顧客満足度調査の5つの落とし穴とは?効果を引き出すための対策も紹介
手間をかけて顧客満足度調査を実施していても、成果につながっていないケースは多くあります。よくある落とし穴に注意しなければ、コストと時間がムダになってしまうでしょう。
顧客満足度調査は売上の拡大やリピート率の向上につながる重要な取り組みであるため、うまく活用できるかは店舗経営のその後を大きく左右します。
本記事では、特に店舗における顧客満足度調査を実施する際に注意すべき5つの落とし穴と、顧客満足度調査がうまくいかない原因・対策について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
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顧客満足度調査の5つの落とし穴
ここでは、顧客満足度調査を実施する際に陥りがちな5つの落とし穴について解説します。
- 調査するだけで満足してしまう
- 結果を展開・反映する仕組みがない
- 労力や金額がかかりすぎる
- 改善につなげられない
- 鵜呑みにできない数値もある
調査するだけで満足してしまう
リサーチ会社に調査を依頼し、改善レポートを受け取った時点で満足するといった手段が目的化してしまっているパターンです。
リサーチ会社が行なうのは現状分析と改善提案までであり、具体的な施策に落とし込んで実行するところまではサポートできません。そのため、企業側の戦略立案・施策実行のリーダーが明確になっていない場合、リサーチ会社から机上の空論のような提案を受けて終わってしまうことも珍しくありません。
顧客満足度調査を定期的に実施しているが成果が出ていないという場合、取り組みが形骸化していないか注意が必要です。「調査結果をデータ化しておけば役に立つだろう」といったあいまいな目的では、改善につなげることは難しいでしょう。
結果を展開・反映する仕組みがない
本部が各店舗のデータを把握しているものの、具体的な改善策が発信されず、調査結果が活かされないパターンです。顧客満足度調査の結果は、本部でデータを保持しているだけでは意味がありません。顧客満足度の改善に取り組むのは各店舗の従業員であるため、問題点と改善策を現場に伝えたうえで、日々の行動に落とし込んでもらう必要があります。
調査結果を迅速に展開・反映するためには、事前準備が欠かせません。調査を実施する前に、どのような結果が想定されるのか、結果に応じてどのような改善策をとるのかなど、ある程度想定しておく必要があるでしょう。
そのうえで、アンケート結果がマネージャー・店長だけでなく現場レベルにまで即座にフィードバックされるような仕組みの構築が必要です。各店舗での集計や本部への集約、本部での分析にそれぞれ時間がかかってしまっては、迅速な改善にはつながりません。
Webアンケートのツールを利用するなど、人手で行なう必要のない箇所は徹底的に自動化することで、調査結果をすぐに改善活動に移すための体制を整えましょう。
労力や金額がかかりすぎる
リサーチ会社に定点観測を依頼しており、膨大な時間と費用がかかっているパターンです。成果につながっていなくても「長期間続けなければ効果が出ない」「途中でやめるとムダになってしまう」などといった理由で、やめるタイミングを失ってしまうケースが少なくありません。
リサーチ会社にとっては定型パターンで調査を繰り返すだけでよいため、手間のかからない「優良顧客」になってしまっているといえるでしょう。もちろん調査は成果を上げるために行なわれますが、リサーチ会社にとっては調査の継続こそが最大の目的になっているかもしれません。
改善につなげられない
顧客満足度調査の結果を具体的なアクションにつなげられないパターンです。調査目的や目標がしっかり定まっていない場合によく起こります。
例えば、顧客の満足度を判定する場合「たいへん満足」と「満足」を足した数値でみるのか、「たいへん満足」の数値だけをみるのかではデータの見方が変わってきます。こだわりの強いポイントであれば「たいへん満足」だけを集計すべきかもしれませんし、競合に負けていなければOKとするポイントであれば「満足」以上の集計でよいかもしれません。
アンケートの設計段階から評価方法や基準を決めていなければ、結果が出たあとのアクションがとれなくなってしまいます。本部レベルで明確な指針が出ていなければ、各店舗のマネージャーや店長の判断も個人の主観によって変わることとなり、効果的な改善につなげられません。
鵜呑みにできない数値もある
顧客満足度調査の質問項目はしっかりと精査したものでなければ、データとして信用できない可能性があります。あいまいな質問項目が多ければ、鵜呑みにできないデータが集まってしまうでしょう。
例えば、料理の満足度を5段階評価で回答するよう依頼しても、特に強い印象がなければ多くの人は真ん中の評価をつけるでしょう。しかし、その結果から「お客様に不満はない」と判断するのは危険です。さらに踏み込んで、「ボリュームに満足していますか」という質問を設ければ、「〇〇が写真よりも少なく感じた」「〇〇が多すぎた」など具体的なニーズが出てくる場合もあります。
有効なデータを取得できるよう、質問内容は事前によく検討を重ねましょう。
顧客満足度調査がうまくいかない原因
顧客満足度調査がうまくいかない原因は、主に以下の4点に集約されます。
- 目的・目標の不明確さ
- 質問のあいまいさ
- 調査回数の少なさ
- 収集方法・仕組みの不十分さ
目的・目標の不明確さ
顧客満足度調査を実施する目的が明確になっていなければ、収集したデータを有効活用できません。
顧客満足度調査には、商品やサービスの改良、従業員の接客品質評価、店内環境の確認など、さまざまな活用方法があります。関係者が多い場合などは特に、調査項目や目標値などについて意見が分かれがちです。
例えば、複数部門から質問項目を寄せ集めた場合、全体としてまとまりがなくなり、表面的なデータしか集められないでしょう。また、質問が多すぎると顧客の回答も精度が下がる傾向にあります。
目的が明確でなければ、従業員も顧客満足度調査の意義を理解できません。アンケートに回答してもらうには従業員による声かけが大切ですが、意義を理解していなければ単に面倒な作業だと感じてしまうでしょう。従業員による積極的な協力がなければ、顧客満足度調査の仕組み化は難しくなります。
質問のあいまいさ
あいまいな質問ばかりでは、回答結果から有効なデータが得られません。
例えば、「何か不満はありますか」などといった漠然とした自由形式のアンケートでは、日本人の場合よほど強い不満がない限りは記入しないでしょう。特に紙媒体のアンケートは記入の手間がかかるため、多少の不満があったとしても回答してもらえない可能性があります。
顧客満足度調査が形骸化している企業に多いのが、テンプレートに載っているような質問をとりあえず並べたというケースです。例えば飲食店なら味や値段、接客態度を3~5段階評価で回答してもらうといった内容です。
しかし、形式的な質問からは、あまり価値のない回答しか得られません。味の評価が5段階中3だったとして、「改善の余地がありそう」ということ以外に得られる情報はないからです。
調査回数の少なさ
顧客満足度調査は、1度だけでなく継続しなければ効果を発揮しません。
調査結果をもとに課題を洗い出し、改善策を実行したら、再び調査を行なうことで取り組みの成果を確認する必要があります。よい変化が見られたらそのまま継続し、変化していなければ別の改善策を立案する必要があるからです。「調査→分析→改善→調査」というサイクルを繰り返すことで、顧客満足度の向上が可能となります。
また、回数を重ねることで質問項目や質問の仕方がブラッシュアップされ、より意義のある調査へと改善することも可能です。
継続的な調査が難しい理由は、多くの場合リサーチ会社に支払う費用が高すぎるからでしょう。1店舗につき最低でも数万円、多店舗展開している場合は数十万円、数百万円規模の出費になることもあります。年に何度も調査を実施していれば、肝心の改善活動に使う予算がなくなってしまうかもしれません。
最近では、ツールやシステムによって安価に顧客満足度調査を実施できるようになっています。Webアンケートシステムを利用すれば集計やレポート作成も自動で完了するため、効率的かつ低コストで顧客満足度調査を実施できるでしょう。
収集方法・仕組みの不十分さ
アンケートの収集・分析・フィードバックといった仕組みが不十分な場合、調査結果を改善につなげるのは難しいでしょう。例えば、アンケートの回答内容をパソコンで入力し直したり、表計算ソフトを使って集計したりするなど担当者の負担が大きい場合、継続的なアンケートの実施や調査後の迅速な改善活動は現実的ではありません。
アンケートの集計や共有に時間がかかる場合、改善までに要する時間も長くなってしまいます。例えば、「店舗でアンケートを回収→本部に郵送→集計・分析→方針を議論→店舗に連絡」といった流れであれば、スピーディな取り組みにはほど遠いでしょう。
例えば、スマートフォンやタブレットなどでWeb上のアンケートに回答してもらえば、回答結果の収集や集計にかかる手間を大幅に削減できます。さらに、自動でデータを転送して従業員に共有したり、結果を店舗ごとに分析してレポート化したりできるため、担当者は改善策の立案や実行といった大切な作業に集中できるのです。
顧客満足度調査の落とし穴対策
最後に、顧客満足度調査の落とし穴に陥らないための対策を以下3つに分けて解説します。
- 評価指標を定める
- 複数の質問で掘り下げる
- 継続的に調査を行なう
評価指標を定める
明確な評価指標を設けることで、調査完了後すぐに次のアクションがとれるようになります。ただし、1つ1つの項目に目標数値を設けるのは現実的でないため、質問をいくつかのカテゴリーに分け、カテゴリーごとのスコアを算出する形がよいでしょう。
例えば飲食店であれば、QSCと呼ばれるQuality(品質)・Service(接客)・Cleanliness(清潔さ)の3つのカテゴリーごとにスコアが出るよう設計します。各領域においてチェーン全体と各店舗のスコアが目標に達しているかを確認すれば、強みや弱み、改善すべき項目が瞬時にわかります。
さらに、平均よりもスコアが高い店舗での取り組み事例をヒアリングし、横展開することで全体の底上げを図るといった対応も可能です。
複数の質問で掘り下げる
あいまいな質問・回答で終わらないよう、追加質問によって顧客のニーズを掘り下げるのが効果的です。例えば、特定のメニューを注文した人に対し、その理由を追加で質問します。「見た目に魅力を感じた」「季節の食べ物だから」など具体的な選択肢を用意しておけば、顧客心理をより深く理解できるでしょう。
また、重ねて質問をすることで「この点はもう少し〇〇だと嬉しい」といった潜在的なニーズを発見できる場合もあります。ただし、質問が増えるほど回答者の負担が増すため、重要なポイントに絞って掘り下げるようにしましょう。
継続的に調査を行なう
顧客満足度調査は、同じ指標で継続的に実施することが大切です。評価指標を定め、それに向かって改善を繰り返すことで、着実に顧客満足度を向上させられます。
しかし、継続実施についてはやはり費用がネックとなるでしょう。リサーチ会社に依頼すればすぐに予算が尽きてしまうため、Webアンケートツールの利用がおすすめです。
Webアンケートツールなら、多店舗経営の場合でも月数万円~といった費用で利用できます。クラウド型ツールが多いため、初期費用などもほとんどかかりません。
自動での集計・分析・レポート作成が可能になるため、紙媒体のアンケートより大幅に手間を削減できます。リアルタイムでの通知機能により、お客様の声をすぐに現場へフィードバックすることも可能です。
スマートフォンやタブレット上で入力できるWebアンケートなら、ハガキ形式の手書きアンケートよりも回答してもらいやすいでしょう。また、Web上であればアンケート回答者にクーポン券を発行するなどといった選択肢も広がります。
顧客満足度調査の落とし穴と対策まとめ
顧客満足度調査は多くの企業が実施している基本的な取り組みですが、うまくデータを活用できていない企業は少なくありません。調査を行なうこと自体が目的化してしまったり、リサーチ会社のアドバイスに沿って成果の出ない定点観測を続けてしまったりと、落とし穴にはまっている企業も多いでしょう。
しかし、質問内容の精査や調査後の改善につなげる仕組み構築などを徹底すれば、継続的な顧客満足度調査の実施は店舗経営の大きな味方となります。顧客満足度調査を定期的に実施するなら、Webアンケートの導入による仕組み化・自動化がおすすめです。
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