外食事業のリピート率改善方法4選|企業の取り組み事例も紹介
外食事業において、店舗の経営を大きく左右するのがリピート率です。リピート率の高い店舗は安定した収益が見込めるだけでなく、既存顧客の口コミや推薦で新規顧客の獲得につながりやすいというメリットもあります。
そのため、多くの外食事業関係者がリピート率の向上を目指していることでしょう。しかし、リピート率に影響する項目は多岐にわたり、店舗が抱える本質的な課題や重視すべきKPIなどを把握するのは簡単ではありません。そのため、何にどの程度のリソースを割くべきなのか判断できず、改善につながらないケースが少なくないのです。
本記事では、外食事業のリピート率を左右する要素や改善方法、企業の取り組み事例をご紹介します。外食事業の改善に取り組む経営者・担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
外食事業のリピート率を左右する要素
外食事業のリピート率は、主に以下5つの要素に左右されます。
- メニュー
- 価格
- 接客
- 店内環境
- 利便性
それぞれの要素について、リピート率との関係を見ていきましょう。
メニュー
外食事業において、メニューはもっとも重要な要素といえます。メニューに満足できなかった飲食店に、もう一度足を運ぼうと考える人はほとんどいないでしょう。料理のクオリティや種類、見た目などに魅力を感じて初めて、「また訪れたい」と思うようになります。
飲食店は料理や飲み物を楽しむ場所であり、リピート率を向上させるうえでメニューの満足度は欠かせない要素です。
価格
料理に満足してもらえたとしても、商品やサービスに釣り合わないと感じる価格設定ではリピートは見込めません。特に近年は物価高騰でコストパフォーマンスを求める消費者も多く、価格が高すぎると「料理はおいしかったけど定期的には通いづらい」と思われてしまう可能性があります。
ただし、一概に「安ければいい」というものでもありません。価格設定を行う際は、客層やメニューの質とマッチしているかどうかも重要なポイントとなります。
接客
店内で気持ちよく過ごせるかどうかも、リピート率を左右する要素です。どれだけメニューと価格の満足度が高くても、接客態度が悪ければリピートにはつながらないでしょう。
外食事業では、「QSC」が重要視されます。QSCは「Quality(品質)」「Service(接客)」「Cleanliness(清潔さ)」の頭文字を取ったもので、この3つのどれが欠けても顧客満足度は向上しないという考え方です。
QSCに含まれることからもわかるように、外食事業を営むなら接客も疎かにはできません。
関連記事:飲食店マネジメントにおいて重要なQSCとは|具体的なポイント・改善事例を解説
店内環境
前述のQSCには「清潔さ」が含まれており、食事をする場所である飲食店は清潔であることも当然重要です。具体的には、「テーブルや椅子が汚れていないか」「スタッフの身だしなみに清潔感があるか」「トイレがしっかり清掃されているか」といった点が挙げられます。
また、店内が客層を意識した雰囲気になっているかどうかも大切です。照明やBGM、座席の間隔など、お店のコンセプトに合わせて細かい点まで意識した雰囲気づくりができていれば、リピート率の向上につながります。
利便性
リピート率は、利便性にも左右されます。外食事業における利便性は、アクセスのよさや注文のしやすさ、支払手段の多さなど、多岐にわたります。
例えば、最近では各テーブルから専用のタブレット端末や顧客のスマートフォンを使って注文できる「テーブルオーダー」の仕組みを導入する店舗が増えています。注文のためにスタッフを呼ぶ必要がなく、手早く食事を済ませたい人は便利に感じるでしょう。
また、キャッシュレス決済が普及して「現金はほとんど使わない」という人もいます。そのため、客層によってはQRコード決済やクレジットカードなど支払手段を多く用意しておくと喜ばれます。
外食事業のリピート率改善方法4選
それでは、外食事業のリピート率はどのように改善していけばよいのでしょうか。即効性を求めてメニューのリニューアルやクーポンの配布といった「戦略」を考えたくなるものですが、まずは自社が抱える「本質的な課題」を特定する必要があります。リピート率が低い原因を特定しないまま戦略を検討しても、的はずれな内容になってしまう可能性があるためです。
例えば、リピート率を向上させる手段の一つに顧客満足度の向上があります。店舗の現状を把握し、顧客がどのような点に不満を感じているのかがわかれば、的確な改善策を実施できるでしょう。
本質的な課題を見つけたうえで改善を行うには、以下のアプローチが有効です。
- 顧客の評価を可視化する
- 店舗主体で改善が進む仕組みを作る
- リピート率に関連するデータを可視化する
- 効率的な教育システムを構築する
上記4つの方法について、詳しく解説します。
顧客の評価を可視化する
QSCなどの項目について自社内で評価を実施しても、本当の課題は見えてきません。自社による評価は、主観や希望的観測が入ってしまう可能性が高いからです。店舗への正しい評価を知るには、顧客の声を集めて客観的な調査を行う必要があります。
定期的に顧客からの評価を確認し、改善策の実施を続けることで顧客満足度の向上が図れます。また、顧客の声が店舗運営に反映されていると実感できれば、店舗に対して愛着も持ってもらえるでしょう。ただし、顧客満足度を継続的に調査して可視化するには大きな手間がかかります。毎日の業務で手一杯という状態では、調査や分析までなかなか手が回りません。
効率的に顧客満足度を可視化するには、Webアンケートツールが役立ちます。「ABILI Voice」では、管理画面から手軽にアンケートの設計・作成ができ、顧客はQRコードから手軽に回答が可能です。回答の集計や分析レポートの作成にも対応しているため、最小限の手間で評価や課題を可視化できます。
店舗主体で改善が進む仕組みを作る
経営者や本部がいくら改善を求めても、店舗主体で改善が進む形にしなければ長続きしません。店舗主体でリピート率の改善を進めるには、改善のための取り組みが評価や成果につながる仕組みづくりが不可欠です。
例えば、顧客からの評価がタイムリーにフィードバックされれば、スタッフはやりがいを感じられるでしょう。また、実際にリピート率が改善した際には人事評価に反映させることで、現場スタッフの改善に向けたモチベーションが高まります。
リピート率に関連するデータを可視化する
リピート率はメニューや価格、接客など多くの要素によって左右されます。それぞれの要素を個別に数値化することは可能ですが、一つの要素だけでリピート率が決まるわけではないため、要素同士の関連性も考慮する必要があります。
例えば、「自社においてリピート率と顧客満足度には本当に相関があるのか」「実は顧客の平均購買数に着目したほうがいいのではないか」など、事業の形態や店舗の特徴によって重要な要素を見極めなければなりません。
店舗の現状を正確に把握するためには、関連する指標を相関分析してデータを可視化できるのが理想です。しかし、社内でデータ分析の仕組みを構築・運用するのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。特に、店舗数が多かったり事業の規模が大きかったりすると、「異なる部署がデータを管理していて集計が難しい」「データを収集できても相関分析がうまくできない」などの課題が考えられます。
多拠点ビジネス特化型の経営ダッシュボード「ABILI Board」では、自社の状況に合わせた専用ダッシュボードを構築し、点在するあらゆるデータを一箇所に集約できます。データの集約・加工・可視化が仕組み化されたダッシュボードに置き換えることで、大きな手間をかけることなくデータの活用が進められます。
効率的な教育システムを構築する
多店舗ビジネスの場合、各店舗で見つかった課題はチェーン全体で共有し、レベルの底上げを図る必要があります。特定の店舗で生じた課題はその他の店舗にも共通することが多く、ノウハウを共有することで効率的に改善が図れるからです。
しかし、本部主導で課題やノウハウを共有しても、店長などのミドル層が多忙な状況によって情報共有のボトルネックとなっているケースが多く見られます。これでは実際に顧客と接するスタッフまで情報が届かず、レベルの底上げにつながりません。
例えば、動画で情報伝達ができる仕組みを構築すれば、ミドル層の手間を増やすことなく現場レベルまで情報を伝達することが可能です。「ABILI Clip」は動画と双方向コミュニケーション機能により、本部と現場・異なる現場同士を直接繋ぐことができます。共有したい情報やノウハウ、オペレーションを短尺動画にまとめ手軽に共有できます。動画を用いるため全店舗に同じ精度・粒度で情報共有ができ、ミドル層がボトルネックになることがありません。
企業によるリピート率改善事例
外食チェーン大手のファーストキッチン様は、お客様満足度を可視化するために「ABILI Voice」を導入されました。顧客満足度(CS)の5段階評価をもとに営業部の数値目標を設定し、各店舗もこの目標を追いかける形で改善に取り組んでいます。
これまで可視化できていなかったお客様の声を集めたことで、具体的なアクションを起こしやすくなりました。実際に、お客様からの指摘の多さと満足度の低さには相関が見られ、改善策を実施したところ指摘数の減少と平均点の向上を実現しています。
また、店舗主体で取り組めるようアルバイトスタッフのなかからCSリーダーを置いているのも特徴です。店長が一人で取り組むのではなく、CSリーダーが中心となって改善策を検討し、PDCAサイクルを回しています。
デジタル化によってお客様との接点が減ってきているなか、お客様の声に寄り添って満足度の高いサービスを提供することで、リピート率の向上を含め店舗サービス全体の改善に取り組んでいます。
関連記事:ファーストキッチン株式会社様 導入事例
まとめ
本記事では、外食事業のリピート率を左右する要素や改善方法、企業の取り組み事例をご紹介しました。
外食事業のリピート率はさまざまな要素に左右されるため、顧客の評価を可視化することで店舗の課題を把握し、適切な解決策を立案することが大切です。また、多店舗展開を進めている場合は、チェーン全体で課題の共有や改善策の横展開などを実施し、レベルの底上げを図る必要があります。
多拠点ビジネス特化型のダッシュボード「ABILI Board」なら、Webアンケートツール「ABILI Voice」で収集した顧客の声を含め、店舗運営に関するあらゆる情報を集約して可視化することが可能です。また、データの可視化によって見えてきた課題や改善策を共有するには、「ABILI Clip」が役立ちます。ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。