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ナレッジマネジメントとは何か|基礎理論から導入の際のポイントまで詳しく解説

「ナレッジマネジメント」とは、特定の個人が持っている知識やノウハウを共有し、経営戦略に活用することです。1990年代に提唱された日本発祥の経営理論ですが、今またビジネスシーンで注目を集めています。なぜ再び注目されるようになったのか、ナレッジマネジメントの基礎理論や導入ポイントも含めて詳しく解説しますので参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.ナレッジマネジメントとは
  2. 2.ナレッジマネジメントが注目される背景
  3. 3.ナレッジマネジメントの効果
  4. 4.ナレッジマネジメント導入が進まない要因
  5. 5.ナレッジマネジメント導入のポイント
  6. 6.まとめ

ナレッジマネジメントとは

英語で「Knowledge Management」と表記されるナレッジマネジメントは、直訳すると知識経営という意味になります。具体的には知識や経験を共有、可視化することにより、企業力や競争力の向上につなげようとする経営手法です。以下の段落ではプロセスのモデルや手法なども含め、ナレッジマネジメントについてさらに詳しく掘り下げて解説します。

ナレッジマネジメントにおける「ナレッジ」とは

「ナレッジ」は単なる知識ではありません。「暗黙知」および「形式知」と呼ばれる2種類のナレッジついて、まずは確認しておきましょう。

暗黙知

暗黙知は個人が身につけた知識やスキル、ノウハウなどで、他人にはその詳細がはっきり分からないものです。例えば職人の勘やベテラン社員の営業スキルなど主観的なことが多く、言葉で他人に伝えるのは用意ではありません。

形式知

一方で形式知はデータやモデルのように数値や図表で表しやすいものが挙げられます。また、文章化して記録物として残せる理論なども形式知です。形式知は従業員個人が経験したことであっても、客観的に表されるものを指します。

ナレッジマネジメント実践のプロセス「SECIモデル」

ナレッジマネジメントの実践には、見える化しにくい暗黙知を形式知へと変換し、企業内で知識を共有する必要があります。そのために提唱されたプロセスが野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)らが提唱した「SECIモデル」です。次の段落からはSECIモデルの4つの段階を解説します。

1.Socialization=共同化

「共同化」は個人のなかで培われる暗黙知を他者も同じ経験をすることで理解を深め、知識を共有できるようにしようとするステップです。例えば職人の世界で弟子が親方を見ながら仕事を覚える、技術を盗むなどのシチュエーションが分かりやすいでしょう。

2.Externalization=表出化

共同化のステップで理解を深めた暗黙知を、言葉や文章を使ってマニュアルなどの形式知に変換するステップです。ミーティングや報告など対話の場を設け、しっかり話し合ったたうえでズレが生じないようにする必要があります。

3.Combination=連結化

暗黙知から変換した形式知をほかの形式知と結合することにより、新たな形式知を創り出すステップです。既存のシステムやマニュアルに要素を加えて更新するなど、連結化は体系的な知識が生み出されるステップとして必要とされます。

4.Internalization=内面化

1~3のステップを実践することで、共有された形式知が個人の暗黙知として変化します。例えば先輩社員の営業スキルを体得し、自分のものとして身につけられた状態です。こうして得られたスキルやノウハウなどの暗黙知は、再び4つのプロセスを経て新たな形式知ができあがることにつながり、企業内知識の増大と向上に役立ちます。

ナレッジマネジメントの手法

ナレッジマネジメントは企業や組織が抱える課題に応じた手法を導入する必要があるため、次に主な4つの手法について詳しく解説します。

経営資本・戦略策定型

自社内に蓄積されている事例や競合他社の事例、ナレッジなどを分析し、経営戦略の策定に活用しようとする手法です。分析に専用のツールを用いることも多く、結果に基づいて業務プロセスの見直しや洗い出しなどを行う際に役立てます。 

顧客知識共有型

顧客からの意見や質問、クレームの内容、どのように対応したのかなどの履歴をデータベース化して共有する手法です。業務プロセスの改善や効率化が図れるとともに、部署間での情報共有も可能になり、顧客満足度を高めることにもつながります。

専門知識型

企業や組織内外に蓄積されている専門知識をデータベース化し、よくある質問をFAQ形式にまとめて共有する手法です。FAQがあれば知りたい情報をスムーズに得ることができるため、特に問い合わせの多い部署で生産性をアップさせるのに役立ちます。

ベストプラクティス型

企業内や組織内でも特に優秀な人の行動・思考パターンなどを、形式知に変換して共有しようとする手法です。ノウハウを共有できることで、新人であっても営業力を高められるなど、企業や組織全体のスキルを向上させる効果があります。

ナレッジマネジメントが注目される背景

1990年代に提唱されたナレッジマネジメントが近年再び注目されるようになった背景には、主に次の3つの理由があります。

雇用の多様化

時代ととともに企業の雇用形態が変化し、現代ではすでに終身雇用制度が主流ではなくなってきています。従業員が入れ替わることも珍しくなく、自然に培ったスキルやノウハウのような暗黙知を企業内で継承するのが困難になっている状況です。

IT技術の発展

従来は暗黙知を形式知化するのは簡単ではありませんでした。IT技術が発展した現代では情報共有ツールによって知識やノウハウの共有および蓄積が簡単になり、効率よくナレッジマネジメントを実践する環境が整ったのも背景のひとつです。

テレワークの拡大

働き方改革によって働き方が多様化しつつあったところに、新型コロナウイルスへの対策でテレワークの導入も拡大しました。同じ空間で働くのと違い、テレワークでは知識やノウハウを直接伝えるのが難しいのもナレッジマネジメントが注目される理由です。

ナレッジマネジメントの効果

では実際にナレッジマネジメントを導入すればどのような効果が得られるのか、以下の4点を詳しく解説していきます。

業務効率の向上

ナレッジマネジメントを導入することで知識やノウハウを誰でも簡単に参照できるようになります。分からないことがあるたびに質問を繰り返さなければならない時間や労力を省き、業務をスムーズに進められるメリットがあります。

組織の連携強化

ナレッジマネジメントでは、蓄積された情報やノウハウを企業内や組織内で共有できます。部門間の連携がとりやすくなることで素早い対応が可能になり、サービスの改善につながるでしょう。横の展開が可能になることで、競争力アップや新たな成果も期待できます。

属人化の解消

特定の人が決まった業務に携わっている場合、知識やノウハウが共有されていない属人化が起こりがちです。それでは担当者の不在時や退職時に業務が停滞する懸念があります。情報を共有できれば属人化を解消し、誰でも業務が行えます。

人材育成の効率化

共有されたナレッジを参照できれば、従業員が自力で業務に関する知識やスキル、ノウハウを習得できます。不明な点を調べて、自分である程度の問題解決も可能です。その分、新人教育に専任の担当者を割く必要が減り、人材育成の効率化が図れます。

ナレッジマネジメント導入が進まない要因

ナレッジマネジメントを導入しようとしても、なかなか進まないケースもあります。その要因は主に以下の2つがあります。

共有に対して否定的

スキルを持つ人の場合、自分が得た知識やノウハウをほかの人に知られたくないと思うことも珍しくありません。特に営業成績に影響するなら、なおさらです。企業全体の成長にはナレッジの共有が大切であることを理解してもらう必要があります。

ITリテラシーの問題

ナレッジマネジメントを導入しても、実際に活用する従業員のITリテラシーのレベルに合わなければ効果を発揮しません。日常的にパソコンを使わない職種の場合、操作がしづらいために敬遠されてしまうこともあり得ます。

ナレッジマネジメント導入のポイント

実際にナレッジマネジメントを導入しようとする際は、以下のポイントに気をつけましょう。5点を挙げて詳しく解説します。

導入目的を明確にする

まず導入によって何を解決したいのか、どのような効果を得たいのかを明確にしておきましょう。そのためにも自社の課題を洗い出すことが重要です。ナレッジマネジメントは課題解決に効果的な方法ですが、その先の目的を明らかにしておく必要があります。

共有するメリットを示す

従業員に対して、ナレッジを共有するメリットを明確に示すこともポイントです。共有に否定的な人がいる可能性もあるため、ナレッジを共有することで得た企業全体の業績が還元される仕組みや評価制度の導入を検討してみましょう。

共有する情報や手法を選ぶ

実際にどの範囲の知識や情報を共有するのか検討することも大切です。データベースを作成するのかFAQ形式にするのかなど、共有の方法も決めましょう。必要な内容を使いやすい手法で運用できるようにすることがポイントです。

導入作業を仕組み化する

共有したい情報や手法が決まったら、次は実際の業務フローのなかに組み込んでいく必要があります。仕組みだけ作成して活用されないという状況にならないように、誰もが使いやすいツールやシステムにすることが重要です。

定期的に確認と改善を行う

運用が始まってからも定期的に見直し、ナレッジの共有が仕組みとして機能しているかどうかの確認も行いましょう。実際にツールやシステムを使う現場の声を聞きながら改善を続け、常に最適化していくことが大切です。

まとめ

現代のビジネスシーンで企業力や競争力を高めていくためには、ナレッジマネジメントが欠かせません。ナレッジマネジメントを効果的に導入するためには自社に合った仕組みやツールを導入するなど、押さえておきたいポイントもあります。

ABILI Clip」は、「デジタルSECIモデル」をサービスコンセプトに、デジタル上でのナレッジマネジメントを行う仕組みで特許取得をしているサービスです。

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