日本のサービス業による海外展開成功のポイントとは|現地化を進めるコツ
日本国内のマーケットが人口減少に伴い縮小するなか、さまざまなサービス業が海外進出を続けています。
しかし、現地住民から自国ブランドと認識されるほど根付いたサービスもあれば、現地化に苦戦し赤字が続いているサービスもあるのが実情です。海外展開のポイントを押さえず日本流にこだわっていては、状況は好転せず、いずれ撤退を余儀なくされるでしょう。
本記事では、日本のサービス業による海外展開成功のポイントと現地化のコツを紹介します。サービス業の海外進出を検討している方、進出済みではあるものの伸び悩んでいるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
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日本のサービス業による海外展開の現状
まずは日本のサービス業による海外展開の現状を見てみましょう。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の資料「平成28年度 第4回 サービス産業の海外展開実態調査」によると、「現在海外展開している(進出済み)」と回答した企業は全体の34.3%でした。計画中や撤退済みの企業などを含めれば、その数は全体の約4割となります。まだ半数は超えていませんが、多くの企業が海外マーケットに挑戦していることがわかります。
さらに同資料によると、サービス業のうち海外進出をしている業種のトップ5は以下のとおりです。特に卸売業は、日系製造業の海外出荷拡大の波に乗って海外進出を図る企業が多いといわれています。
・卸売業:30.8%
・小売業:11.8%
・宿泊業、飲食サービス業:10.9%
・運輸業、郵便業:9.7%
・学術研究、専門・技術サービス業:9.2%
このようにサービス業のなかでもさまざまな業種が海外進出を図っていますが、海外事業が売上高比率として重要な割合を占めている企業はまだまだ多くありません。ジェトロによる同調査では、海外売上高比率5%未満と回答した企業がもっとも多く、全体の36.0%を占めました。さらに5%未満・5~10%未満・10~15%未満の回答を合わせると58.8%となり、半数以上の企業がまだ売上の85%以上を国内事業に頼っているという事実がわかります。
海外展開の事例も以前よりは増え、現地に進出する日系企業が増えていることから、海外展開を開始することのハードルは下がっています。しかし、企業全体を支えるレベルの事業規模にまで育てられている企業はまだまだ少ないのが実情だといえるでしょう。
日本のサービス業が海外展開するうえでの課題
アメリカやヨーロッパの企業がグローバルに事業を展開しているなか、日本企業は海外展開が苦手だとされることが多いです。実際に、多くの企業が以下のような課題に直面し、海外事業の拡大に苦戦しています。
・ノウハウに固執しすぎる
・ローカライズに苦戦する
・現地従業員の教育がうまくいかない
ノウハウに固執しすぎる
日本で成功を収めた体験があるからこそ、自社のノウハウに自信を持ちすぎており、固執してしまうケースはよくあります。
海外では、生活スタイルや気候などが日本と大きく異なるため、自社のサービスのどの部分が受け入れられ、どの部分が拒絶されるのか見極める必要があります。そんななか、日本仕様の商品やサービスにこだわり、品質や価格、サイズなどを見直さなければ、現地で長く愛されるブランドに育てることは難しいでしょう。
海外展開を成功させるには、自社の独自ノウハウは大切にしつつも、海外のマーケットに合わせた柔軟な思考が求められます。
ローカライズに苦戦する
日本で成功したサービスを海外展開するにあたり、難しいのがローカライズです。ローカライズとは、現地(ローカル)の人々の好みやニーズに合わせ、サービスを調整していくことを指します。
日本のサービス業にとって、特に課題になりやすいのが品質面でしょう。日本のサービス業は品質に対するこだわりが非常に強く、ストロングポイントとなっています。しかしその反面、日本でこだわってきた高い品質を海外で再現するのは非常に難しいというデメリットにもなるのです。
原材料の調達から環境の整備、スタッフの教育まで、長い年月をかけて作り上げた国内サービスと同じレベルのものを海外で作り上げるのはきわめて困難です。海外展開をスムーズに進めるためには、妥協できるポイントと譲れないポイントを明確にし、うまくローカライズを進める必要があります。
現地従業員の教育がうまくいかない
サービス業が海外で事業を開始したあとに直面する課題が、現地従業員の教育です。日本人のように真面目にサボらず働く民族は少ないうえ、言語の壁があるために微妙なニュアンスが伝わらないこともあります。質の高いサービスを提供しようと思っても従業員にうまく浸透せず、期待した品質を実現できないといったケースは少なくありません。
また、現場を指揮する幹部スタッフについても、有能な人材を確保するのは困難です。欧米のグローバル企業を中心として、優秀な人材には絶えずスカウトが届きます。よほどよい待遇を用意しなければ、幹部スタッフを維持し続けるのは難しいでしょう。
日本のサービス業が海外展開を成功させるポイント
課題を踏まえ、日本のサービス業が海外展開を成功させるためには、以下3つのポイントが重要です。
・現地顧客の声を吸い上げる
・現地データをもとに経営判断をする
・現地従業員の教育システムを構築する
現地顧客の声を吸い上げる
まずは、サービス業を展開する国に住む現地顧客の声をしっかり吸い上げることです。
当たり前ですが、現地顧客が何を求めているかは現地顧客に直接聞く必要があります。日本本社でマーケット情報を見ながら検討を重ねても、サービスの品質や価格が受け入れられるか、そもそも必要とされているかは現地顧客に聞かなければわかりません。
近年では多くの国でスマートフォンが普及しているため、例えば店舗にWebアンケートツールを導入し、QRコードを読み取って回答してもらう形にすれば、簡単に顧客の声を集められます。回答時にクーポンがもらえるといったインセンティブを設ければ、さらに回答が集まりやすくなるでしょう。
集まった顧客の声をもとに改善を繰り返せば、的確にローカライズを進められます。
現地データをもとに経営判断をする
集まった顧客の声は、経営判断をする際の重要なデータになります。
品質や価格設定など、日本から持ち込んだサービスは高すぎて受け入れられないことが多いです。しかし、日本国内水準からの変更となると「なかなか本社サイドから納得が得られない」といったケースは少なくありません。
顧客からの声をデータとして集めれば、「魅力的だが高すぎる」「味付けはもっと濃いほうがよい」など、現地顧客のリアルな声が集まり、数値をもとにした判断や社内の説得が可能になります。結果として、的確な経営判断につながる可能性が高まるでしょう。
現地従業員の教育システムを構築する
先述の通り、日本のサービスを海外に持ち込むにあたって課題となるのが従業員の教育です。ローカライズをするといっても、同じ看板を背負ってサービスを提供する以上、一定水準の品質は守らなければなりません。しかし、日本企業として求めている基準を現地従業員に理解させ、従ってもらうのは非常に難易度の高いミッションです。また、教育役として優秀な幹部スタッフを雇うのも人件費の高騰につながるため難しいでしょう。
効果的なのは、動画配信機能を備えたツールなどを使って教育を自動化することです。各事業拠点・店舗に端末を設置し、各自が閲覧して学習できる状態にすれば、教育の手間がかからないうえ、視覚的に学べるため現地従業員にとっても理解しやすいといったメリットがあります。
動画型実行支援システムである「ABILI Clip」は海外展開も支援可能で、実際に海外事業向けに活用いただく機会が増えています。動画配信による効率的な教育はもちろん、実践のレポートやテスト・アンケートによる習熟度チェックなど双方向性を持った仕組みで理解度を確認できるため、日本企業として求める品質基準を着実に浸透させられます。
日本のサービス業による海外展開成功のポイントまとめ
本記事では、日本のサービス業による海外展開の現状や課題、成功のためのポイントを紹介しました。
日本国内のマーケットが縮小するなか、サービス業にとって海外進出の重要性は増すばかりです。海外進出を成功させるには、現地顧客の声を吸い上げてローカライズを進め、現地従業員の教育レベルを引き上げる必要があります。
動画型実行支援システム「ABILI Clip」なら、動画配信によって全従業員への教育を自動化できるうえ、従業員自身に実践した様子を投稿させることで習得度のチェックも可能となります。双方向性を持った仕組みで理解度を確認できるため、「日本基準」の着実な浸透が図れるでしょう。海外事業の支援実績も豊富なため、運用に向けた具体的なサポートも可能です。
そのほかにも、ABILI Clipを活用すれば以下のような現場改善が可能です。
・重点施策の実行率最大化・バラつき改善による業績改善
・ミドルの負担が最も下がる人材即戦力化・OJTプログラム
・リモート臨店によるQSC改善
・顧客満足度・顧客体験向上による売上アップ
・集まらずにリモートでできる「集合研修」
・従業員満足度向上・離職率削減による業績改善
・SV・マネージャー業務のデジタルによるコスト構造改革
さらに、現地顧客の声を集めるのに役立つ顧客アンケート・分析ツール「ABILI Voice」と組み合わせた活用も可能です。
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