかもしれないが、そうでない「普通の」店長には何か武器を与えないといけないのではないか。

前職での経験で僕がひしひしと感じたのは本当にこの点につきます。本部の施策、熱い想いを現場の数万人に届けるのに、クライアントは多大な労力を使ってきました。
当時はスマホがありませんでしたから、PCのメールやガラケーを駆使し、テキストや図表、静止画像を使ったりとあの手この手で指示伝達するのに加え、本部に店長を集めて対面で指導という形です。

しかし、たいていの場合、その多大な労力を使って伝えるのは店長・拠点長まで。その先のパート・アルバイトには店長が持ち帰って伝えるケースが多かったのです。

サービス業が人手不足にあえいでいた当時、現場には外国人やシニア、主婦など多様な人材が続々投入されていました。文化や習慣が異なるそれぞれのスタッフが正しく理解し再現できるように、全員に指示を行き渡らせるのは簡単ではありません。 シフト制の現場であれば店長が全員と顔を合わせる機会も少ないでしょう。そのような状況では当然、お客様に提供するサービスや商品の品質はブレてしまうのです。その状況を目の当たりにして、なんとかできないのかとジレンマを感じたものでした。

また、現場ではたらくスタッフにはすごい人たちがたくさんいることも日々感じていました。見たこともない速さで調理の仕込みをする人、ちょっとした工夫で店舗全体の業務効率を上げる人などを知って、日本のサービス業はこの人たちに支えられているんだと実感したものです。
それなのに、惜しいことにそのすごい技術は同じ現場の人にしか共有されない。この技術を会社全体に広めることができたら生産性が一気に上がることは明らかなのに、その手段がないのです。

1万5000店舗以上・約42万人が利用
店長や拠点長の負荷を削減し、現場の最前線で働くスタッフが働きやすい環境を

そうした課題に対し、今後の自分のキャリアを照らし合わせたときに、ITを使って企業全体の生産性向上、多店舗展開企業の現場力の底上げに役立つ仕事ができないかと考えるようになりました。

それをきっかけとして、ClipLine株式会社は日本のGDPの7割以上を占めるサービス業において、生産性を向上させるというミッションをひっさげ誕生しました。

飲食、小売店舗だけでなく、福祉、金融、保険、自動車販売などさまざまな業界で導入され、2022年3月時点で1万5000店舗以上、約42万人が利用しています。

動画による伝達やマネジメントは確実に店長や拠点長の負荷を削減し、現場の最前線で働くスタッフが働きやすい環境を作り出します。
また、いち現場のスタッフのすごい技術を全国どの店舗にも瞬く間に共有することが可能なのです。
これは私の個人的な望みなのですが、このような個人技が評価にも反映されて、仕事ができるスタッフの時給がぐんぐん上がるようなシステムができたらいいなと考えています。

また、当然ながら起業当初は想定していませんでしたが、コロナ禍をきっかけとして非接触コミュニケーションの手段として活用され、これまでデジタルとは縁遠かった業界でも活用が始まっています。

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ヒトに期待される役割はますます多彩に
スタッフの品質が売上・業績の向上につながる

新人教育に関しては、従来の4割ほどコストが下がると評価を得ています。
もうひとつ大きなポイントは、離職率が下がることです。多店舗展開の企業の場合、非正規社員が多く働いていますが、離職する場合は働き始めてから3カ月以内が大半です。

その主な理由として、職場の人間関係に入っていけない、自分が役に立っていると感じられないという2つが挙げられます。視点を変えると、最初の3カ月でしっかり人間関係を作れて、仕事を覚えられれば、長続きする可能性が高い。そこで、あらかじめABILI Clipで新人教育のカリキュラムを組み、その過程でスタッフの名前と顔が一致するような仕掛けも埋め込んでおくことで、実際に導入企業では離職率が下がっています。

離職率が下がるとスタッフのオペレーションの質が高まるので、顧客満足度が上がり、ロイヤルカスタマーが増えて、売り上げが伸びるというところまでつながっていきます。

あるファストフードチェーン店は、プロジェクトを組む時点で売り上げアップが目標でした。そのチェーン店では、お客さんが注文する時に、接客者が商品を勧めるようにしました。そのお勧めの仕方を体系的なクリップにまとめて、接客担当のスタッフに見てもらうことで、顧客単価を5%から10%上げることを目指してスタートし、実際に単価が上がりました。

しっかり仕事をおぼえることで、自分がお客さんやお店の役に立っているという感覚が持てれば、自己肯定感が育まれると思います。それに、なにか仕事上でわからないことがあった時に、いつでも見て学べる、復習できる環境は、安心して働ける職場づくりにもなるので、スタッフの満足度は高まると考えています。その結果として、良いサービスが提供され、顧客満足度が高まり、ロイヤルカスタマーが増えることで業績が上がるという順番になると思います。

デジタル化が進み、AIがどれだけ浸透しても、ヒトが提供するサービスの付加価値の源泉はずっとヒトでしょう。そして、多店舗・多拠点展開企業におけるヒトに期待される役割はますます多彩に、高難易度になっていくと考えられます。店舗・拠点をあちこちに展開する企業ならまずABILI Clipが導入されている、そんな世界の実現を目指しています。

高橋 勇人
ClipLine株式会社 代表取締役社長

京都大学理学部、同大学院理学研究科卒業後、アクセンチュア株式会社、株式会社ジェネックスパートナーズにおいてコンサルタントとして多数の多店舗展開企業の経営改革を主導。大手外食企業を始め、売上数百億~1千億円規模の企業の業績向上と組織変革を完遂。2013年に独立しClipLine株式会社を創業。同社の代表取締役として経営をリードしながら、コンサルティングノウハウを活かしてABILI Clipを開発。
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