NPSとは|顧客満足度調査との違いやメリット・デメリットを解説
近年、従来のいわゆる顧客満足度調査ではなく「NPS」を調査し、その結果をもとに顧客ロイヤルティを高める取り組みが活発化しています。NPSの調査結果を活用すれば、収益に直結する改善活動が可能とされており、注目が集まっているのです。
本記事では、NPSの概要や顧客満足度調査との違いに加え、具体的な計算・調査の方法を解説します。NPSの活用に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
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NPSとは|顧客満足度調査との違いも解説
そもそもNPSとは何なのか、具体的に把握できていないという方も多いでしょう。ここでは、NPSの概要や顧客満足度調査との違いについて解説します。
NPSとは
NPSは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略語で、顧客ロイヤルティを数値化するための指標です。従来の顧客満足度は扱う内容が幅広いため、課題の特定や数値化が難しいとされていました。そこで、焦点を絞った調査方法としてNPSが利用されるようになりました。
NPS調査では、企業や商品、サービスについて「家族や友人にどの程度おすすめしたいか」を質問します。0~10点のスコア形式で評価してもらい、顧客ロイヤルティを数値化します。
顧客ロイヤルティの高さは事業の成長率や業績との相関関係が深いとされているため、重要性の高い指標としてNPSを取り入れる企業が増えているのです。
顧客満足度調査との違い
NPSより歴史が長く、より多くの企業に利用されているのが顧客満足度調査です。NPSと顧客満足度調査の違いとしては、「収益への直結のしやすさ」が挙げられるでしょう。
顧客満足度調査では、商品やサービスの品質、接客、店舗内の環境など幅広い項目で顧客の満足度を調査します。各項目に対し、5段階評価で満足度を答えてもらったり、自由回答でコメントをもらったりします。
顧客満足度調査は商品やサービスにかかわるさまざまな要素を対象とするため、満足度向上に向けて網羅的に課題を洗い出すことが可能です。しかし、対象が幅広いため改善すべき項目が増え、収益にも直結しづらくなる点はデメリットだといえるでしょう。
一方、NPSは収益に直結する「顧客ロイヤルティ」に絞って調査を行ないます。他人への推奨意向が高い顧客は、ロイヤルティが高く、収益にもつながりやすいとされています。そのため、NPS調査を通じて顧客の推奨意向を確認すれば、マーケット内でポジションを勝ち取り、売上・利益を成長させるための直接的なヒントが得やすいのです。
NPSを調査するメリット|顧客満足度調査との違い
NPS調査を実施するメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- 収益に直結しやすい
- 業界内のポジションがわかる
収益に直結しやすい
NPS調査の大きなメリットの1つが、調査にもとづく改善が収益に直結しやすい点です。
一般的な顧客満足度調査では、顧客の性別や年齢といった属性に加え、商品やサービスを知ったきっかけ、購入・利用の理由など、商品やサービスに関するさまざまな項目を調査します。よい点・悪い点を網羅的に把握できるのはメリットですが、悪い点を改善したからといってすぐに収益に直結するわけではありません。不満が少なくなったとしても、他社のサービスからわざわざ乗り換える理由にはなりにくいからです。
NPSの場合、顧客の推奨意向とそれにもとづくロイヤルティの高さに絞って調査することで、課題の解決がそのまま顧客ロイヤルティや収益の向上に直結しやすくなります。業績向上に向けて必要な活動に集中できるため、効率よく事業を改善できます。
業界内のポジションがわかる
NPSのもう1つのメリットが、業界における自社のポジションを的確に把握できる点です。
顧客満足度調査の場合、企業によって満足度の定義や質問項目などが異なるため、同じものさしで競合比較を行なうのは困難です。一方、推奨意向という統一の指標で調査を行なうNPSなら、業界平均や競合他社との比較が可能になります。顧客ロイヤルティの高いブランドによる訴求方法などを分析すれば、自社に足りない要素が明確になるのです。
また、継続的にNPS調査を実施することで、前回の調査時から市場でのポジションがどう変化したかを可視化できます。ポジションの変化を把握することで、商品やサービスの改善、広告宣伝の強化などが成果につながったかどうかがわかるため、的確な軌道修正が可能になります。
NPSを調査するデメリット|顧客満足度調査との違い
NPS調査には、メリットだけでなく以下のようなデメリットも存在します。
- 手間・コストがかかる
- 迅速・的確な改善につながりにくい
手間・コストがかかる
NPS調査では、競合他社を含めて多様なブランドを調査し、回答を得ることが可能です。しかしそのぶん、調査の設計や実施に多大な手間やコストがかかるというデメリットがあります。
NPS調査は質問内容によって回答結果が変動するため設計が難しく、ノウハウのない企業が自力で実施するのはハードルが高いといえます。そのため、NPSの調査は外部の調査会社に依頼するのが一般的です。外部委託となれば1回当たりのコストが高くなってしまうため、多くの企業にとって継続的な実施は困難になります。
一方、顧客満足度調査であれば質問設計がしやすいうえ、Webアンケートツールなどを使えば手軽に仕組み作りが可能です。月数万円程度の費用でデータを取り続けられるため、コストパフォーマンスは高いといえます。
迅速・的確な改善につながりにくい
NPSは迅速・的確な改善につながりにくい側面もあります。
「他人にどの程度おすすめしたいか」は重要な指標ではあるものの、その結果に基づいて具体的な改善のアプローチが決まるわけではありません。調査結果はあくまで現在の立ち位置を表すものであり、結果を踏まえてマーケットの状況を分析しなければ、改善すべきポイントは見えてきません。
従来の顧客満足度調査であれば、顧客の不満につながっているポイントが正確にわかるため、迅速かつ的確に改善を実施できます。すぐに収益にはつながらない可能性はあるものの、顧客の不満を1つずつ着実に改善していくことで、長期的な収益の拡大につなげられます。
NPSの調査方法を解説
NPS調査を進める場合、具体的な計算方法や調査の設計方法を押さえておく必要があります。以下2つのポイントで解説します。
- NPSの計算方法
- NPS調査の設計方法
NPSの計算方法
NPS調査では、商品あるいはサービスのおすすめ度を0~10点の11段階で評価してもらいます。そして、顧客がつけた点数に応じて以下3つのタイプに分類します。
0〜6点:批判者
7〜8点:中立者
9〜10点:推奨者
0〜6点の「批判者」は、その商品やサービスに対する不満を抱いており、購入あるいは利用を検討している他者にネガティブな影響を及ぼす傾向があると判断されます。7〜8点の「中立者」は、特に不満もなければおすすめもしない、流動的な顧客です。9〜10点の「推奨者」は、顧客ロイヤルティが高く、他者にも購入や利用を熱心に勧める傾向があります。
NPSのスコアは、上記の分類にもとづき「推奨者の割合(%) - 批判者の割合(%)」で計算します。例えば、推奨者の割合が25%で批判者の割合が40%だった場合、NPSのスコアは「-15」です。逆に、推奨者の割合が40%で批判者が25%であれば、NPSのスコアは「15」となります。NPSの数値が高ければ、そのぶん推奨者が批判者よりも多いことを意味します。
NPS調査の設計方法
NPS調査を設計する際は、以下の流れで進めましょう。
- 調査目的の決定
- 質問の作成
- 配信リストの作成
- アンケートの実施
- 回答結果の収集・分析
まず、NPS調査を実施する目的を明確にします。なんとなく実施するだけでは、その後の改善につなげられません。調査の目的を言語化したうえで、関係者間で共有することが最初のステップとなります。
続いて、顧客ロイヤルティを測るための質問を作成します。質問の数や内容など、その後の改善活動を見据えて作成しなければ、役に立つ調査結果が得られません。質問の準備ができたら、配信リストを作成して調査を実施します。信頼できる調査結果を得るためには、回答者の属性に偏りがないかなど入念なチェックが必要です。
最後に、集まった回答結果をもとに自社および競合他社のNPSスコアを算出し、分析します。調査によって現状を把握するだけでなく、その後の改善につなげることが大切です。
NPSのメリット・デメリットと顧客満足度調査との違い【まとめ】
本記事では、NPS調査のメリット・デメリットや、従来の顧客満足度調査との違いを解説しました。NPSは、顧客のロイヤルティを数値化できる重要な指標です。調査結果に基づいて事業の改善を続ければ、顧客ロイヤルティが向上し、収益にもプラスの効果をもたらすでしょう。
しかし、手間やコストが大きく、具体的な改善ポイントがわかりにくい点には注意が必要です。継続的な取り組みとして「調査→分析→改善→調査」といったサイクルを回すうえでは、従来の顧客満足度調査のほうがコストパフォーマンスはよいといえます。Webアンケートツールなどを導入すれば、月数万円程度のコストで自動的な収集・分析の仕組みが作れるからです。
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