「お客様第一」の経営理念を体現し
重点商品売上昨対300%以上UPを達成した方法とは
<事例セッション②>
一人一人の「人間力」を高め、お客様へ感動を与える体験を
〜業務スーパー経営、ボトルワールドOKに今起きている変化〜
株式会社ボトルワールドOK 専務取締役 植鉢文人様
ClipLine株式会社 執行役員兼デリバリー本部長 植原 慶太
ClipLine株式会社 コンテンツ・コミュニケーション部 部長 金地 雅明
2つ目の事例対談セッションでは、ボトルワールドOK株式会社 植鉢文人氏をお招きし「一人一人の『人間力』を高め、お客氏へ感動を与える体験を」というテーマで、小売業における最高の顧客体験を生み出す要点や、従業員の行動変容を促すコンテンツ制作・運用のポイントをお伺いした。
ボトルワールドOK様は、桶谷ホールディングスに所属する小売企業で、奈良県や大阪府を中心に酒類販売店や業務スーパーのフランチャイズ店舗を計39店舗運営している。「お客様第一」という経営理念を体現するべく、お客様にどう喜んでいただくか・感動していただくかを最も重要視している。
このような経営理念を持つボトルワールドOK様が、現在事業運営の中で向き合っている課題はなにか。
植鉢氏は顧客ニーズの変化と働く従業員の変化の2つを挙げた。
SNSやEC等のツールが浸透していった結果、販売チャネル・情報収集経路が多様化し、その結果として購買判断軸の高度化が進んでいると植鉢氏は分析する。その対策としてボトルワールドOKでは、来店動機となる従業員の人間力と専門性を高めることに注力している。
また、現在の若年層の特性として、仕事の意義など働く環境の質を重要視する傾向があると植鉢氏は分析する。そのためボトルワールドOKでは、正規社員に向けてはキャリアパスと評価基準の明確化を、非正規社員にはエンゲージメントを高める接点を増やしていくことを重要視している。
また、小売業界全体の課題となっている人手不足に対して、植鉢氏は次のように述べた。
「人手不足は2つに分解できます。1つは物理的な人手不足、2つはスキル人材の不足です。」
「物理的な人手不足の中の理由を深堀ると、離職した非正規社員のうち約70%が3ヶ月以内に退職していることがわかりました。そのため、求人から勤務初期までのプロセスにおけるマニュアルの再整備やOff-JTの取り組みの強化を今後行っていきます。またスキル人材の不足に関しては、専門知識のインプットなどOff-JTだけではなく、現場でのOJTを重要視しています。人としてのサービス力をつけていくことを目指して、スキルアップを図っています。」
人手不足や顧客ニーズの多様化など、直面していた様々な課題の根本としてボトルワールドOK様が感じていたのは、店長のスキルレベルやサービス品質のバラつき、組織内の情報伝達の仕組みが不完全であるといった課題であった。
これらのバラつきを解決するために、ABILI Clipの導入検討を開始した。
検討時に期待していたこととして、植鉢氏は4つの期待を挙げた。1つ目は動画を活用することによる暗黙知の見える化、2つ目はコンテンツを起点とした現場のコミュニケーション促進、3つ目は売り場の状況の見える化による現場の均質化、4つ目が既存の集合研修等の補完コンテンツとしての利活用であった。
では、実際の運用はどのように進めていったのか。
まず、ボトルワールドOK様では、植鉢様を中心に営業企画部や商品部からメンバーを集めてABILI Clip運用チームを構築していった。
このチーム構築のポイントは(1)経営陣が運営に関与すること(2)関連メンバーを巻き込んだチームビルド(3)関連部署との協力 の大きく3つであったと弊社執行役員兼デリバリー本部長植原は解説する。特にチームメンバーの選定に関しては、企画を行う営業企画だけではなく、現場に近い場所で業務を遂行しているエリアマネージャーや商品開発・仕入れを担当しているMDなど、現場力を高めていくために必要な人材を適切にアサインすることが1つの重要なポイントだったと振り返る。
ボトルワールドOK様のABILI Clip導入は大きく3つのフェーズに分けて推進してきた。
3つのフェーズに分類した理由を、植鉢氏は次のように述べている。
「弊社は現場のサービス力に拘っています。売り場を作るだけでなく接客など、全てのサービスは人を起点にしています。そのため接客サービスの中心となる人の教育として、マニュアルの再整備をフェーズ1と位置づけました。それに加えて、商品の魅力を伝えていくためには売り場が重要になってきます。そのため、販売施策の落とし込みをフェーズ2と位置づけて運用を開始しました」
それぞれのフェーズは約3ヶ月程度を1タームとして推進している。
各フェーズごとに成果や進捗の確認を定期的に行いながら、二人三脚で導入を推進してきた。
その結果として、導入開始直後から高い視聴完了率を記録している。
完了率は95%を超えており、店舗ごとではなく人単位で情報や施策の意図を浸透させることに成功している。
では、各フェーズにおいて具体的にどのように推進してきたのか。教育・動画マニュアル整備フェーズにおいて重要だったこととして、2つのポイントを植鉢氏は挙げた。
1つ目は店長含む社員がABILI Clipを徹底して活用すること、2つ目はアルバイト・パートの入社初日に、現場に出る前に2時間近い初期研修ToDoを確認してもらうことである。
この2つのポイントを徹底していくことが、運用開始直後から高い視聴完了率が達成できた理由だと振り返る。
教育カリキュラムのコンテンツは合計で100本程度存在するが、その中には実際に植鉢氏が動画に出演するコンテンツも存在する。実際にご自身で動画に出演し、各施策の重要性を説明する理由として、植鉢氏は次のように述べた。
「会社として重要な事項に対して取り組んでいく際に、代表や役員からのトップメッセージを実施することは、動機づけにおいて有効だと考えています。ただ動画をみるだけではなくて、その取組を行う理由はなにか、行った結果どうなるのかをトップ自ら説明することで、現場の社員に取り組みの重要性や覚悟をよりしっかりと理解してもらうことができます。」
教育・動画マニュアル整備フェーズが完了した後、2つ目の販売施策落とし込みフェーズへ移行していった。
販売施策は短期的に落とし込んでいく必要があるため、企画段階でスケジュールと内容を精査していき、企画を実行していく。そのうえで、各店舗の売り場づくりの徹底と好事例の展開を目的に「ネタ販売コンテスト」という売り場コンテストを実施し、PDCAサイクルを回している。
「ネタ販売」とは、普通に陳列するだけではわからない商品の付加価値=ネタを、接客とPOPで伝え届ける取り組みである。年に数回全国で全店参加でコンテストを実施しており、ボトルワールドOK様の重点施策の1つであった。
フェーズ2では、このネタ販売コンテストをABILI Clipを活用して運用している。施策展開から内容の提出、好事例共有の一連の流れがすべてABILI Clip上で完結するだけではなく、拠点をまたいだ好事例の展開など、ナレッジの循環という意味でも成果が現れている。また本取り組みの結果、ネタ販売コンテスト対象商品売上が実施前同期間比300%以上を達成し、売上の面でも大きな成果を創出することに繋がっている。
これまでのABILI Clipの取り組みを振り返り、得られた成果を植鉢氏は次のように振り返った。
「お客様から、サービスへのお褒めの言葉をいただくことは格段に増えています。また、ネタ販売コンテスト等を通して粗利益の改善にもつながり、着実に成果が出始めていると感じます。」
また、ABILI CLipの導入支援をしている弊社執行役員兼デリバリー本部長植原は、ABILI Clipのご支援範囲は現場への情報伝達や実行支援のみだが、効果としてはサービスプロフィットチェーンの売上も含む各部に影響が現れているのではないかと解説する
結びとして、植鉢氏はこれまでのABILI Clip導入期間を振り返って、DX化・IT化のポイントを次のように述べ締めくくった。
「弊社のような中小企業では特に、人手不足が課題として大きいため、その解決としてDX化を進めようとするケースが往々にして存在します。ただ、このような近視眼的なDX推進では上手くいかないケースも存在すると思います。重要なのはDXを進めることで、何を解決してどのような成果を得たいのかを明確にすること。そのうえで期間を定めて適切に導入に向けて運用していくことが最も重要だと考えています。」
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