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サービス産業でもできる!事例に見る業務改善の手法

サービス産業で最優先すべきは顧客満足度の向上ですが、利益率を上げようとすれば、業務の効率化は避けて通れません。一見両立が難しいように思えるこの問題、実現しなければサービス産業が抱える課題は増大するばかりです。ここでは、他社との差別化ともなるサービス産業における業務改善の手法について、事例を基に解説します。

目次[非表示]

  1. 1.サービス産業全体が抱える「業務の非効率」という問題
  2. 2.業務効率を上げる5つのステップ
  3. 3.事例その1:株式会社スーパーホテル
  4. 4.事例その2:ブリリアントアソシエイツ株式会社
  5. 5.業務効率の向上が利益率の向上につながる

サービス産業全体が抱える「業務の非効率」という問題

サービス産業では、「人」による手厚いサービスが顧客満足度の向上につながるとされています。これは、サービスの質を保つには、多くの業務を人手に頼らざるを得ないということです。つまり、「業務の非効率」が前提となっているのです。しかし、慢性的な人材不足解消の見通しが立たない今、この業界の構造的課題を解決しなければ、サービス産業全体が沈んでしまうかもしれません。日本が誇る「おもてなし」と、業務の効率化をいかにして両立するか。日本のサービス産業は岐路に立たされていると言ってもいいでしょう。

業務効率を上げる5つのステップ

前述したように、サービス産業には「人」が担う業務がたくさんあり、その多くが非効率なものとなっています。そこで、ここでは次の5つのステップで自社の業務を見直し、改善してみましょう。

ステップ1:自社の現状と課題の把握

まず自社の現状と課題を把握するために、業務の棚卸しをします。そのためには、関連する業務ごとにどのような問題点があるのかを洗い出します。このとき、スタッフの声を細かく拾い集め、必ずトップにまで上がるようにすることが重要です。各部門の責任者に任せて途中でうやむやにすると、課題が内在化したままになりかねません。課題の解決に向けては、短期・中期・長期に分けて実現可能な期限を区切って施策を検討します。

ステップ2:現行業務の「仕分け」

現行業務の仕分けは、通例に従って行われている意味のない仕事を取り除くための大切な作業です。組織には、10年、20年と続けていくうちに常態化してしまった、やらなくてもいい不要な業務が大小問わず必ずあります。こうした不要な業務をなくす一方で、営業に不可欠と思われるものについてはその目的を明らかにし、必然性を確認します。

ステップ3:ムダ時間の排除

業務を仕分けることは、ムダ時間の排除にもつながります。例えば、2回行っていた周知目的のミーティングを1回にすれば、集散のための時間を節約することができます。ムダな業務を発見するポイントは、時短を進める方向から見直しをすることです。

ステップ4:バランスの精査と人員の再配置

人員の再配置を含め、全体のバランスを見直します。非効率になる要因のひとつに、仕事量とそれを処理する人のスキルが釣り合っていないということがあります。こうしたアンバランスは、現場の不満となって従業員満足度を下げることになりかねません。ですから、現場から不満の声が上がったときには単なる不満ととらえず、能力不足が原因となっていないか、ほかに適任者がいないかなどを確認します。また、人手がかかるわりに売り上げにつながらない業務は、思い切って切り捨てる英断も必要です。

ステップ5:ITやアウトソーシングの活用

オーダーシステムや在庫管理など、サービス産業でも効率化に向けたIT活用が増えてきました。なかでもおすすめなのが予約管理や物品調達のシステムです。これらは特に効率を上げやすく、しかも顧客満足度を向上させる可能性もあります。導入コストと効果の見極めは難しいところですが、他社の事例を参考にして前向きに検討したいところです。同様に、費用対効果を検討しながら、アウトソーシングの活用も視野に入れましょう。販促・マーケティング、サイト運用、勤怠管理、人材採用などのほか、フードサービス全般、福祉サービス全般についてのサポートを行う企業もあります。業務効率向上に大きな期待ができます。

事例その1:株式会社スーパーホテル

国内外で121店舗を展開するビジネスホテルチェーンの株式会社スーパーホテルは、徹底した効率化を実現しながらJ.D.パワーアジア・パシフィックホテル宿泊客満足度調査の1泊9,000円未満部門で4年連続1位を獲得しています。売上高は右肩上がりで、平成29年度3月期で308億7,100万円を達成しました。
同じホテルであっても、スーパーホテルはリゾートや観光客に利用されるラグジュアリーホテルとは一線を画し、ビジネスパーソンに特化しています。同社の「誰に対して」サービスを提供するのかを絞り込む姿勢は、マーケティング上とても重要です。顧客を明確にすることで、ターゲットとする顧客=ビジネスパーソンに不要なサービスや設備をなくし、その代わりに顧客が真に必要とする「安眠」という快適さを追求するからです。
例えば、部屋の固定電話、冷蔵庫のドリンク、チェックイン・アウトの手続き、部屋の鍵。これらはビジネスパーソンにとっては必要のないものばかりです。そして、それらはホテル側にとっても負担と言えます。そこで、スーパーホテルでは、部屋の固定電話を撤去し、冷蔵庫を空にし、チェックイン・アウトを自動化することで精算業務を廃止し、入退室も暗証番号でできるようにしてフロント業務を軽減しました。さらに、掃除コスト削減のために足のないベッドを、経理業務を本社で一括管理するためにクラウドを導入することで、数多くの業務を効率化しています。

その一方で、1泊5,000円の格安ホテルとは思えないほどの幅広のベッドや8種類の枕、眠りを邪魔しない防音設計など、仕事に向かうビジネスパーソンにとって最良のサービスを提供しています。
スーパーホテルのこの姿勢は、1996年に第1号店を福岡市で開業してから一貫しています。そして、その実現のために早い段階からIT化を推進し、ホテルシステムを構築してきました。
サービス産業において、サービスの質を維持しながら人員削減を実施することは難しいと思われています。しかし、誰が顧客であるかをベースに選択していけば、顧客を満足させながら効率化を実現することは決して不可能ではありません。そのことをスーパーホテルは教えてくれます。

事例その2:ブリリアントアソシエイツ株式会社

鳥取市に、地元の食材をたっぷりと使った人気の海鮮レストラン「賀露幸(かろこう)」があります。この「賀露幸」、運営会社は地元でビューティーサロンを経営するブリリアントアソシエイツ株式会社ですが、その親会社は建築用資材を製造する日本ランドメタル株式会社です。これは、異業種の知識をレストラン営業に活かしたことで、業務効率の向上を成功させた事例です。
同店の課題は、1日に最大で300人もの来店客がありながら、常時空きテーブルがあるという状況でした。つまり、顧客誘導がまったくできていなかったのです。これは、厨房の調理作業が追い付かず、客を案内できずにいたことが原因です。当時は、客を待たせるどころか、その様子を見てあきらめて帰る客も多数いたそうです。

調理作業が追い付かない原因が厨房内のレイアウトにあると気付いた同社は、製造業の視点から改善に乗り出しました。スムーズな厨房内動線を確保するために厨房のレイアウトを変更し、作業の流れを整理したのです。同時に、スタッフの教育にも力を入れ、マルチスキル化を促進したことで、過不足のない人員配置を可能としました。さらに、ホール内のレイアウトも変更しました。テーブルサイズを小さくすることで、段階的に客席数を増やし、最終的には2倍以上の130席まで拡大したのです。その結果、一日最大客数を改善前の1日300人から、4倍以上の1日1,300人に増加させることができました。
注目すべきは、業務改善に際してほとんど新たな投資をせず、店舗面積も変更しなかったことです。現場の地道な改善と工夫の積み重ねによって、業務効率と売り上げが向上、さらに経営側のひたむきな努力がスタッフに対しての刺激となり、自発的な顧客サービスへと理想的な循環を生み出しました。

業務効率の向上が利益率の向上につながる

業務効率が向上しても、サービスの質が低下してしまったのではまったく意味がありません。顧客満足度を向上させながらムダを省きスピードアップを図るのが、サービス産業の正しい効率化です。実際、サービス産業の多くの企業が、業務の効率化を行いながら利益率を上げています。そうした成功事例を参考に、自社に合った効率化の手段を見出し、実行してみましょう。それが、最終的には利益率の向上につながります。

ここまでサービス業の業務改善事例についてご紹介してきました。

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