チェーン店の利益創出につながる固定費削減とは｜具体的な削減方法も解説
チェーン店経営を維持・発展させていくためには、継続的な利益の創出が必要です。人口減少によってマーケットが縮小するなか、売上拡大によって利益を増やすのは限界があるでしょう。そのため、コスト削減による利益創出が重要性を増しているといえます。
そして、コストのなかでも人件費の高騰などにより固定費が上昇し、経営を圧迫しているケースが少なくありません。固定費をうまく抑制しなければ、チェーン店として長く生き残るのは難しいでしょう。
本記事では、チェーン店の利益創出につながる固定費の削減方法について、事例もまじえて解説します。チェーン店経営に携わる経営者・企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
チェーン店で発生する固定費とは
チェーン店で発生する固定費としては、以下のようなものが挙げられます。
- 店舗の家賃
- 人件費（正規雇用）
- 社会保険料
- 水道光熱費
- 通信費
金額として大きいのは、店舗の家賃や人件費でしょう。家賃は立地や店舗の仕様によって大きく異なり、家賃が高いにもかかわらず集客力が弱い立地を選んでしまえば、それだけで黒字化が難しくなります。
人件費については、ここでは正規雇用のみ固定費に含めています。パートやアルバイトは繁閑によって雇用人数に差が生じるため、変動費に含まれる場合があるからです。いずれにしても、人件費も経営状況を左右する重要な要素であり、例えば日常のオペレーションを2人で回せるのか3人必要なのかで利益率は大きく変わってくるはずです。
チェーン店における固定費の削減プロセス
ここでは、チェーン店における固定費の削減プロセスを4ステップで解説します。
- 各店舗の状況を可視化する
- 課題を特定する
- 改善策を立案する
- 現場レベルでの徹底を図る
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
各店舗の状況を可視化する
固定費を減らすには、まず各店舗の売上高や利益、固定費、変動費、従業員数、人時生産性などを統一の指標で可視化することが大切です。固定費と変動費の振り分け方は企業によって異なり、例えば人件費について、正規雇用とパート・アルバイトに分けるケースや、すべて変動費・固定費のいずれかに含めるケースなどがあります。
いずれにしても、チェーン全体だけの数字を見たり、個別店舗の数字だけを見たりしていては判断を誤る可能性があるため注意しましょう。固定費のなかで、例えば家賃の指標を単独で見て「高い・低い」を判断するのは好ましくありません。固定費が適切な水準かどうかは、現状の売上や店舗の規模などによって変わってくるからです。売上などその他の指標や他店舗との比較を通して、相対的に課題の有無を把握するべきだといえます。
そのように各指標の相関関係を見るためには、ダッシュボード上にKPIがまとまっている状態が理想です。多拠点ビジネス特化型の経営ダッシュボード「ABILI Board」なら、専用のダッシュボード上でさまざまなデータを集約でき、一目で各店舗の状況がわかります。チェーン全体および個別店舗の利益創出に向けた具体的な改善点が見えてくるはずです。
課題を特定する
各店舗の状況を可視化したら、チェーン全体と個別店舗の課題をそれぞれ洗い出します。同じような売上規模の店舗と固定費の各項目を比較したり、固定比率が低い店舗の経営状況を詳細に分析したりすることが課題の特定につながるでしょう。利益率のよい店舗にフォーカスを当てて分析することで、単一店舗の前年比較では見つからなかったような改善のアイデアが出てくるはずです。
また、課題の解像度を上げるために店長やSVにヒアリングするのも効果的です。現場に対する理解度を高めておくことで、的確な改善策を立案しやすくなります。
改善策を立案する
チェーン全体および個別店舗の課題に対し、それぞれ改善策を検討します。複数店舗に共通する課題は本部主導、または本部と店舗の協力によって解決を図るのがよいでしょう。チェーン店であることのメリットを活かし、優れたノウハウや好事例は共有を図っていくべきです。
自社だけで改善施策の検討が難しい場合は、外部エキスパートの活用も一つの手です。「ABILI Partner」なら、SV／店長経験者による現場改善施策の提案・実行支援が可能です。現状の分析から課題の可視化、現場への共有まで、改善に向けた仕組みづくりを伴走支援します。経営ダッシュボード「ABILI Board」も活用することで、店舗状況の「見せる化」が可能となり、具体的な改善ポイントが見えてくるはずです。
現場レベルでの徹底を図る
改善策を立案したら、現場まで浸透させられるよう情報伝達の仕組みを整える必要があります。チェーン店経営では、店長などのミドルマネジメント層が人手不足によって多忙になり、本部と現場の橋渡しがうまくいかないケースが多いからです。
また、テキストベースの資料では、イメージがうまく伝わらない場合もあります。せっかく優れた改善案ができても、意図した通りに伝わらなければ大きな効果は期待できません。
動画型マネジメントシステムの「ABILI Clip」なら、動画と双方向コミュニケーションの仕組みを活用し、現場への施策の落とし込みが可能になります。現場の各スタッフがそれぞれのタイミングで同じ精度・粒度の情報にアクセスでき、ミドルマネジメント層の手間もかかりません。現場の負担を増やすことなく、改善施策の浸透が図れます。
チェーン店における固定費削減の具体的な方法
ここでは、チェーン店における固定費削減の方法として、以下の3つをご紹介します。
- 立地条件の見直し
- 既存スタッフの多能工化
- 人時生産性の向上
同様の対応によって固定費を削減できないか、ぜひチェックしてみてください。
立地条件の見直し
まず、家賃や来店客数などを他店舗と比較したうえで、立地条件を見直すケースです。家賃が高い一方で集客に適したエリアでない場合は、移転も選択肢の一つとして検討すべきかもしれません。
特に、新しい店舗ブランドや業態の場合、実際に出店してみると集客の状況が想定と異なることは少なくありません。集客が難しい立地でどれだけマーケティング施策を工夫しても、大幅な改善は難しいでしょう。もちろん移転に伴うコストはかかるため、難しい判断にはなりますが、そのエリアで長期的に店舗運営をしていくのであれば、早めに立地を変更するのは有効な解決策になりえます。
既存スタッフの多能工化
特に近年、人手不足や人件費の高騰に悩むチェーン店は多いでしょう。人口減少が続くなか、日本国内でビジネスをする限りは今後も同様の傾向が続くと予想されます。
十分な人手がいないなか、オペレーションを効率化する手段の一つとして、スタッフの多能工化が挙げられます。既存スタッフを多能工化することで、最小限の人数でオペレーションができるようになるため、人件費を抑制できるのです。例えば、飲食店でキッチン3名・ホール3名で稼働しているところ、キッチン2名・ホール2名・兼任1名でもオペレーションが成り立つようであれば、1名分のコストカットにつながります。
ただし、多能工化に向けたスタッフの教育には工数がかかるため、工夫が求められます。例えば、動画配信型の研修システムを用意することで、指導役のスタッフがいない状態でも教育が可能となります。動画型マネジメントシステムの「ABILI Clip」を使えば、研修用の動画をアップロードしておき、各スタッフが自身の都合に合わせて教育を受けられます。視覚的に学べるため、イメージが湧きやすい点もメリットです。
人時生産性の向上
人時生産性を高め、限られた人員のなかでも高い生産性を発揮できるようになれば、固定比率の引き下げにつながるでしょう。人時生産性とは、一人の従業員が一時間あたりに生み出す利益を指し、「粗利益高÷総労働時間」で算出できます。
各店舗の人時生産性を割り出したうえで、数値が高い店舗の人員配置やスタッフのスキルを研究すれば、チェーン全体の人時生産性向上に役立つはずです。少人数で回せる業務に余計な人員を割いてしまっている状態では、利益が出にくくなるのも当然です。人件費が同じであっても、一人あたりの貢献度が高まれば経営効率は改善できます。
まとめ
本記事では、チェーン店の利益創出につながる固定費の削減方法について解説しました。
チェーン店においては、家賃や人件費、通信費などの固定費が発生します。人口減少によってマーケットが縮小するなか、着実に利益を創出するには毎月発生する固定費をいかに抑えるかが重要です。立地条件の見直しや既存スタッフの多能工化、人時生産性の向上などによって経営効率を高められれば、黒字経営を維持しやすくなるでしょう。
そのためには、まずダッシュボードツールなどを活用して各店舗の状況を「見せる化」し、現場の改善につなげていくことが大切です。多拠点ビジネスに特化したダッシュボード「ABILI Board」を活用して店舗ごとの状況を可視化し、動画型マネジメントシステムの「ABILI Clip」なら、動画と双方向コミュニケーションの仕組みを活用し、現場への施策の落とし込みが可能になります。ご興味があればぜひお問い合わせください。
